悪徳の王

生まれてから5年が経つと、全ての人間が神からの加護を貰える世界で唯一加護を貰えなかった少年がいた。
その世界で加護を貰えないということは役立たずの烙印を押され、あらゆる自由を奪われてしまう。少年は全ての人間から否定されつつも、将来を誓い合った一人の少女さえ自分を認めてくれれば、それでよかった。
しかし、世界は少年に牙を向く。
世界は、遥か昔に封印された筈の魔王が復活したことにより、異世界から勇者を呼び出した。
そして勇者と共に戦う12の戦士、『守護者』の一員に少女は選ばれてしまう。
少女は少年と魔王を倒したら結婚しようという約束を残して旅立った。
それから、親にすら否定される地獄のような5年間を過ごした少年の元に一枚の手紙が届く。
そこには、少女を勇者の嫁の一人とするという王の勅命が記されており、少年の心に絶望の影を落とした。
絶望にくれた少年が、たどり着く先にいたのは魔王の娘であった。
これはあらゆる犠牲を許容しながら、世界に復讐を誓った少年の物語。