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「じゃあ転移させるぞ」
「わかった」
異空間作成スキルを発動させてフェニと模擬戦をする空間を作った俺はフェニに一言声を掛けてから自分とフェニを転移させた。
「…ちゃんと転移できたみたいだな」
異空間に転移した俺は周囲を見渡してそう呟く。
転移先は完全にランダムに設定したから、最悪俺が転移した場所の直ぐそばにフェニも転移されるという可能性も有ったけど見た感じそれは無さそうだ。
「じゃあフェニを探しに…行く前に魔力遮断を発動させとくか」
この空間には俺とフェニの2人しか居ない、こんな状況で魔力を垂れ流してたら俺が此処にいるってフェニに教えてる様な物だからな。
俺はフェニに居場所がバレない様にする為、魔力を遮断を発動させる。
「一旦場所を変えよう」
さっきまでは魔力遮断を発動させて無かったから現在の位置はフェニにバレている筈だからな、移動してフェニに俺の居場所が分からない様にしないと
俺は気配遮断と忍び足を並行して発動させつつ右方向に進む事にする。
「…おっと、行き止まりか」
転移した場所から右方向に進み続けていた俺だが、フェニを見つけることも無く空間の端まで着いてしまった様だ。
「こっちにフェニは居なかったか、さてどうするか…」
フェニは俺が最初にいた場所を知っている…一旦戻ってみるか?いや、逆に警戒するか。
模擬戦で相手があからさまに自分の場所を分かる様にしてたら警戒する筈、だからフェニが最初に俺が転移した場所にいる可能性は低いだろう。
「でもそうなるとどうやってフェニを探すか」
現状フェニの居場所については一切情報が無い。
可能性としてだがさっき考えた様に俺が最初転移した場所の近くにいるという可能性も有るがその可能性は低い。
「しらみつぶしに探しても良いんだがそれも時間が掛かる」
奇襲を有りにする為にこの空間を作ったけど、此処は思っていたより広いし、木々によって視界も悪いからフェニが小さくなって隠れていたとしたら見つけるのは難しいだろう。
「いっその事奇襲するのをやめてフェニがこっちに来る様にさせるか?」
魔力遮断を解除すれば俺の居場所がフェニに分かる様になる、そうすれば俺から奇襲する事は出来ないが周囲に警戒していればフェニに奇襲されない立ち回りもできる筈だ。
俺がずっと一か所に留まっていたらフェニの方から俺の方に来るだろう、模擬戦という以上戦闘をしなくちゃ終わらないからな。
「よし、この作戦にするか…っ!」
作戦を決行に移そうとした俺だが、後方から何かが飛んできた。
「フェニだな…何処にいる?」
俺は飛んできた物を軽く横に飛ぶことで回避して周囲を警戒する。
「やっぱり避けられちゃったみたいだね」
周囲を警戒していると何処からとも無くフェニの声が聞こえてくる。
フェニの奴…音を反響させて自分がどこから喋ってるのか分からない様にしているな。
「でもコレは避けられるかな?」
「なっ!?」
フェニがそう言うと俺の足元にいきなり魔法陣が現れる。
「クソ!やられた!」
フェニの奴、随分前に俺の事見つけてたな!
俺は急いでその場から後ろに跳ぶ、すると魔法陣から大きな火柱出現した。
だがフェニの攻撃はコレで終わりでは無い、火柱を避ける為に跳んだ俺目掛けて周囲から大量の火の玉が俺に向かって飛んで来る。
飛んで来る火の玉を空中で避け、自分に当たりそうなやつは刀で切るか弾いていく。
「木が邪魔だな…」
だが周囲に有る木が避けられるスペースを小さくしてるから大きく動いて攻撃を避ける事が出来ない。
「このままだとフェニの思うツボだな」
俺がこうしてフェニの攻撃を回避している間にもアイツは俺に向かって炎を撃ってくる。
「どうする、この場合俺が取るべき行動は…」
俺は火の玉を避けながらどうするかを考える。
そして俺はとある事を思いついた。
「よし、コレだ」
俺は時間を稼ぐ為に向かってくる火の玉に水魔法で作った水球を撃って火の玉を消し飛ばす。
火の玉を消し終わった俺は足に力を入れ思いっきり真上に跳躍した。