【競作・結】 死に愛された夏と二人
始まりました四連続競作イベント『起・承・転・結』
いよいよ今回は最終章『結』。使用したお題は『お守り』です。(多分に幼い少女という要素も入っていますが…(汗 )
今回の作品は四部完結の最終章となります。
ホラーのはずなのですが、何故か泣ける話に傾いてしまったような?(滝汗 ですが、これもファンタジックホラーということで!
前作から読んで頂いている方も、今回が初めての方も楽しんで頂けたら幸いです。
それでは『死に愛された夏と二人』最終章……どうぞ!
最終話『夏の終わりと七不思議』
この学校の七不思議を知ってるですか?
六つまでなら知ってる?
では特別に教えてあげるですよ。
七不思議最後のお話を。
それはとある女の子と男の子のお話。
死神に愛された女の子と、自分の寿命を売ってまでその子を守ろうとした男の子のお話。
そう、それは『死に愛された夏と二人』の物語……。
【一、あと少しだけ】
長い廊下を二人で歩く。
六度目の夏休み。
六度目の八月三十一日。
そして、六度目の肝試し。
「それで、わたし達はどの七不思議スポットに行けばいいの?」
香月愛が横を歩く如月奨に問いかける。
「俺達が行くのは『足引きの屋上』だよ」
奨は肝試しスタートの時に渡された紙切れに目を落としながらそう答える。
「足引きの屋上? え~と……」
「昔この学校の屋上で飛び降り自殺があったらしい。んで、それ以来学校の屋上から下を見下ろすと、その飛び降りた生徒の霊が仲間を欲しがって、足を引っ張ってくるらしい」
足引きの屋上の話を思い出そうとしている愛に、奨はその話の内容を説明する。
「詳しいね? つとちゃん、あんまりお化けとか興味ないと思ってたけど」
不思議そうな顔で奨の顔を見る愛。
「まぁ……色々あってね」
適当にお茶を濁しながら奨はそう答える。
「ふ~ん。で、足を引っ張られるとどうなるの?」
いまいち納得してないという表情をしながらも、愛が話の続きに戻る。
「屋上から真っ逆さま。そしてめでたくその霊の仲間入り」
「そんな仲間に入りたくないよぉ……」
愛が苦笑いを浮かべる。
「そうだな」
奨も薄く笑う。
(そうだ、愛をそんなふざけた仲間になんか絶対させない)
ふと、とある少女の言葉を思い出す。
『死ねばいいのですよ。愛さん以外の誰かが……』
愛をこの世界で救う為、奨には二つの条件が必要だった。
一つは過去の記憶を引き継いでこの世界に来ること。
一つ目の条件はクリアした。
そして二つ目の条件。
それは、愛の代わりに誰かが死ぬこと。
神の力で予め決められているという『その日に死ぬ人間の数』
(つまり、愛の代わりに誰か別の人間が今日死ねば、死ぬ人間の数の定員が埋まり、愛は助かる)
心の中で愛の代わりに死ぬ人間……自分に殺される人物のことを思い、奨の表情が強張る。
「つとちゃん? どうしたの、おっかない顔して?」
そんな奨の表情を見て、愛が少し心配そうに奨の顔を覗きこむ。
「俺の顔は元々おっかない顔なんだよ」
「え~、そんなことないと思うけど」
「じゃあ思った通り、俺はかなりのイケメンだったか。そうかそうか、実は自分でも前からそうだと……」
「それはない!」
奨のボケを愛がピシャリと遮る。
「なんだとぅ」
「あははは!」
ひょっとこのような顔をした奨を見て、愛が楽しそうに笑う。
(そうだ、愛には笑っていてほしい。これからも、この先もずっと……)
おどける奨。それを見て楽しそうに笑う愛。
夜の学校の廊下に楽しげな二人の笑い声が響く。
奨は願った。
(少し……あと少しだけでいい。どうかもう少しだけ、この楽しい時間を……俺に)
【二、二人の終着点】
『ガチャッ、ギギギ……』
昼の内に予め開けておいた重い鉄の扉を開け、奨と愛は学校の屋上に出る。
「すごーい! わたし、学校の屋上に出たの初めて!」
やや興奮気味にそう言いながら、愛は何もないまっ平らな屋上を小さな子供のように両手を広げパタパタと走る。
「おい、転ぶぞ! ……ったく」
夏特有の生暖かい湿った風を頬に浴びながら、奨も愛の後を追って屋上に出る。
(これで終わる。ここで、全てを終わらせる……)
長かった旅の終着点に立ち、奨は大きく息を吸う。
(……よし!)
