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「それに、フェルに肉親が居なかったとしてもフェルはフェルだ、今までと変わらずに接してやってくれ」


俺は女性にそう伝える。


「そうですね…そうする事にします」


「うん、それが良い、フェルも、いきなり君の接する態度が変わったら傷つくかも知れないしな」


まぁこの女性がフェルと親しい関係なら…という条件つきだけどな。


まぁ流石に、女性の行動からしてある程度はフェルと親しいとは思うが…


目の前にいる女性も、親しくもない自分の上司の為に命を捨てるという選択は取らないだろうしな。


「本当に…そうですかね?」


女性は自信なさげに俺にそう聞いてくる。


まぁ女性の思っている事は大体分かる。


支配者としてのフェルを常に見続けたせいで個人としてのフェルがどう思うのかあまり想像できないのだろう。


俺は女性を見ながらそんな事を考えた。


う~ん、このまま女性の気分が落ちたままだと面倒くさくなりそうだな。


この女性にはこの後フェルのいる場所まで案内してもらわないといけない訳だし、このまま女性の気分が暗かったら色々と困ってしまう。


俺とフェルが家族だという事を証明する為にフェルと出会ったときの話を濁して話したが、意外と女性を考えさせてしまったらしい。


俺的には、そんな事があったんですか?的な感じで女性が俺の話を聞いて、その後で小さかった頃の主人はどんな感じだったんですか?とか聞かれると思っていたんだけど…話の流れが少し重くなってしまった。


俺はどうにか女性の気分を上げられないかを考える。


こういう時は…う~ん、あれが良いか?この女性だったら多分大丈夫だろうし。


そして俺はとある方法を思いつき、女性に対して実行する事にした。


「フェルが君に態度を変えられて傷つくかどうか…そんな事は君が一番知っているんじゃないか?」


俺は女性に対してそう言った


「っ!?…はい!」


そして結果は見事に成功、女性は俺の言葉を聞いて一瞬驚いた様だが、その後直ぐに表情は明るくなったから元気は出たみたいだ。


うん、上手くいって良かった。


俺は女性に元気を出してもらう為にあの言葉を掛けたのだが、あの言葉は1つの賭けだった。


女性に言ったあの言葉は一歩間違えば女性の元気を出すというよりも女性の心を傷つけてしまう可能性も有ったからな。


それでも目の前に居る女性なら大丈夫だろうと思って実行した訳だけど、万が一失敗したら大変だった。


今回、俺が女性に掛けた言葉は一種の問いかけだ。


目の前の女性がフェルの家族関係を知ってフェルへの態度が変わった時に一体フェルはどう感じると思う?という感じにな。


そしてそれを女性に聞くことで女性にフェルがどういう反応をするのかを想像させる…


そしてそれを想像させる事で女性の落ちた気分を上げる事が目的だった。


女性が、自分の態度が変わったらフェルがどんな反応をするのかを想像した時に、悲しむ様な反応をすると想像したのだったら今回の作戦は成功だ。


自分の態度が変わって悲しむという事は、それだけ自分の事を親しく思っていたという事だからな。


実際にフェルがどう思うかは分からないから結局のところ妄想と変わらないけど、女性の気分が上がるなら問題はない。


だけど、この方法は女性の想像したフェルの行動によって逆に女性の傷ついてしまう可能性が有った。


普段からフェルの側にいるのならフェルの考え方は分かるだろうし、それが原因でフェルならこう考える…って想像した物が女性を傷つける可能性が有ったと言う事だ。


女性はフェルの事を神聖視している節があるからな、そんな神聖視している存在に見捨てられたりしたら心へのダメージが凄そうだ。


女性の中のフェルの存在が大きければ大きいほど、その存在に裏切られたり見捨てられた時の精神的ダメージは凄いからな。


だから、本当に上手くいって良かった。


女性のフェルへの態度考えたら最悪精神を壊して廃人化、なんて事もあったかも知れない…そう考えたら意外とヤバイ事をしていたんじゃないか?

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