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「お前たち!この集落に何の用だ!」


俺が女性からあの城の名前の由来を聞いていると前方から声が掛かってきた。


声の主はさっき俺たちに止まれ!と言った人だろう。


目の前を見るとそこには獣人の男性…多分この集落の門番らしき人がこちらに向かって歩いていた。


「ここは偉大なる主人が住んでいる集落だ…ってなんだ、フォルテ、お前か、それで?調査とやらは終わったのか?」


どうやら門番らしき男性はこの女性と知り合いの様で、隣に居る女性を見つけると女性に向かってそう話しかけた。


今更知ったが女性の名前はフォルテと言うらしい。


「ああ、調査は問題なく終了した、それで集落の中に入りたいのだが問題は無いな?」


そして声を掛けられた女性…フォルテが門番の男性に向かってそう言い放つ。


「あ、あぁ…」


言われた言葉が意外だったのだろうか、門番の男性は生返事をしていた。


「それでは行きましょうか」


門番の返事を聞いたフォルテはそう言うと俺の手を引いて集落の方に歩き始めた。


「ちょ、ちょっと待て!」


女性に引かれるままに歩き始めて少し経つと後ろの方から門番の男性が大きな声で俺たちを止めた。


後ろを向くと門番の男性がこちらに向かって走って来ていた。


そして直ぐに俺たちに追いついた。


「どうしたんですか?」


歩みを止めた女性が後ろを向いて門番の男性に向かってそう問いかけた。


「どうしたんですか?じゃない、フォルテ、そこにいる男はどこの誰だ!」


門番の男性は俺の存在についてフォルテに尋ねた。


「どこの誰だ、と言われても…なんと答えれば良いのか…」


女性は俺の事をどう説明すれば良いのか分からない様でう~ん?と悩んでいる様子で門番の男性にそう言った。


門番の男性はフォルテの言葉を聞くと小さくなにかを呟きながら俯いて何かを考え始めた。


「あのフォルテが説明しにくい関係?…まさか!?」


そして何を考えたのか男性は顔を上げて大きな声を出した。


面倒くさくなりそうな雰囲気だな。


二人の様子を見ていた俺はそんな事を考えていた。


「おい、お前!まさかお前はフォルテの…」


門番の男性は鋭い顔でこちらに向かってズンズンと距離を詰めてくる。


これは…絶対に勘違いをしているパターンだ。


俺は男性の顔を見てそう判断した。


多分だがこの男性は俺とフォルテが男女の関係…とか思っている可能性が高い。


ここは素直に答えた方が良いな。


「何を勘違いしているのか分からないが俺は特にこの女性と親しい関係じゃ無いぞ、俺はこの集落に用があって女性には案内を頼んだんだ」


俺が男性に向かってそう言うと男性は足を止めた。


「そ、そうなのか?」


俺の言葉を聞いた男性はフォルテに確認する様にそう言った。


「ええ、このお方は主人のご友人で、主人に用があるという事で集落に案内する事になったのです」


「主人のご友人だと?」


男性はフォルテの言っていた事を確認をする。


「はい、そうです」


そしてフォルテの返事を聞いた男性の顔はどんどんと青ざめていく…


「これは!申し訳ございませんでした!」


そして男性はいきなり俺の前で土下座をした。


「ちょ!?ええ…」


俺は男性が何故俺に向かっていきなり土下座をしはじめて戸惑ってしまう。


「まさか主人のご友人だとはつゆ知らず、あなた様の事をお前などと言ってしまい!誠に、誠に申し訳ございません!」


男性はそんな俺の様子を知らずに俺に向かって謝罪をする。


「何卒、何卒命だけはご勘弁を!家では家族が待っているんです」


命だけはって…マジか…


俺は命乞いをしはじめた男性を見た俺は急いで男性に声をかける。


「謝る必要はないよ、別に俺は気分を害してなんかない、だから頭を上げてくれ」


俺がそう言うと土下座をしていた男性は顔を上げる。


「おいおい…」


俺は顔を上げた男性の顔をみて思わずそう声が出てしまった。


顔を上げた男性の顔は涙やら鼻水やらでぐちゃぐちゃになっていたからだ。


俺の事をお前って言った位で大げさ過ぎる…と思うが、これがフェルの影響力だと考えるとそのヤバさが分かる。


「…許していただけるのですか?」


男性は泣きながら俺の事を見てそう言った。


「許すも何も、俺は何も怒ってないよ」


俺が男性にそう言うと男性は泣きながら俺にお礼を言った。

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