目一杯酸素を吸って、奨は覚悟を決める。
二つ目の条件を満たすための覚悟を。
(その前にやっておかないと……)
奨はズボンのポケットを漁ると、目的のものをポケットから取り出す。
そしてはしゃいだ様子で、肝試しの目的であるお札を探している愛にそっと奨は歩み寄る。
「もう! つとちゃんも探してよ~お札」
楽しそうに文句を言う愛の隣に静かに立つ奨。
「なぁ愛」
「なぁに~?」
「愛に、渡したいものがあるんだ」
「えっ?」
お札を探すのを止め、奨の方を向く愛の眼前に、奨はポケットにしまっていた小さな白い小袋を二つ、両手で差し出す。
「? なにこれ?」
キョトンとする愛。
そんな愛を見て、奨は年相応のいたずらっ子のような顔をしながら答える。
「お守りだよ。それと……まぁ、おまじないみたいなもの」
「おまじない?」
いまいち奨の意図を理解できない愛は、目をクリクリとさせる。
「この袋のどっちかには赤い勾玉、もう一つの袋には黒い勾玉が入ってる」
「赤と、黒の勾玉?」
「あぁ」
そこで奨が大きく息を吸う。
「もし愛が赤い勾玉を選んだら、きっと二人は赤い糸で結ばれてる」
「……えぇっ!?」
突然の告白ともとれる奨の言葉を聞いて、愛は顔を真っ赤に紅潮させる。
「えっ、あの、それってつまり……」
アワアワとする愛。
そんな愛を見て、奨はとても優しい顔で愛に微笑む。
「だからその時は、きっと愛は俺のこと……忘れない」
「えっ?」
予想外の奨の言葉に、愛は再びキョトンと呆けた顔をする。
「それってどういう……」
奨の言葉の意味を分かりかねている愛の言葉を遮り、奨は話を続ける。
「もし黒い勾玉を選んだら、その時は……愛は俺のことを忘れてしまう」
「? 忘れる?」
奨の言葉を聞いて、ますます混乱の色が濃くなる愛。
「あぁ、俺との思い出は真っ黒に塗り潰されて、俺という存在は愛の中から……消えてしまう」
表情を隠すように俯きながら、奨は愛にそう告げる。
「……ねぇつとちゃん、どうしたの? さっきから変だよ。赤い糸とか、忘れるとか」
心配そうに奨の顔を覗きこむ愛。
だが夜の帳が落ち、淡い月明かりしかない屋上で、俯いた奨の表情は全くわからない。
「つとちゃん?」
すると奨が突然、ガバッと俯いた顔を上げる。
上げた奨の表情はとても……とても爽やかな笑顔だった。
「だからおまじないだよおまじない! とりあえず選んでくれよ。心配しなくても愛は絶対赤い勾玉を取るって!」
「えっ? う、うん」
どこか様子がおかしい奨を怪訝に思いながらも、愛は言われるまま二つの小袋を選ぶ。
「じゃあ……こっち」
愛は奨が左手に持っている小袋をそっと指差す。
「こっちの袋だな? よし、じゃあこれ!」
奨は左手に持っていた小袋を愛に手渡し、右手の小袋は再びポケットにしまう。
「……」
渡された袋を無言で見つめている愛。
「なにやってんだよ! ほら、開けてみ開けてみ!」
そんな愛を奨が楽しそうな表情でせっつく。
「う、うん……」
小袋の口をゆっくりと開け、愛は小袋の中に手を入れる。
「赤来い! 赤!」
両手を自分の顔の前で合わせながら、奨は祈るようにそう繰り返す。
そんな奨の目の前で、愛の小さな手が袋からゆっくりと引き抜かれる。
愛の指が掴んでいた勾玉の色は……黒だった。
