表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
231/280

231

「迷いの森で迷ってしまった私は集落に戻ろうと大体三ヶ月くらい森の中を彷徨ったんですけど、結局森の外へは出ることが出来なかったんですよ」


となると3ヶ月間、森の中で生活をしたという訳か。


森なら果物があるかもしれないし、野生動物も居るだろうから食料は確保できるし、川を探せば飲み水も一応確保する事が出来る。


食べられる物を見分ける能力や、森に居る動物を狩るだけの力が有れば迷いの森でも生き残れるという訳か。


「3ヶ月以上もその森で生活したのか」


「はい、幸いな事にあの森には食料も水も十分に有りましたからね、生活する事は出来ましたよ」


「それは…大変そうだな」


俺は迷いの森で3ヶ月過ごしたというのを聞いてそう呟いた。


普通14歳の子供が森で生活する事なんて無理だろう。


動物を狩ることは出来ないし、出来たとしても血抜きをするなんて考えないだろうし、それに肉を焼くのだって火をおこさなければいけないからな。


火魔法を持っていなかったら自分の力だけで火をおこさないといけないのだ、14歳の子供では到底出来ない事だろう。


「ええ、本当に大変でしたよ、森の中じゃさっきまでいた場所に戻る事すら難しかったんですから」


女性はそういうととある事を教えてくれた。


「あの森、匂いを辿ってさっきいた場所に戻ろうとしても戻る事ができなかったんですよね」


となるとその迷いの森というのは方向感覚を狂わせるのではなく森に入った者を強制的に迷わせる力があるという事か?


俺は女性の話を聞いてそう考える。


ゲームでの迷いの森は正解のルートを通らないと同じ所をグルグル回らされるという仕様の物もあるけどそこにもそういう類の力が働いていたのか?


「まぁ最終的には、木に登って出口の方向を確認しながら外に向かう事で無事森の中から脱出する事が出来たんですよ」


「そうだったのか?」


「ええ、あんなに森の中を彷徨っていたのにあっさりと出る事ができたんですよ」


女性の話を聞いていると俺はふと疑問に思った事がある。


森の中に入った物を強制的に迷わせる様な力が森にあるならそんなに簡単に脱出する事が出来るのか?と言うものだ。


だがその疑問も後に思いついた考えで納得できたからだ


そうか…迷いの森が入った生物を迷わせると言っても森の中の空間が歪んで外に出る事ができない…とかじゃなければ女性の行った方法で脱出できるか。


それに、迷うと言っても森自体が動いて中に入って居る人が出られないようにしている訳じゃ無いみたいだからな、常に出口を確認しながら進めば脱出することは出来るか。


そう考えると女性が森から出る事ができた理由には納得出来た。


「それで?1つ疑問が有るんだが聞いていいか?」


俺はさっきから気になっていた事があったから女性に質問をしていいかを聞く事にする。


「ええ、大丈夫ですよ、何でも聞いてください」


女性は快く質問をして良いと言ってくれたので早速とある事を聞いた。


「君は3ヶ月間森の中で彷徨っていたと言っていたが、集落の大人たちは君のことを探していたのか?」


俺がさっき疑問に思っていた事は女性の住んでいた集落に居た筈の大人たちは何をやっていたのか?と言うものだ。


当時、少女だった女性が集落に居ない事に大人たち…というか集落の人達は当然気づいただろう。


だって一緒に過ごしていた人が居ないのだ、気づかない方がおかしいだろう。


当然、子供が居なくなった事に気がついたら大人たちはその子供の事を探しに行くだろう。


なのに女性の話を聞いた感じだと集落の人からコンタクトが有ったという話は無く、3ヶ月の間森の中で生活し、自力で脱出したらしいし…普通に考えたら可笑しいだろう。


だって大人たちが女性の事を森まで探していたのなら多かれ少なかれ女性にコンタクトがある筈だ。


大人たちが森の中を声を出しながら女性を探していたとしたら、遠くから自分を探す声が聞こえた…とかな。


なのに女性の話の中ではそんな様子は無かった…ということは集落の大人たちは女性の事を探していなかった可能性がある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