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女性はフェルの話をすると先程までの暗い雰囲気が無かったのかの様に元気になった。


「まぁフェルは昔から大らかというか…小さい事は気にしない性格だったからな」


フェルはプライドは高いけど嫌いな奴以外には高圧的な態度は取らない。


それに仲間思いの良い子だし、器量が良いからさぞ良いリーダーをしているのだろう。


じゃなかったらこんなに配下に懐かれはしないだろう。


俺は女性がフェルの事を慕っている様子を見てそう考える。


まぁ、フェルが良い子なのはもともと知っていたし、この極寒地帯で良いリーダーをしているというのも納得というかフェルならそれくらい当たり前だろう。


俺がそんな事を考えているとテンションが上がった女性がとある話を俺に聞かせてきた。


「主人の懐の深さは海よりも深いのです…そう、あれは私がまだ幼く、主人の事を知らなかった時の事…私はとある集落で生まれ、そのまま病気になる事もなく、元気に日々を過ごしていました」


どうやら女性の回想が始まったらしい。


女性は当時の事を思い出しているのか目を閉じながら懐かしい、という雰囲気を出しながら俺に話を続ける。


「当時私が住んでいた集落では絶対に入ってはいけないと言われていた場所が有ったんです。

今までは決まり事だからと立ち入ることはなかったのですが、14歳になって少し経った頃、好奇心のあまりその立ち入り禁止の場所に向かってしまったのです」


ふむふむ…そういう感じか。


これはアレだな、立ち入り禁止の場所に入ったこの女性が何らかが原因で危険な目に遭って、それをフェルが解決するっていう王道なパターンだな。


俺は女性の話た内容から続きを予想した。


この女性のフェルへの忠誠心を考えたらこの時に助けてもらった事に感激して…とかはあり得るだろう。


「その立ち入ってはいけないと言われていた場所…迷いの森と言うんですけど、その森はその名の通り中に入った者は迷ってしまい、森から出ることは困難と言われている場所だったのです」


成る程、ゲームでも偶に聞いたりする迷いの森か…高い木々に周囲を囲まれるうえに、木がいっぱい生えているからまっすぐ進む事が困難で、しかも木の根による地面の凹凸で方向感覚を狂わされるという奴だな


まぁこの世界はユグドラシルオンラインの世界に似せて作った世界らしいし、ゲームの様な設定の様な森があっても不思議じゃないよな。


「案の定、私は森の中で迷い、集落に帰る方法が分からなくなってしまったのです」


そりゃそうだろう。


迷いの森って名前が付く位の場所だ、当時14歳の少女が一人で入って迷うなというのも無理があるだろう。


でも、この話の内容だったらさっき予想した奴は当てはまることは無いだろうな。


俺は予想していたのは女性が襲われて危機一髪の所でフェルが助けに入って、助けられた女性がフェルに感激したという物だが、話を聞いた感じそれではなさそうだ。


森や山などで道に迷った場合、1番危険なのは他の生き物に襲われるとかよりも自分の食べるものが無くなって飢えてしまう事だからな。


だから現状予想するとしたら迷いの森で迷った女性が食料がなくて飢え死にしそうになっている時にフェルに助けてもらったとかだろうな。


俺は女性の話から予想を変更する。


「それで?その森で迷っているところをフェルに助けてもらったのか?」


俺は自分の予想が合っているかを確認するため、そう質問をした。


「いえ、私と主人が出会ったのは迷いの森ではありません…それからもう少し後の事です」


だが、女性の答えは俺の予想を外れて迷いの森ではフェルに会っていないおいう物だった。


…話の内容的にフェルと会ったのは迷いの森だと予想したんだが、どうやら違ったみたいだ。


でもそうなると女性はフェルとどこで出会ったのだろうか?


それに、迷いの森でフェルに会っていないのだったらわざわざ迷いの森で迷ってしまった事を話すか?


俺は頭の中でなぜ女性がフェルと出会った場所では無いという迷いの森の話をしたのかを考えるが一向に答えは浮かんでこない。


…まぁなんにせよ、女性の話を聞いてれば分かるだろう。


最終的に俺は考える事をやめ、女性の話を聞く事にした。

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