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「あ~それですか?ちゃんと探してくれていたみたいですよ」


女性は俺の質問に答えてくれた。


「そうなのか?」


「はい、戻ってから知り合いに聞いたんですけど、私がいない事に気付いた大人たちが集落の周囲を捜索していたみたいなんですよ、まぁそれも1月位で終わったみたいですけど」


「そうだったのか…」


ちゃんと集落の大人たちは女性の事を探していたみたいだな、女性が聞いたっていう知り合いが嘘をいっているという事は無いだろうし


「まぁ集落の外って危険がいっぱいですからね、大人たちも私が集落の外で長時間生き続けられるとは思っていなかったんでしょうね…まぁ私1人にそんな時間をさいている時間なんてないでしょうし」


その集落の大人たちも当時14歳だった女性が1ヶ月以上も生き延びている、とは考えられなかったって訳か。


「逆に私は1ヶ月間も捜索していた事に驚きましたよ、集落の外は子供が1人で生き延びられる環境じゃ無いですからね…死んでしまったと諦められても仕方ないですし」


女性は俺にそう話してくる。


まぁ今居る所でもあんなに吹雪が凄いんだ、女性の居た集落というのはもっと凄い環境なのだろう。


そんな所に子供が1人で…なんて想像したら生きて帰ってくるとは思えない。


それでも1ヶ月間も捜索していたのはこの女性が集落の人たちに愛されていたという事か?


「でも大人達が諦めても両親だけは私を探すのを諦めなかったとは」


「そうなのか…という事は戻ってきた時は随分驚かれたんじゃないか?」


俺は女性にそう聞く。


1ヶ月間集落の周囲を捜索して、死んでしまったのだろうと諦めた少女が、居なくなってから3ヶ月後にひょっこりと帰って来たのだ、大人たちはさぞ驚いた事だろう。


「ええまぁ両親には随分と怒られましたよ、勝手に1人で集落の外に出るんじゃ無い!…って感じにですね」


女性は当時の両親の真似をながら怒られた内容を話す。


「最後は無事に帰って来て良かったって言って抱きしめてくれましたよ…その時父が泣いてたんですけど、父が泣いている所を見た事がなかったので凄く驚きましたよ」


「いい両親なんだな」


俺は女性の話を聞いてそう思った。


俺に女性の両親の気持ちなんて分からないが、それでもその人達がこの女性の事を愛していると言うのは分かった。


「はい、私の自慢の両親ですよ」


女性は自信満々にそう言い切った。


「…それで?その後はどうなったんだ?」


俺は女性に集落に戻ってきた後の事を聞く。


この女性が3ヶ月間迷いの森で生き延び、集落に戻ってくれたのは分かったが、まだフェルの話が出てきていないからな。


「私が迷いの森から集落に戻ってきた後、一番初めに両親に会いに行ったんです」


まぁこれはさっき話していた奴だな。


「怒られた話はさっき話したものなので省略しますね、それで、両親に凄く怒られた後、私は両親と一緒に3ヶ月ぶりに食事をとり、その後一緒に寝ました」


久し振りの家族水入らずで過ごしたって訳だな。


「そして次の日、私は集落の長の家に呼ばれました」


帰ってきて想像集落の長の家に召集って事は…事情聴取か?


「3ヶ月間何をしていたのか?って言うのを聞かれた訳だな」


俺がそう聞くと女性は一度頷いた。


「はい、3ヶ月間集落の外でどうやって生活をしていたのか…というのを長に聞かれたんです、後は怪我をしている所は無いか?という物でしたね」


女性の集落の長が何でそんな事を女性に聞いたのかは簡単に想像できる。


集落を治める長として、少女がその3ヶ月間をどう過ごしたのかを聞く必要があるだろうからな。


それに集落の外で子どもがどうやって1人で生き延びられたのか?とかが知りたかったのだろう。


方法が分かればそれを集落の子ども達に教える事で、万が一子供が集落の外で迷ってしまった時の生存率を上げる事ができるからな。

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