「げっ! はぁ~、黒か……」
出てきた勾玉を見て、奨がわざとらしくがっくりと肩を落とす。
「つとちゃん……」
気まずそうな顔で、黒い勾玉を持ったままその場に立ちつくす愛。
そんな愛の頭にそっと奨は手を乗せ、優しく愛の頭を撫でる。
「えっ、つとちゃん!?」
突然奨に頭を撫でられ、顔を赤らめながらあたふたとする愛に、奨は頭を撫でながら優しい顔で語りかける。
「まっ、そういうことだよ。愛、きっと幸せになれよ……俺の分までさ」
「つとちゃん? ねぇ、さっきから一体……」
愛が何かを言いかける。
その瞬間二人の身体を、湿った……生暖かい嫌な風が通り抜ける。
「来たな……」
奨の表情が険しくなる。
「つとちゃん?」
キョトンとする愛の頭を、奨はポンポンとそっと二回撫でる。
「大丈夫だ。俺のこともこれから起こる事も、きっとその黒い勾玉が真っ黒に塗り潰してくれる。だから愛は何も心配しなくていい。何もかも忘れて……幸せになるんだ」
そう言うと奨はゆっくりと愛に背中を向ける。
その奨の背中は小さく小刻みに……震えていた。
「つとちゃ……」
「じゃあな、愛!」
何かを言おうと奨に手を伸ばす愛の言葉を遮り、奨は大声で別れの挨拶を告げる。
さよなら……奨が今言える精一杯の『愛してる』という告白だった。
「おい! 仲間が欲しいんだろ! 俺がお前の仲間になってやんぞ!」
奨はそう叫ぶと屋上のフェンスに駆け寄り、下を見下ろす。
見下ろした奨の視界に映ったもの……それは新たな仲間の来訪を待ちわびていたかのように、奨に向かってうごめく無数の手。
「ほら! 仲間が欲しいんだろ? 俺はここだぞ!」
そう叫ぶ奨の身体に、瞬く間に無数の白い手が絡みつく。
無数の手はそのまま奨の身体を軽々と担ぎ、奨をフェンスの外に連れ出す。
(そうだ、それでいい……!)
奨が選んだ二つ目の条件の解決法……それは『自分を殺す』ことだった。
(どうせもう寿命は残ってないんだ! だったらせめてこの消えかけの命、有効に使わせてもらうぜ!)
フェンスを乗り越えた奨の身体は無数の手によって、空中で支えられている状態になっていた。
そっと下を見ると、奨の眼下には見慣れた母校の校庭が広がっていた。
「つとちゃん! つとちゃん!!」
覚悟を決めた奨の耳に、守りたかった女の子の声が響く。
そっと声のした方を向くと、顔をくしゃくしゃにして泣きじゃくった愛が、屋上のフェンスを掴みながら悲痛な声で奨の名前を呼んでいた。
(愛が泣いてる、俺のために泣いてる……)
その瞬間、奨の身体を支えていた力がスッと霧散する。
空がみるみる遠くなっていく。
最後に奨が聞いたのは自分の名前を泣きながら叫ぶ愛の声。
---泣くなよ愛。
---大丈夫。
---俺はとても……幸せだ。
地面に接触する直前、奨は思った。
ねぇ、俺はちゃんと君を守れたのかな?
ねぇ、君はちゃんと俺を忘れてくれるかな?
ねぇ、君はちゃんと幸せになってくれるのかな?
ねぇ、俺は……。
『また君に会えるかな?』
【三、エピローグ】
わたしから七不思議の最後の話を聞いた女の子は、満足げな顔をしながら家路への道を歩いていく。
きっと明日はクラスの友達に自慢げに話すのだろう。
ねぇ、この学校の七不思議の話、知ってる?
