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「それで、私は長に迷いの森で3ヶ月間生活をしていた事を話したんですが、それを聞いた長があの森に行って生きていたのか!?って凄く驚いたんですよ」


凄く驚いたって…そんなに女性が迷いの森に居たというのが意外だったのだろうか?


そりゃあ行方不明だった少女が立ち入り禁止と言っていた場所で生活していたと言われたら驚くだろうけど…


それに、あの森に居て生き残ったのか、という発言…迷いの森はそれほど生存が難しいと考えられていたって事か?


女性の話では食料や水はいっぱいあったらしいからそれさえ調達できれば生き残るのは可能だ…という事はそれ以外に生存が難しくなる要素でもあるんだろうか?


俺は集落の長の反応を聞いて疑問に思った。


「その時に聞いたんですけど、あの森が立ち入り禁止になったのって、昔大人達があの森を調べるために集団で森に入って、1人も帰ってこなかったかららしいんです」


成る程、以前に大人が集団で行動したときに生存した人が居なかった森で子供が1人で生き残ったというのならそりゃあ驚くだろう。


「それで、長がしつこく、本当にあの森で3ヶ月も生活していたのか?って聞いてきたんですよ」


まぁ大人が生存出来なかった場所に大人よりも弱い子どもが生き延びたって言われても信じられなかったのだろう。


「それで、どうにも長が私の話を信じていなかったみたいなので、私が森から出た方法を長に話したんです」


「あの木に登って外の方を確認するって奴か?」


「はい、それを聞いた長は少し考えてから分かった、話してくれてありがとう、と私に一言言って私を家に返したんです」


集落の長はさっきまで信じられない様子だったのに少女が森から脱出した方法を聞いて直ぐに帰したって事は納得したのか?


でも、木に登って森の外を見ながら出たという方法を聞いて納得したのだろうか?


女性が話した方法自体はそんなに難しくない…誰でも思いつきそうな物だからな。


でも簡単であれば簡単であるほど、そんな簡単な方法では出来ない…と考えてしまう。


実際に以前に集落の大人が何人かは分からないけど集団で森に入って全滅したのだったら、余計にそんな簡単な方法で出れるわけが無いと考えてしまうんじゃないか?


多分だけど集落の長という人は少女のその話だけで本当に少女が迷いの森で生活していたと判断はしないだろう。


少女の話していた事全てが嘘だとは思ってないだろうが、流石に迷いの森から帰ってきたのは嘘だと判断していてもおかしくはない。


少女の事を返したのはこれ以上同じ質問をしても意味がない、と考えたからだろう。


「その長って人は話を聞いて納得したのかな?」


「いえ、長は私の話を信じてなかったんだと思いますよ、だって2日後位に一部の大人達が森の調査に行きましたからね」


森の調査に言ったという事は…少女のの話が本当だったかを確認しに行ったという事だろう。


「調査に行ったという事は君の話していた事が本当だったか確認しに行ったという事だな」


少女話が本当だったら調査に行った大人達は帰ってくる事が出来るから、調査に行った人たちが帰ってくる事が出来れば必然的に少女の言っていた事は正しかったという事になるからな。


「でも少女の話を確かめる為だけに大人達を集めて調査に行ったのか?」


でも俺が気になったのは大人達が森の調査に行った、というものだ。


少女の話が正しかったのかを確かめるのは人数は必要ない筈だし、少女の話が嘘だったパターンを考えたら大人数の行動は普通させない筈だ。


そう考えていると女性は俺の疑問に答えてくれた。


「いえ、多分それだけじゃ無かったと思います…その時期は集落の周りの獲物が少なくなって食料が足りないかも…という話が有りましたからね」


つまりは口減らしという事か。


集落の長としても苦渋の判断だろうが、少女が迷いの森から生きて帰ってきたという話を聞いて口減らしをしようと考えたのだろう。


森の調査に失敗したら、必要になる食料が減り、調査が成功したら食料を得られるという事わけか…

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