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「えっと…一応魔力の放出は出来ます」
ニックは現在出来る事を教えてくれた。
「まぁ勝手に攻撃魔法を使うわけにもいかないからな、よし庭に行くぞ」
と言ってニックと共に庭に出る。
バーナム男爵家の庭はちゃんと綺麗にされていてる。
「じゃあ先ずは魔法を撃ってみようか」
という訳で早速魔法を撃たせようとしたんだが、ニックが質問をしてきた。
「先ずは魔力量を測るんじゃないの?」
俺ははぁ、とため息をついてから理由を話す。
「ニック、お前の魔力量は測る必要すらないから安心しろ」
俺がそう言うとニックは絶望をした様に膝をつく。
「マジかよ…終わった」
「何か勘違いして無いか?俺が測る必要が無いといったのはお前が普通の人を遙かに上回る魔力を持っているからだぞ」
ハッキリいって普通の魔法使いの100倍は軽く有るからな。
「な、な~んだ、良かった…折角の転生特典が無駄になったかと思った」
ニックは安心した様に呟く、やはり転生特典は魔法系にしたのか、まぁ魔法が無い世界から来たのなら魔法に憧れるのも分かるからな。
「それで、転生特典は何を選んだんだ?終わったって言ってたって事は魔法系の特典を選んでたんじゃないか?」
という訳でニックに聞いてみることにした。
「俺が転生特典として選んだのは全属性の適性と、魔法の才能です」
成る程、適正と才能が保証されても魔力が少なかったら宝の持ち腐れになるって訳か。
「まぁニックを転生させた神は面白そうだからって特典付きで転生させた訳だろ、魔法の才能を付けたのに魔力が無くて特典が意味なくなるなんて面白く無いだろ」
「それもそうか…心配してそんした気分だ」
ニックは俺の言った言葉に納得したみたいだな。
「というより魔力の放出が出来るなら魔力の感知は出来るだろ?、周りの人の魔力と比較すれば魔力がある事ぐらい分からなかったのか?」
自分の魔力を感じられるなら他の人の持つ魔力を感じられる筈なのだ。
「いや、他の人の魔力ってあんまり分からないんですよね、ユウヤさんの魔力は分かったんですけど、自分のと比べて大き過ぎて比較にならなかったですし、初めてみた魔法使いが貴方なのでユウヤさんの魔力量がこの世界の魔法使いの基準として考えてしまったんですよ」
つまり周りの人の魔力が小さすぎて感知する事が出来なかったって事か、ニックは自分の魔力を基準にしていたから余計に自分より圧倒的に低い魔力は感じる事が出来なかったと考えるべきか。
それなら最初にやる事は魔力感知の方法からだな。
「よし、じゃあ早速授業を始めよう、先ずは魔力感知を覚えてもらう」
「はい!」
「じゃあ魔力感知だが、これを覚えるだけで戦闘が随分と変わってくる。
相手に魔法を使う敵が居れば相手が魔法を発動させようとしているかが分かるし、この世界では全ての生物が魔力を持っているから相手のいる場所を感知する事も出来る」
「おお!凄いじゃん」
「まぁ人間相手だとこれは相手にも当てはまるから、こっちが魔法を発動させようとしたら相手も分かるというデメリットが有る。
基本的に魔力感知を覚えている奴と覚えてない奴が戦ったら覚えていない奴が負けるから覚えておいた方がいい」
俺の説明をニックは頷きながらしっかりと聞いている。
「とまぁ魔力感知の説明は以上だ、それで、魔力感知の方法だが…もう既に出来ている筈だ」
「マジで!」
ニックはテンションが上がったのか言葉遣いが変わっている。
「だって俺の魔力を感じる事は出来たんだ、後は小さい魔力を感知出来るようにするだけだぞ」
「そうなんだってどうやって小さい魔力を感知すれば良いんだ?」
ニックは小さい魔力を感じられないとなるとどうするか…よしあの方法を、試してみるか。