そう言いながら。
「勝手に人の青春を七不思議にして広めてんじゃねーよ」
ふと背後から声が聞こえ、わたしは後ろを振り向く。
「おやおや、お久しぶりです♪ お変わりないようで何よりなのです」
「そりゃ幽霊だからな。というかあんたも不気味なくらい全く変わってないな」
わたしの社交辞令をとても失礼な言葉で返してくるのは、わたしの店に迷い込んできたいつかの少年。
といっても、今は幽霊だけど。
「相変わらずここで地縛霊をやってるですか?」
「まぁな……何故か全く成仏する気配もないし。それに第二、第三の『俺達』がいつ生まれるかもしれないしな」
少年が小さな溜息を吐きながら答える。
「もう地縛霊というより、警備員のようなのですね」
「うるさい」
少年……如月奨はあの日、足引きの屋上の犠牲になってから、成仏することなくこの地に留まり、地縛霊となって、この学校で自分と同じ目に遭う人間がもう二度と現れないよう、日々努めていた。
「そもそもあんた、なんで今日ここに?」
かったるそうな顔でそうわたしに尋ねる奨。
おやおや、どうやら時間の感覚も失ってしまったようだ。
わたしはやれやれという感じで、軽く溜息を吐きながら答える。
「今日は八月三十一日。奨さん……あなたの十三回忌の命日ではないですか」
わたしがそう答えると、奨は一瞬目を丸くする。
だがそんな表情も束の間、奨は気恥ずかしそうに頭を掻きながら乾いた笑いをこぼす。
「ははは……そっか、俺が死んでもうそんなに経つのか……」
「だから今日は法要に来たのですよ……と言ってもそんな大それたものじゃないですが」
「あぁ、そうかい。それはご苦労さん」
そっぽを向きながらだるそうに答える奨。
全くもって失礼な幽霊だ。
「あら?」
無礼な幽霊にどうお仕置きしてやろうか悩んでいると、急にわたしの後ろから声が聞こえ、わたしは後ろを振り返る。
するとそこには、首から黒い勾玉のペンダントをつけたお腹の大きい女性が、ニコニコと陽だまりのような笑顔をしながらわたしを見て立っていた。
「こんにちは。お嬢さん、この学校の生徒さん?」
大きなお腹をさすりながら、わたしにそう尋ねる女性。
「えぇ、まぁそんなところなのです♪」
わたしはそう答える。
「そうなんだ~。わたしもね、この学校の卒業生なんだよ~」
「そうなのですか♪」
女性の楽しそうな笑顔につられ、わたしも自然と口元が緩む。
「ねぇねぇ、今でもこの学校って、七不思議の噂残ってるの?」
いたずらっ子のような笑顔で、その女性がわたしに尋ねてくる。
「えぇ残ってるですよ♪ ちゃ~んと『七つ』」
わたしのその言葉に、女性は驚いた表情を見せる。
「七つあるの? へぇ~いいなぁ。わたしが通ってた頃は六つしかなかったんだよね。最後の話は聞いたら呪われる~みたいな感じで。あってないようなものだったんだよね、七つ目のお話」
そう言うと女性はスッと目を細め、少しくたびれはじめた校舎を、懐かしむように見つめる。
「昔ね、ここでクラスのみんなと肝試しをしたことがあったの」
「肝試し……ですか」
「そう。その時わたし好きな男の子がいてね……今はもう死んじゃっていないんだけど」
そう言いながら彼女は、胸に下げている黒い勾玉をとても大事そうに握る。
「その時にね、その男の子におまじないをかけられたの。その男の子のことを忘れてしまうおまじない」
「ほうほう」
わたしは相槌を打つ。
「でもね、その男の子はインチキをした。だからそのおまじないは効かなかったの」
「インチキ……ですか?」
おや? それはわたしも知らない話だ。
「一体、その男の子は何をしたのですか?」
わたしがそう尋ねると、フフッと子供のいたずらを見つけた母親のような顔で女性が笑った。
「そうだな~。両面表のコイントス……みたいな感じ?」
そう言いながら、彼女は腕に持っているバッグから携帯電話を取り出す。
その携帯電話にぶら下がっていたストラップ……それは彼女が首につけているペンダントと同じ、黒い勾玉のストラップだった。
