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「ラビットのシチューにオススメのお酒でよろしいでしょうか?」


女性は俺の注文を復唱して間違いが無いかを確認する。


「はい、それでお願いします」


注文に間違いは無いので俺はそう答える。


「かしこまりました!それでは少々お待ちください…お父さん!ラビットのシチューとオススメのお酒だって!」


「あいよ!ちょっと待ってな!」


女性はハキハキと元気よくそう言い、厨房の方に向かってそう言った。


「お父さん?」


俺はというと女性が先ほど放った一言に衝撃を覚えていた。


先ほどこの女性は厨房に向かってお父さんと言った…つまりは厨房にこの女性の父親が居るのだろう…だが、厨房から聞こえてきた返事は先程までブラットさんに話をしていたガンテツさんの声だった。


先程までその声を聞いていたのだから聞き間違いというのは絶対にない。


という事はこの人は…


「ガンテツさんの娘さん?」


「はい、そうですよ?」


そして俺の呟きを聞いていた女性は俺に向かってそう言ってきた。


「マジか…」


女性の言葉を聞いた俺はついその一言が口からこぼれてしまった。


ガンテツさんって子供居たのか…


あの顔で妻子持ちという事実に思わず声が漏れてしまったのだ。


そして俺の言葉を聞いて不思議そうに俺を見ている女性を見る。


目の前の女性…つまりガンテツさんの娘さんの見た目は普通に可愛い。


整った顔にふわふわの茶髪は綺麗系というより可愛い系だし、小動物を連想させる雰囲気も彼女の可愛さを引き立てている。


この世界の人たちは日本に比べて美人が多いが、彼女はその中でもトップレベルに可愛いだろう。


まぁそれは良い、この世界では美人が生まれやすいという事なのだろう。


だが俺は彼女を見ていて、とある思いが浮かんできた。


それはガンテツさんの様な人からこの娘の様な子供が出来たのは本当に珍しいな、というものだ。


彼女の見た目はさっき言った通り可愛い系の美人だが、対するガンテツさんの見た目は、鋭い眼に顔に刻まれた傷、そして髪が一本も生えていないスキンヘッドだ。


ガタイも良く戦闘で鍛えられたであろう筋肉は他者に威圧感を与えている。


まぁ簡単に言うとゴリッゴリのマッチョで、顔は歴戦の猛者を想い浮かばせるほどに厳つい。


人の顔というのは親の遺伝子情報によって変わるというのは知っているだろう。


まぁ親の遺伝子情報を元に子供の遺伝子情報が作られる訳だから、当たり前だろう。


だからこそ子供は個体差があれどどこか親に似ている部分が有る筈なのだ。


だが、彼女にはぱっと見で親であるガンテツさんと似ているところがあまり無い様に見える。


というより似ているところは多分有るのだろうが…出会ったばっかりの俺には分からない。


だからこそ、親子なのにぱっと見でここまで似ているところが見つからないというのは珍しいと思ったのだ。


大抵の親子は一目でこの2人は親子なのだろうと分かるからな。


ここまで似ていないと一目見てガンテツさんの子供って分かる人は居ないんじゃないかって思う。


っていうかガンテツさんの様な人からどうやったらこの様な子供が出来るのか…とか、疑問に思う事は他にも有るのだが…俺が彼女をみて本当に思った事は。


この娘がガンテツさんに似なくて良かったな、という物だ。


女性なのにガンテツさんに似ていたらと思うと…悲惨すぎる。


「お待たせしました!こちらがラビットのクリームシチューとワインです、ごゆっくり食事を楽しんでくださいね!」


どうやら考え事をしている間に料理が出来たみたいだ。


「はい、ありがとうございます…ではコレを」


俺は彼女にはお礼を言ってチップを渡す。


チップを受け取った彼女はそれでは失礼します…とぺこりとお辞儀をしてから他のテーブルに向かい、注文を取りに行った。


「いただきます」


そして俺は運ばれてきたシチューを食べ始める。

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