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エステラの提案により俺は教会に泊まらせて貰うことにした。
そしてエステラ達の買い物に付き合いさっき行った教会に向かう。
「すいませんユウヤさん、重い荷物を持たせてしまって」
泊まらせて貰うからと荷物持ちをやっている俺に言う。
「いや、俺がやりたくてやってるから気にしなくて良いよ」
「そうそう、折角兄ちゃんがやってくれるっていってんだから素直にやって貰えって」
「クロス、あんたはただ荷物持ちをしたくないだけでしょ」
「な、何を言ってるのか分からないな~」
クロスはシェラに指摘をされると目を泳がせながらごまかす…まぁごまかせてるかは置いておくけど。
話は途中で俺が教会に取り立てに来ていた奴等を倒した時の話になった。
「それにしても兄ちゃんは凄かったよな、あの人数を相手にして楽勝で勝っちまうんだから」
クロスが言った言葉にシェラとリルもうんうんと頷いている。
「兄ちゃんってもしかして凄い冒険者だったりするのか?」
「いや、冒険者になったのは今日だからランクは高くないんだ」
クロスにそう聞かれた俺はこう答える事にした。
まぁゲーム時代のギルドでは最高ランクを取っていたがこの世界で冒険者になったのは今日だから嘘にはならないだろう。
「じゃあ兄ちゃんはなんでそんなに強いんだ?」
「ちょっと昔に色々と無茶をしたんだ、強いのはそのおかげなんじゃないかなぁ」
「へぇ~そうなんだ、兄ちゃんって若いのに随分修羅場をくぐってたんだな…そうだ!教会に着いたら兄ちゃんの冒険の話をしてくれよ!」
「それ私も気になるかも」
「私も聞きたいです」
「うん、良いよ」
クロス達が冒険の話を聞きたいというので了承する。
まぁ初期の方の話ならしても大丈夫だろう。
「よっしゃあ!早く帰ろう!」
俺が了承するとクロスは目に見えてテンションが上がった。
「あんなにはしゃいじゃって、まだまだ子供ね」
「そういうシェラちゃんだって嬉しいくせに」
「リル!」
はしゃいでいるクロスを子供と言ったシェラをからかうリル、先程の挨拶をする時には緊張していたのだろう。
3人は随分と仲が良いみたいだ。
「良い子達だね」
「はい、自慢の子供達です」
エステラに聞くと3人は冒険者に憧れているらしい。
それで、教会に住んでいるから冒険者の人と会うことが無いので興奮しているんだと思います、とエステラが話してくれた。
その後、教会に着いた俺たちはエステラが作った料理を食べた。
俺も手伝うと言ったのだが、荷物を持って貰ったのに料理も手伝ってもらう訳には行きませんと言われて手伝わせて貰えなかった。
この世界にはゲームの様な娯楽が無いので寝るのが早い。
ご飯を食べ終わり、皿洗い等を終えた俺たちは布団に入る事にした。
ちなみに俺は子供達と同じ部屋でエステラとは別の部屋だ。
この教会は正面から入ると礼拝をする所があり、生活スペースは無さそうに見えるが、まさかの教会の後ろに居住スペースが繋がっているという物だったらしい。
そこまで広くは無いが子供部屋の大部屋にキッチン、エステラの寝室とまぁまぁ広くてびっくりした。
という訳で食事を終えた俺たちは口を軽くゆすいで子供部屋に行ったという訳だ。
この世界に歯磨きという文化は無いのだが衛生面は魔法が使えれば問題ない。
ので、俺は子供達に魔法を掛けてきれいにして、布団に入る。
そして布団に入った所で先程話すと言った冒険の話について話すことになった。
教会で暮らしている子供はクロス、リル、シェラの3人だけだったみたいだ。
他の子供は引き取られたりしたみたいだ。
「こうして、俺たちはゴブリン達から街を守りきったという訳だ」
「すげぇ!」
「クロス、もう少し静かにしなさい…でもゴブリンと言えども数を揃えたら驚異になりうる…か、参考になったわ」
「ユウヤさん…凄いです」
俺が話したのはユグドラシルオンラインの最初のイベント、ゴブリン襲撃イベントについてだったが、どうやら楽しんでくれたみたいだな。
その後、興奮していたクロスを落ち着かせて俺たちは眠りについた。