「それは……」
「ふふっ、折角の手品も足元にネタを落としてたら台無しだよね~」
わたしの後ろから少年の呻き声が聞こえる。
心中、お察しするですよ……。
「だからね、わたしはその男の子の事、絶対忘れてやらないんだ~。幸せにはなるけどね」
そう笑顔で言いながら彼女は愛おしそうに、右手で自分の大きなお腹を擦る。
「この子もあなたみたいに可愛い女の子だったらいいな~」
そして空いている左手で、彼女はわたしの頭を優しく撫でる。
「なんかごめんね。わけわからなかったよね、わたしの話」
わたしの頭を撫でながら、彼女はテヘヘと困ったような笑いを浮かべる。
「いえいえ♪ とても楽しいお話だったのですよ」
「なら良かった」
そっとわたしの頭から手を離し、再び彼女がわたしに笑いかける。
「今日はね、その男の子の十三回忌なの。で、久々にクラスのみんなで母校に集ろうってことになったんだ~」
「それは楽しそうなのです♪」
「良かったらあなたも来る?」
魅力的な提案である。
が、わたしはそっと首を横に振る。
そんな温かな場所に、わたしという存在は場違いすぎるだろうから。
「行きたいのは山々なのですが、そろそろお家に帰らないといけないのですよ~♪ だから、ごめなさいなのです」
「そうなんだ~残念。それじゃあまた! 気をつけて帰ってね~」
「はいです♪」
そう言って彼女……香月愛は歩き出す。
「お話、聞いてくれてありがとね~」
その途中で愛は振り返り、わたしに手を振りながらお礼を言う。
律儀な人だ。でも前を向いて歩かないと危ないですよ。
「幸せそう……でしたね」
「……そうだな」
彼女と話している間、ずっとわたしの後ろで彼女のことを優しい眼差しで見ていた奨。
「まぁ、かなりカッコ悪いエピソードも暴露されましたが」
「それは言うなぁ!」
少年が頭を抱えてうなだれる。
フフフ、先ほどの失礼な態度に対する仕返しなのです。
「ところで……あなた、消えかかっているみたいですが?」
わたしがそう言うと、奨はうなだれていた頭を上げ、溜息を吐くと大きく一つ伸びをする。
「あぁ、どうやら心残り……この世に留まっていたい理由が無くなったみたいだな」
「そうですか」
「あぁ。めでたく警備員の仕事もこれで終わりみたいだな」
少年が小さく笑う。
その笑顔はとても……晴れやかな笑顔だった。
「もう行くですか?」
「そうだな、随分とこっちの世界にいる時間を延長しちまったしな」
少年が後ろを振り返る。
「まぁその、なんだ。色々世話になったな」
気恥ずかしそうな声で、少年が歯切れ悪くわたしに礼を言う。
「いえいえ、なかなか楽しい時間でした」
そしてわたしも奨に背を向ける。
これからわたしたちは別々の道を歩いていく。
もう二度とお互いの道が交わることはないだろう。
それでもわたし達はこう言うのだ。
「それじゃ、またな」
「えぇ、またどこかで」
風が吹く。
夏の暖かな一凪の風。
先ほどより風通しのいいわたしの背中。
「さてさて、次はどんな素敵なお話が待っているのですかね~♪」
わたしは歩き出す。
明日この学校で語られるであろう、死に愛されたと夏と二人の物語を想像しながら……。
『ねぇ、この学校の七不思議の話、知ってる?』
死に愛された夏と二人 ~完~
如何だったでしょうか?
これは果たしてハッピーエンド? それともバッドエンド? それはこの作品を読んで下さった読者様に委ねたいと思います。
命を投げ出しても守りたい何か……皆様にはありますか?
2ヶ月に渡ってお送りしてきました競作イベント『起承転結』。
皆様の沢山のご声援のおかげでめでたくラストを迎えることができました。本当にありがとうございました!
また競作というイベントも、今回でひとまずの終了を迎えます。
数ヶ月に渡ってお送りしてきましたこの競作。
皆様のお心に残ったお話はございましたでしょうか?
数ヶ月に渡ってのご声援、改めまして本当にありがとうございました。
またどこかで競作という単語を見かけましたら、それはきっと……。