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「元々、フィオレにプロポーズをした後に家には一度帰ろうと思ってたんだ」
「そうなんですか?」
「ああ、冒険者ランクがAになったらフィオレにプロポーズをするって決めていたからな、フィオレにプロポーズをして、お袋に報告をする為に一度家に帰るつもりだったんだ」
成る程、結婚の報告と一緒に一度帰るつもりだった訳だな。
まぁその場合フィソレさんへのプロポーズが失敗したら大変なことになっていたが…まぁ元々長年付き合っていた様だし、失敗する可能性は限りなく低かっただろうけどな。
「そうなんですか…」
「ああ、冒険者になる時、冒険者として成功して親父を見返してやろうって決めたって言ったろ?あの後にどれくらいまで行けば冒険者として成功したかって考えてな、Aランクまで行ったら流石に親父も俺の事を認めるだろうって考えたんだ」
「そう言う事ですか」
俺はブラットさんの一言で納得した。
多分当時のブラットさんは冒険者ランクをどれぐらいまで上げれば冒険者として成功したと言えるのかを知らなかったんだな、それで、上から2番目のAランクになったら父親も認めるだろうって考えたと言うことか。
「まぁ冒険者をやってからBランクを超えたら一人前の冒険者と言っても良いって事を知ったんだがな、最初に決めた事だしここで変更するのもあれだと思って、Aランクになるまで家に帰るのはやめようって考えたんだ」
当時の自分の認識が違っていた事を知って、それでも最初に決めた目標を変更しなかったのか。
「まぁ冒険者ランクをBからAに上げるまでに2年も掛かっちまったんだけどな」
ブラットさんはそう俺に言った。
「Bランクから2年でAランクになれなんですなら十分凄いと思いますよ」
「そうか?まぁ最近はフィオレにプロポーズする為に色々頑張ったが、俺なんかより凄い人はもっと居ると思うぞ」
ブラットさんはそう言うがBランクからAランクになるのに本来ならもっと掛かるだろうし、2年で昇格できたのなら凄いと思う。
「そうだとしても、ブラットさんは凄いと思いますよ」
ブラットさんは自分より凄い人はいっぱい居ると言うが、そうだとしても俺は素直にブラットさんを賞賛したい。
「だけど…まぁあんがとよ」
俺の言葉にブラットさんは少し照れながらもお礼を言ってきた。
「それで、ブラットさんがAランクになったのっていつなんですか?」
俺はブラットさんにそう質問をする。
さっきブラットさんはAランクになったらフィオレさんにプロポーズをして、家に帰るつもりだったと言っていたから多分Aランクになってからそこまで経っていない筈…
「俺がAランクに昇格したのは丁度ユウヤたちと出会う前、つまりは王国から戻る直前だな」
ブラットさんはそう俺の質問に答えてくれた。
となるとブラットさんは依頼で王国に行き、王国で昇級試験を受けてAランクになったから、公国に戻ってきたという訳だな。
それで、ちょうど公国に戻る時の馬車で俺たちに出会ったと…
「公国に帰る前に昇格試験に受けるための貢献ポイントが溜まってな、王国で昇格試験を受けたんだよ」
「そうなんですか、それで1発で試験に合格したんですね」
Aランクへの昇格試験がどの程度の難易度かは分からないが、やはり難しいのだろう。
「まぁあれは運が良かったんだ、アレをもう一回やれって言われたら出来るか分からねぇ」
「それで、試験の内容はどんな感じだったんですか?」
冒険者ランクをAに上げるための試験、俺はブラットさんにその内容を聞いてみる。
「俺の時はダンジョンにソロで潜って特定の階層を突破、又はダンジョンの攻略っていうのだったな、普段はパーティを組んで行動してるから罠やら食料の準備やらを一人でやらないといけなかったから大変だったよ」