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ハーネストを倒し、スタンスピードはこれで終わると分かった俺はダンジョンを引き返す…前にこれまでダンジョン内で倒してきたモンスターの素材の整理をする事にした。
三階層の攻略を終えた時にも一度素材の整理をしたが、今回の素材の量は3階層の時とは比べ物にもならない程多い。
一回層を降りる毎に出てくるモンスターは強くなり、出てくるモンスターの数もどんどん多くなっていった為、その全てを討伐した俺のストレージ内には何と三階層の時に処理をした素材の約3~4倍程度のモンスターの死体が入っている。
ギルドに解体を依頼するという選択肢も無いことには無いのだが、これ程の量のモンスターを何処で倒したかと聞かれてしまっては今回わざわざ修羅に俺の正体がバレないようにしてもらった意味がなくなってしまうからな。
なので俺はこのモンスターの死体を解体するのを一人でやらないといけなくなった訳だ。
そしてダンジョンの外で大量のモンスターの解体をすれば血が溜まってしまい、臭いで辺りに居るモンスターを呼び寄せてしまうし、そもそも素材にならない部分の処理もすることが出来ない。
という事で現状誰も入ってこないであろうダンジョンで解体をする事にした。
もうスタンスピードは収まった筈なので死体も血も放置して良くなったしな。
「お、おお~、凄いなこれは…」
という事でストレージから大量のモンスターの死体を取り出したのだが、そのあまりの量にダンジョンの大部屋に巨体なモンスターの山が出来てしまった。
「やっぱり一人じゃキツくないか…そうだ、あれが有ったじゃないか」
俺はどうにかならないかと考えた所、とあるスキルの存在を思い出した。
そのスキルは分身。
自分のステータスを分割して、その分分身を作ることができるというスキルだ。
これを使って20体位分身を作ればその分効率良く解体が出来るじゃないか。
その分ステータスは20分の1になってしまうが、俺のステータスなら問題は無いからな。
という訳で早速分身を発動して系19体の分身を作る。
これで俺も合わせて20体の俺がこの空間に存在する事になるな。
分身を作り終わった俺は早速分身と共にモンスターの解体作業を始める。
先ずはダンジョンの地面に魔法を使って大きな窪みを作る。
この窪みにモンスターから出る血を入れる。
じゃないと地面が血だらけになってしまうからな。
そしてモンスターの素材となる所と魔石を取り出す作業を始める。
20人の俺が黙々とモンスターを解体している姿は他人から見ればさぞシュールな映像になるだろう。
解体スキルによって素材となる場所が分かるのでその部分を切り取り、ストレージに収納していく。
そして解体途中に出てくる血を水魔法で作った水と混ぜて操る事が出来るようにしてから先程作った窪みに入れていく。
初めはゴブリン達の解体から始めた為、窪みには大量の緑色の血とその隣にはゴブリンの死体が積み重なっていく。
そしてゴブリン系のモンスターの解体が終わった所で一旦休憩を挟む事にする。
勿論分身にも同時に休憩を取らせるのも忘れない。
分身スキルは分身を解除した時に分身の経験を本体である俺に反映するという効果が有るので、分身にも適度に休憩をさせなければスキルを解除した時に地獄を見ることになる。
魔法を使って解体をしているとはいえ、相当なストレスになることは確実だ。
という訳で俺はゴブリンの死体と血がダンジョンに吸収されるまで休憩を取ることにする。
という訳で休憩中にするのは今解体したゴブリンの素材の確認だ。
俺はストレージを表示して解体したゴブリン達の素材の数を確認する。
結果的にはゴブリンの耳が594枚、ホブゴブリンの耳が276枚、そしてゴブリンリーダーや派生種のゴブリンの耳が大体70~150個程集まった。
魔石の数は耳の数と同じ量だからまぁまぁな量の素材が集まったことになるな。