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「確かに祐也さんは僕と同じ転移者、戦力は保証されてますし、もしも協力をするのなら被害者も少なくできて作戦の成功率も上がる…確かにいい事ばかりですね」


ふむ、悪くない反応だな。


「まぁ直ぐに返事はしなくて良い、じっくりと考えてくれ」


教国の軍も到着したばかりだ、陣の作成やその後に兵士達を休ませる事を考えれば公国の軍と衝突するまでまだまだ時間は有るからそれまでに決めてくれれば良い。


俺がそう伝えると彼は分かりました、と言って静かに考え始めた。


彼の考えが纏まるのを待っている間、俺は今回の事についてを考える。


さて、これで後は彼の返事を待つだけだ。


今後の事を考えると作戦に協力してくれる方が多少楽になるが、別に協力してくれなくても別に良い。


元々自分たちだけで戦争を止められる様に作戦を立てていたし、協力を断られたとしても普通に作戦を実行するだけだからな。


彼の協力があろうとなかろうと作戦の大元は変わらない、だから結局の所教国軍の協力なんて有って無い様なものだ。


そんな事よりも重要なのは彼と知り合いになれたと言う事だ。


今回の件、彼が俺たちに協力する、しないに関わらず彼は俺の存在を教皇に知らせるだろう。


その時には俺が自分と同じ転移者だという事も伝える筈…そうなれば後々邪神の力の欠片を消す為に教国に行った時、有利に物事を進められる様になる。


俺が隼人の同郷という事は転移者、つまり神によってこの世界に送られた人物という事になるからな。


そうなれば神の信仰者である教皇は絶対に俺を無下に扱うことができなくなるって訳だ。


仮に、俺に対してぞんざいな態度を取ったと周囲の人に思われたら神が遣わした者にこんな態度を取るとは、神に対する信仰心が足りないのでは?とかなんとか言われて教皇の座から下される可能性もあり得るからな。


という訳で、彼と知り合いになれた時点で作戦の協力よりももっと良い物を貰った様なものなのだ。


本当に、教国軍に偵察に来て正解だったな。


俺は偵察に来た当初は想像もしていなかった成果に内心で笑みを浮かべる。


「ユウヤさん、決めました」


と、そんな事を考えていると隼人から声が掛かった。


どうやら考えが纏ったみたいだな。


「今回の件、受けさせて貰います」


隼人の返答は俺の予想から外れて作戦に協力してくれるという物だった。


「本当に良いのか?」


予想外の返事に隼人に聞き返す。


俺はてっきり協力を断るとまではいかないとしても教皇に俺からの提案があった事を報告して、指示を伺ってから決めさせてくれ、と言われると思ってたんだが…


「はい、といっても元々ユウヤさんの提案を断るつもりは無かったですよ?ユウヤさんが言ってた通り、目的が一緒なら別々に行動するより一緒に作戦を実行した方が被害も少なく出来ますからね」


「俺が君を騙そうとしてる可能性は?俺が同じ日本人だからと言って君を騙さないとは限らないぞ」


元々提案を断るつもりは無かった、という言葉を聞いた俺は彼に忠告をする。


「勿論考えましたよ?でもユウヤさんが俺を騙そうとしてたとしても教国側としてはあんまり変わらないですから」


「変わらない?」


彼の発言を聞いた俺は聞き返す。


「はい、ユウヤさんも知っていると思いますが今回戦争が起こりそうになっている原因は公国の貴族が教国に対して侮辱とも取れる発言をした為です」


確か神に対する悪口を言ったんだっけ?


まぁこの悪口ってのも、教国に宣戦布告をさせる為に言わしたんだろうが…


「ああ、確か教国はそれに対して問題の発言をした貴族を渡す様に言ったんだよな?」


「そうです、教国にとって神に対する侮辱は重罪、教国は公国に対して件の貴族を引き渡す様に要請しました…ですが結果公国は貴族を庇い教国の要請に応じなかった、引き渡さない場合は公国に攻め入るという一文があったにも関わらずです」


まぁ公国としては教国に宣戦布告をして欲しくて貴族に悪口を言わせたんだからそりゃあその貴族を引き渡す訳がないよな。


「件の貴族を引き渡さないという事は教国と戦争をするという事です、後々に調べた所、公国は以前から教国との戦争に備えて食糧や武器を準備していた事がわかりました、つまり貴族は教国に宣戦布告をさせる為に神に対する侮辱を言ったという訳です」


「そしてコレがさっき言った言葉に繋がるんですよ」


「成る程、言いたい事は分かった」


公国が戦争を起こそうとしているという中、戦争を止めようとするのは非常に難しい。


隼人の行う作戦が成功する可能性は殆ど無い訳だ。


ダメで元々、俺が隼人を騙したとして、公国と教国が戦争する事は変わらないって事か。

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