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ヤヨイと近くに有った飲食店に入った俺はとりあえず注文をして、ヤヨイと情報の整理を始める事にした。
「さてヤヨイ、俺たちは朝から別れて情報を集めた訳だが、どうだった?」
俺はまずヤヨイの集めた情報を聞く。
「はい、まず、私はこの街でお店を経営している人たちに話を聞く事にしました。
はじめに話を聞いたのは道具屋のフェリスさんという方です」
ヤヨイは俺と違ってこの国で店をやっている人たちに話を聞く事にしたのか。
まぁこの国で店をやっているなら色んな人がやってくるだろうから必然的に店主の持っている情報は多いだろうからな。
「先ず私が聞いた事は四大貴族についてです。
フェリスさんの話では、レントルード侯爵、メイヤー侯爵、ロシュト侯爵、ロザティ侯爵が四大貴族と呼ばれているらしいです」
成る程…レントルード侯爵にメイヤー侯爵、ロシュト侯爵にロザティ侯爵ねぇ…ん?レントルード?
聞き間違いをしたか?。
「ヤヨイ、今レントルード侯爵って言ったか?」
俺はヤヨイに確認をする。
「はい、昨日私たちが侵入したレントルード侯爵です…それがどうかしましたか?」
マジか!レントルード侯爵って四大貴族の1つなのかよ!
「いや、まさかレントルード侯爵が四大貴族だったとは思っていなかったから驚いてしまった」
本当にビックリした…ていうかあれがこの国のトップだと言うのならあの警備はヤバいだろ。
レントルード侯爵の家は国のトップを守るというには見張りの兵は少な過ぎるし、見回りの兵士もヤヨイに聞いた話だと一回しか通らなかったらしいし…なにより四大貴族の当主であるレントルード侯爵が無抵抗で魔法に掛かるっていうのは可笑しいだろう。
普通なら万が一にでも襲われたときの事を考えて物理、魔法攻撃に対する耐性が付く物を装備するだろう。
俺がレントルード侯爵に掛けた魔法は一応精神干渉魔法という分類になるのだが、国のトップが一番掛かってはいけない魔法にあっさりと掛かったとか…ありえない。
本当に何を考えているのだろうか?
「そうですよね、私も始めて聞いた時は驚いてしまいました」
「だよなぁ…」
俺はヤヨイの言葉に同意する。
レントルード侯爵がどんな人かは分からないが、屋敷の警備の薄さから考えて自分が暗殺されるなんて一切考えていないのだろう。
そんなのが国のトップとか…有り得ないな。
「まぁ確かに王族が居ないなら侯爵が一番爵位が高いけど、あれが四大貴族ねぇ…」
親父さんの話から相当この国での地位が高いとは思っていたが、マジかー
俺は衝撃の事実に似たような事を何度も考えてしまう。
「まぁ一旦話を戻そう、それで、四大貴族について聞いたんだったか?」
「はい、私が始めに聞いたのは四大貴族について何ですが、フェリスさんは四大貴族の評判についてお話ししてくれました」
ヤヨイは道具屋のフェリスさんに聞いたという四大貴族の評判を話始めた。
「先ずは私たちが先日屋敷に侵入したレントルード侯爵から言いますね…フェリスさんによると、レントルード侯爵は最悪だそうです」
まぁそうだろうな。
俺はフェリスさんが言ったというレントルード侯爵の評価に納得した。
親父さんにした事を考えれば市民にも同様の事をしているというのは予想できるからな。
「理由は黒い噂が絶えないうえに私たち市民に対する対応が酷すぎると…買い物をしても代金を支払わない、気に入らない事が有ればすぐに怒鳴り散らし、挙げ句の果てには文句を言おうものなら独房 に入れられる事も有るらしいです」
おいおい、やりたい放題じゃねえか。
「しかも、フェリスさんのお店に来たとき何かはお尻を触られたりするらしいですよ」
しかもセクハラまでするのか…それでも、国のトップだから裁かれる事は無いって訳か。
レントルード侯爵の評価を聞いた俺が始めに浮かんだ言葉は本当にこの国、大丈夫か?という物だった。