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「アイスキャッスルね…それはフェルが付けたのか?」


俺は十中八九そうだろうと思いながらも女性にそう質問をする。


女性の話の感じから集落の中は女性の様にフェルのことを崇拝している奴がいっぱい居るはずだ。


そんな人たちがフェルの居住に名前を付けるとなった場合、アイスキャッスルなんて名前を付けるわけが無い。


氷で出来た城でアイスキャッスル…なんてなんの捻りもないからな。


逆にそんな名前を付けようとしたら周りにいる信者たちにボコボコにされるのが目に見えている。


俺の想像だと偉大なる主人の住まいになんて名前を付けようとしている!って感じになると思う。


だけど、実際にフェルが住んでいるというあの氷の城の名前はアイスキャッスルだ。


普通に考えてもあの城の名前はフェルが付けたと分かるだろう。


フェルの意見に反対する様な奴は居ないだろうからな。


「はい、その通りです…あの城を作った時に問題が起こったらしく、その問題を解決する為に主人が名前を付けたらしいのです」


「問題が起こった?」


あの城を作った時に問題が起こったのか?


「はい、これから主人の住まいになる城の名前を決める…という事になり、どんな名前にするのか…というので少し喧嘩が起こってしまったらしいんです」


「あぁ~成る程、そういう事か」


俺は女性の言葉を聞いてどんな問題が起こったのか、大体想像出来た。


多分…というか殆ど確定だろうが、誰があの城に名前を付けるのか、という所で喧嘩が起こったのだろう。


集落の人たちが皆この女性の様な人だと考えると、フェルの居住になる城に名前を付けるというのは名誉な事だ。


誰が名前を付けるか、そしてどんな名前をあの城に付けるのかで揉めて、それが大ごとになったって感じか?


俺は話の流れからどんな事が起こったのかを想像した。


「まぁ結局の所、皆が喧嘩をしているのを見た主人が喧嘩をするくらいなら自分で決める、と言ってあの名前を付けたらしいです」


「へぇ~、そうだったのか」


「はい、主人は自分のために皆が争っているのを止めるためにあの様な名前を付けたのだと私は聞いています」


自分の為に起こっている喧嘩を止めるために…か、それは違うな。


俺は女性の言った言葉を聞いてそう判断した。


確かにフェルは城に名前を付けようとしていた人達の喧嘩を止める為に自分であの城の名前を決めたのだろう。


だが、その理由は自分の為に人が争っているのを見るのが嫌だから…というものではない事は確実だ。


フェルの性格を考えて、自分に害が無いのなら他人がいくら争っていても自分からは関わったりしない。


以前に、フェルが配下にしていたホーリーウルフ達の中で大きな喧嘩が起こった時、フェルは争いを止めるでもなく傍観していた。


その時になんで喧嘩を止めなんだ?とフェルに聞いた事がある。


その時にフェルは自分が関わって問題が解決したとしても根本的な解決にはならないからって言ってたからな。


フェルは自分に害が及ばない時は自分から争いには関わらない、喧嘩が人を成長させる事もあるからな。


でもそう考えるとなんでフェルが城の名前を自分で決めたのかが気になるな。


さっきも言った様に、フェルは自分に害が無いのなら自分から争いには関わらない。


でもフェルが関わったって事ななんらかの理由でフェルに害が及ぶ可能性が有ったって事だろ?


城の名前をどうするかって言うだけでフェルが関わらないといけない様になる事ってあるのか?


そう考えた俺はどんな状況ならフェルが関わらざるを得ないかを考える。


「う~ん?」


だが、城の名前を決めるというだけでそんな大ごとになるというイメージが湧かない。


「どうしました?」


俺が考え事をしていたからなのだろう、女性は何か問題があったのかを聞いてきた。


「いやなんでも無い、少し考え事をしていただけだよ」


「そうなのですか?なら良かったです、何か気分を害する様なことををしてしまったのかとおもってしまいました」


俺が女性に何も問題は無いと答えると女性は安心した様に息を吐いた。

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