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「おいおい!落ち着け」


俺は今も俺の手を掴んで外に連れ出そうとしているヤヨイに落ち着く様に言う。


避難所の兵士の対応がアレだったのは分かるが、落ち着いて貰わないと…


「マスターは行ってはいけないと?」


俺の言葉に反応したヤヨイはピタリとその場に止まってそう聞いてくる。


ヤヨイの事だ、俺が行ってはいけないと言えば行きはしないだろう。


だが、今の問題はそこでは無い。


「そういう訳じゃ無いが…まずは勘定をしてからだ」


そう、俺たちはまだ会計をしていない。


「あっ…」


どうやらヤヨイも俺の言葉を聞いて理解したのか顔を赤くしている。


「すみません…マスター」


「いやいや、気にしなくても良いさ、ヤヨイの気持ちは分かるからは」


あの後、テーブルに料理の料金を置いて店から出た俺とヤヨイは少し離れた場所に有ったベンチに座りながら話をしている。


どうやらヤヨイも先ほどのやりとりで冷静になったのか避難所に直行する事にはならなかった。


「それで?どうする?」


俺はヤヨイに避難所に行きたいかを聞く。


「私は行きたいです…ですが」


そうヤヨイの表情は少し暗い気がする。


まぁヤヨイの事だ、本来の目的である邪神の力をどうにかするっていう前に自分のやりたい事をやるなんて…とか、俺に迷惑が掛かるんじゃないかとか考えているのだろう。


別に俺の迷惑なんて考えなくても良いのだが、ヤヨイは基本的に自分より俺を優先する。


それはユグドラシルオンラインでの役職がプレイヤーをサポートするサポートAIだったというのも有るのだろう。


サポートAIの仕事はマスターであるプレイヤーをサポートし、快適にゲームをプレイさせる事。


このサポートというのが幅広く、例えばヤヨイはゲーム時代に異空間で食材を作って、料理を作ったり、一緒に狩りに行ったりしていたが、他のプレイヤーの話ではフィールドに行かせてアイテムを採取させたり、鉱山に行かせて発掘させたりも出来るらしい。


まぁ俺の場合は発掘場のゴーレム達が自動的に発掘してくれるし、採取の方は自分でやるのが好きだから頼んだりはしなかったけど


まぁ簡単に言うと、サポートAIはプレイヤーのサポートをするという意識が組み込まれている為、プレイヤーの迷惑になる様な行動は取らない。


ヤヨイは正確的にも人に尽くすタイプだからサポートAIの特性も相まって余計に俺に迷惑を掛けたくないという思いが大きいのだと思う。


ていうかヤヨイや修羅もだが、皆もっとワガママを言っても良いのに


ゲームではフェルが一番ワガママを言っていたが、それでも一緒にモンスターを倒しに行こう、だったり全然迷惑が掛からなかったからな。


だから今回、ヤヨイが俺の手を掴んで避難所に行こうと言ってきたのは少し嬉しい。


それに、この件は俺も思うところがあるから、俺自身も行きたい。


「じゃあ行こうか」


俺はベンチから立ってヤヨイに向けてそう言う。


「マスター?」


「ほら、避難所に行くんだろ?まずは一旦屋敷に戻ろうか」


俺はそう言ってヤヨイの手を掴んで転移魔法を発動させる。


「マスター!?」


ヤヨイはいきなり転移魔法を発動させたからか驚きの声を上げている。


「じゃあヤヨイ、着替えてくるから少し待っていてくれ」


俺はヤヨイにそう言って屋敷の中に入っていく…


「ちょっ、マスター!」


先程から思考停止していたヤヨイだが、起動したのか俺を追いかけてくる。


「ん?どうしたんだ?」


「どうしたんだ?じゃないです、いきなりなんなんですか?」


どうやらヤヨイはいきなりここに転移させた理由がわからないらしい。


「何って、避難所に行くんだ、武装していたら中に入れないだろう?」


ブラットさんの話だと武装している人や冒険者は中に入れてもらえないらしいからな。


一般人のふりをする為に装備を外して普通の格好をしなければならない。


俺は服装を変える為、屋敷の中に入っていく。

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