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「中はこんな風になってるのか」
俺は倒した魔物を解体しながら呟いた。
あの後この魔物との戦闘になった訳だが、そこまで苦労する事も無く勝利した。
まぁ対処方法は他の魔物で解ってるし、そもそも攻撃自体当たってもダメージを受けないから負ける事は無いんだが。
「コレで火を作ってたのかな?」
俺は肺の近くにあった袋状の臓器を持ち上げる。
戦闘の途中あの魔物は火を吹いてきたんだけど、コレの中で火を作ってたのだろう。
「火炎袋って奴だな」
それにこの魔物の素材には耐熱、耐火性があるみたいだ。
「こんな場所に生きてるんだからそりゃそうか…よし、コレで大丈夫だろう」
俺は解体し終わった素材を全てアイテムボックスに突っ込んだ。
素材にならない内臓やら肉が有るがこれらは放っておいても大丈夫だろう。
モンスターが食べて処理してくれるだろうしな。
「よし、じゃあフェニ探しの続きをするか」
魔物の解体を終えた俺はフェニを探すために火山地帯の中央を目指して進むのを再開した。
「う~ん、やっぱりそんな簡単には見つからないか?」
その後2時間程火山地帯を探索したのだが出てくるのはただの魔物ばかりでフェニに関係してそうな生き物も建物も見つからなかった。
「フェニの部下を見つけて案内してもらおうと思ってたんだけど…」
フェニが火山地帯を治めてるって事はフェニの部下っていうかフェニに従っている魔物がいる筈なんだからそいつらを見つけてフェニの元に案内してもらおうと考えていたのだが、出て来たのはあまり知性の無い魔物ばかりだった。
「もうこの方法は止めて他の方法でフェニを探すか?ただ探すなら空を飛んだ方が効率良いんだよな」
空からなら有る程度の距離を見渡す事が出来るし何か建物が有ったりしたらすぐに分かるんだが、その分生き物が小さく見えるから見つけにくい。
「フェニの知り合いを見つけにくくなるけど空を飛んで探すか…ってアレは?」
このまま歩いてフェニの知り合いを探すか、それとも空を飛んで直接フェニの住処を探すかを考えていた時、俺は遠くの空に何かが飛んでいるのを見つけた。
「空を飛んでいるって事は鳥型の魔物か?でもそれにしては随分と大きそうだな」
飛んでいる魔物の周囲が陽炎の様に歪んでいて姿はハッキリと見えないが、空を飛んでいるという事は鳥型の魔物の可能性が高い。
それにあの魔物と俺の距離はだいぶ離れている筈なのに確認できるという事はあの魔物にが大型の魔物で有る事が分かる。
「フェニの知り合いだったら良いんだけど…まぁ近くに行って確かめて見るか」
フェニも鳥型の魔物だからあの魔物がフェニの知り合いという可能性がある、そう考えた俺はあの魔物の元に行くことに決めた。
俺は翼を出して空を飛んでいる魔物に向かって飛ぶ。
「…追いつかない、まぁまぁなスピードを出している筈なんだけど」
前方に見える飛行生物を目指して空を飛んでいた俺だが、あまり距離が縮まらない。
俺は現状で時速150キロ位は出ている筈なのだが俺の目に映る飛行生物の姿が大きくなっていない、つまりはあの飛行生物は現状の俺と同じくらいの速度で飛んでいると言うことになる。
「あの魔物…フェニの関係者の可能性が高いな」
ていうか十中八九フェニに関係している筈だ。
というのも、あの空を飛んでいる魔物はさっきまでにこの火山地帯で出会った魔物達を考えるとありえない能力だからだ。
あの狼型の魔物をこの火山地帯の魔物の強さの基準に考えたら絶対にあんな速度で空を飛べる魔物が生まれるわけがないからな。
フェニが鍛えた魔物だと考えればあの魔物がこんなスピードで飛んでいるのも納得できる。
「てことはあの魔物に接触すればフェニに会うことができそうだな」
あの魔物をフェニの知り合いだと仮定した俺はあの魔物に追いつくために速度を上げて魔物を追いかけた。