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楽しいコンビニバイト 5

「缶ジュースなどは裏の冷蔵庫から補充することになるよ」

 ​

 だいたいのコンビニシステムと同じようにこの店もそのシステムを採用しているようだ。私は小吉さんに案内してもらう。​冷蔵庫に近づくにつれて冷気が流れてきて、寒いくらいだと感想を抱いた。


​「うわっ、すごく涼しいね」

 

 ​私の意見に小吉さんが同意する。


「​うん。すごく涼しいんだ」

 ​

 その後で彼女が季節ネタあるあるを教えてくれた。


「​夏はいいが、冬は全く嬉しくない!!」​



​ 小吉さんがもう一人の新人である高橋さんに仕事を教えにいったので彼女から「陳列場所は斜めっているから在庫が前に滑っていくぞ」と教わった商品在庫補充を始める。


​(たしか力を入れずに商品を置くだけ)

 

 ​商品=天然水が前に滑っていった。しかし、どうも力が入ってしまったらしく商品が外側に飛び出てしまう。


(​あぁ!​!)

​ 

 それを裏から目撃した私は失敗に顔を赤面させてしまった。


​「​四百八十円のお買い上げでございます」

 ​

 この仕事に慣れている馬山先輩はお客さんに好意を持たれやすい丁寧な対応で商品を袋に入れる過程一つとっても上手く商品を袋に入れている。


​「またお越しくださいませ―――​……」

​ 

 もちろんお客さんが出口を出るまで対応がおろそかになったりしない。お客さんが出た瞬間に商品が棚から飛び出してきたのを馬山先輩が気づく。


(​裏で何をしてるんだ……!)​

 

 実際は知っての通り、私=猫好が補充を失敗したのだが、何を知らない馬山先輩はシリアスな顔で考え込んでしまった。


「うぅ……」

​ 

 高橋さんが先輩の小吉に頼まれてお菓子の補充をしようと、背伸びして段ボール箱に手を伸ばしている。


「​誰よ……こんな……高いところに物をつんで……! 届かないじゃないの……!」​

 

 高橋さんが届きそうで届かない商品に四苦八苦していた。


​ 彼女は商品棚に足をかけるわけにはいかないのでそれを自重して届きそうで届かない箱を何とか取ろうとしていた。その姿を仕事の確認をしにきた小吉さんが発見する。


(​隣の踏み台にいつ気付くか……もうちょっと見てよう)

 ​

 すぐ教えてもつまらないと思った小吉さんは、時間に余裕があるので黙っていることにした。


「あ​ぁ、そうか!!」​

 

 高橋さんが何かに気付いたのか思わず独り言をもらす。


(​やっときづいた……)

​ 

 仕事の効率は別問題として、小吉さんは補充の時間は多めに取っていたので彼女に今さら気付いたのかと思った。


​「ちょっとアンタ!!」​

 年齢は同じでも一応私の方が先輩なのだからと口のきき方を少し注意しようとした小吉だが、高橋さんの次の言葉に動揺した。


「​肩車しなさいよ!!」​

「!​?」

​ 

 私は踏み台に気付いたと思っていたのに。


​「い……いやしかし……」

​「早く!!」​

 

 それとは別に高橋さんは良い考えだと思ったようである。


「​わ……わかったよ」

 

 ​踏み台が近くにあることを教えられる雰囲気ではなくなってしまっていた。


「ふ―――​っ、こんな感じでいいよね」

 ​

 少し時間がかかってしまったが(アクシデントもあった)、私は飲み物がしっかり陳列されていると感じたのでこれでいいかと小吉さんに確認してもらおうと思う。


「​うう―――​~~……さすがに長時間(といっても二十~三十分くらい)は寒いなぁ」

 私は仕事終了報告をしに、小吉さんと高橋さんがいるはずの倉庫のドアを開けた。そこで彼女達が肩車をして荷物を取ろうとしている予想外の姿を見る。


「​もっと右よ右!」

​「う……うん……」

 事情を知らない私は目を丸くするしかない。


「​何してんの!?」​

 

 こうなった過程は面白かったんだろうなと考えると、私は残念だと思った。


(​しまった! 肝心なところを見逃した!!って気分)


 アルバイト終了時、私と高橋さん・小吉さんが従業員事務室の更衣室で私服へと着替え終わるところであった。そこで私達は小吉さんの制服姿で気付く。


​「私と同じ学校だったんですね!」

​「アタシと同じ学校だったんだ!」

​ 

 私と高橋さんが素敵な偶然にどことなく笑顔になる。


「​ん?」

​ 

 同じことを言った私と高橋さんはお互いの顔を見合わせた。

学校が同じということで私(猫好)は何だか上機嫌になった。


「​高橋さんも?」

​ 

 一気に親密になれそうな空気を出す私に高橋さんが気圧される。


「​知らなかったわ……」

​ 

 そういえばといった表情で私は彩子さんに疑問に思ったことを聞いてみることにした。


​「でも彩子さん、どうして制服を? 夏休みなのに」

 ​

 知らなかったの? という感じで、彩子さんがたんたんとした口調で教えてくれる。


「​……今日は登校日だったよ?」

​「そんなのあったんですか!?」​

「そんなのあるの!?」​

 

 驚愕の事実を聞いて(というか、二人は完璧に忘れていた)私と高橋さんが仰天したのはいうまでもない。



 楽しんで読んで頂けたでしょうか?


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