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俺が鑑定した武器の鑑定結果はこうだった。
儀礼剣
複数の職人による細かい装飾が施されており、見栄えが非常に良い。
見栄えが良く、王国でも人気の一品。
儀礼剣なので武器としては非常に脆い。
つまり、商人の言っていた王国でも人気の一品というセリフは武器として、ではなく、儀礼剣として人気があるという意味なのだ。
俺が鑑定した剣は柄には細かい装飾がされており、鞘にはに宝石が付けられているので、見栄えも良いし、一目見たら値段が高いのだろうと分かる。
実際に儀礼剣としては人気なのだろう。
儀式とかで身につける道具としては非常に使えそうだからな。
まぁ鑑定に書いてあった通り、武器としては全然使えないだろう。
はっきり言って普通の剣とマトモに打ち合えばすぐに壊れると思う。
まぁ商人が嘘を言って詐欺をしようとしている訳では無いし、冒険者ならすぐにこの剣が戦闘に使えないという事は分かるだろう。
鑑定結果を見た俺は儀礼剣を売っている商人の露店から離れる事にした。
「にしてもあの商人も良くあの場所であんなものを売ろうと思ったよな」
儀礼剣は見栄えが良くなる様に作っているからその分値段が高くなる。
実際にあの商人が売っていた剣は儀礼剣としては一級品と言っても良いぐらいだからな。
となるとその分値段も高くなる訳で、安い物でも金貨20枚の値段がついていた。
冒険者達ならあんな剣は買わないだろうし、やはり商人に売るために露店を開いたのだろうか?
公国が戦争する為に金をばら撒いている中、公国で稼いだ商人をターゲットに儀礼剣を売り、金を稼ぐ。
あの商人がしているのはこういう感じか?
まぁ商人ならあの儀礼剣を買値よりも高く売れるだろうし、意外と売れるのだろうか?
まぁ考えても俺には関係のないから別にいいか。
俺はそう考え、他の露店の商品も見ていく事にする。
露店では色んな種類の武器が売っていた。
剣や槍はもちろん、鎖鎌や三節棍、ハルバードといった物まで有って、見ているだけでも楽しむことが出来た。
ユグドラシルオンラインでは三節棍や鎖鎌なんて使っているプレイヤーは居なかったから、見ていて珍しい。
だが、性能の方はやはりというか普通な物ばかりで、斬撃強化といった特殊効果が付与されている訳でも無い。
材料も鉄の物ばかりでミスリルなんかの魔法鉱石が使われた物はあまり見かけない。
やはりこの世界で魔法鉱石は希少なのだろうか?
それともミスリルを加工出来る職人が少ないのか…どちらかというと後者の方が大きそうだな。
ユグドラシルオンラインではレベルとスキルレベルを上げればどんな鉱石も加工する事が出来たが、この世界にレベルがあるかは分からないし、ミスリルの加工に耐えられるアイテム等があまり無いのでは無いか?
それじゃないとわざわざ強い武器を作れるにも関わらず作らないって事になる。
これから戦争をするって国に売り込みに行くんだ、商人も良い武器の方が高値で売れる事は分かっているだろうし、ミスリルなんかの魔法鉱石の加工が普通に出来るなら、こんなに少ない訳がない。
親父さんの店にはミスリル製の武器を何個も置いてあった。
多分全部親父さんが作ったのだと思うが、それを考えると親父さんは本当に凄い鍛治士なのだろう。
まぁ国が直々に武器を売ってくれと言ってくる程なのだから親父さんがどれだけ凄いか分かるだろう。
「よし、この世界の武器の基準は大体分かった」
俺は露店に売っている武器を一通り見た事で、この世界で使われている武器がどれ位の性能が有るのかが分かった。
まずこの世界で使われている武器の大半は鉄製だ。
それに殆どの武器に追加効果が付いていない。
ユグドラシルオンラインではある程度鍛治スキルを上げればつけられる様になる斬撃強化すら付いていない。
やはりこの世界の人たちは鍛治スキルを使ってないで、純粋な技術だけで武器を作っているらしい。
武器の性能自体は玉石混交で、良いものも有ればそこまで良くない物も有る。
これは先ほど言った通り、この世界の人たちが鍛治スキルを使っていなくて、純粋な技術で鍛治をしているから、製作者の技量によって武器の性能が大きく変わってくるのだろう。