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「…それでは続きを話しますね」


女性はコホンと一度咳をすると先ほどの続きを話し始めた。


「私は迷いの森で迷ってしまい、住んでいた集落に帰ることが出来なくなってしまいました」


まぁ運良く戻る事が出来たんだったら今話す必要はないからな。


「それで、その後はどうしたんだ?」


普通なら小さい子供が街の外で迷子になったら大人たちがその子を探しに行くんだろうが…この女性が迷ったのは迷いの森だ、何らかの対策を取っていなければ助けに行った大人達も迷ってしまう事になる。


「当時の私は危機感が少なく、適当に歩いていれば森の外に出られるだろうと森の中を彷徨ったんです、今考えれば有り得ない行動ですよね」


まぁ確かに、なんの対策もせずに迷っている森の中を歩き回るのは自殺行為だ。


運良く森の外に出られる可能性は有るが、その可能性は限りなく薄いだろうし、そんな事よりも余計に帰り道が分からなくなる可能性の方が圧倒的に大きい。


ある程度の知識がある者なら木に目印を付けたりしながら森の中に入るんだろうが…


迷いの森…と名前からしてなんの対策もしないで入ったら迷ってしまうと教えてくれている様な物なのだ、普通なら入るとしても森の出口が分かるように工夫をするだろう。


その工夫というのはさっき俺が考えた木に傷を付けて目印にするというのも1つの方法だ。


木の幹に自分が来た方向を矢印なんかで書いておけば、迷ったとしても木を見ながら元いた方に戻っていけば無事に森から出れると言う物だ。


他にも入り口の木にすごく長いロープを巻きつけて持っているとか、対策がない訳では無い。


だが、当時この女性は14歳だったらしいし、迷いの森の危険性も理解していなかったのだろうからな。


「まぁそれは今考えたら…の話だろう?何も知らないでその森に入ったんだったら迷ってしまっても仕方ないんじゃ無いか?」


俺は当時の女性の行動を聞いてしょうがない事だったと判断した。


まぁ危険な行為に変わりはないが、その集落の大人たちが子供のことをしっかりと見ていなかった事やきちんと森に入っては行けないという理由を説明していなかった事を考えると、悪いのは当時の大人たちだろう。


まぁそれでも、立ち入り禁止と言われている所に好奇心とはいえ勝手に入っていたのは行けない事だろうが…まぁ目の前に女性が居るのだから無事に救出されたんだろうけど。


「仕方ないと言われればそうですが当時の私には危機感という物が無さすぎたんですよ…今考えると恥ずかし過ぎます…」


女性は当時の自分を思い出しているのか恥ずかしそうにそう言った。


「まぁここにいるって事は無事だったんだろ?終わりよければ全て良しって訳じゃ無いが怪我が無くて良かったじゃないか」


「まぁそうですよね…あそこで大怪我をしていたら主人に出会えなかった訳ですし、そう考えると当時の私は良くやった…という奴でしょうか?」


女性は当たり前のことの様にそう言った…やっぱりこの人、フェルの事になるとテンションが可笑しくなるな。


「それで?迷いの森で迷ったのは分かったんだが、それがフェルの出会いとどう関係してくるんだ?」


このままだとまた女性がフェルの事を語り出しそうだと考えた俺は一旦話を戻すために女性にそう尋ねる。


「あ、そうでしたね…それでは続きを話します」


俺が女性にそうたずねると女性は続きの話をし始めた。


「それで、私は迷いの森で迷ってしまった訳なんですけど…助けが来る事もなく3ヶ月の時が過ぎました」


「一気に時間が飛び過ぎじゃないか!?」


俺はてっきり森で迷っている時の話をするのだと思っていたのにいきなり3ヶ月が経ったと言われて思わず突っ込んでしまう。


「いえ、その時のことは本当に特に話す様な物は無いんですよ」


そう言うと女性はその3ヶ月間の間に有った事を簡単に話してくれた。


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