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楽しいコンビニバイト 3

「次からアンタがやりなさいよ」

 

 ​恥ずかしい思いをしたからか、彼女が火照った体で私をレジの前に押しやる。


「​わかったよぉ」

 ​

 お客さんが来たので私は馬山先輩に教わった通りに仕事をこなす。


​「いらっしゃいませ。百四十七円のお買い上げでございます」

 

 ​私が商品に機械を通している間にお客さんに「袋はいらない」と言われた。


「​このままでも……おそれいります」

 ​

 コンビニテープをつけて、私はお客さんに商品を手渡した。


「​………​」

 

 ​黙って高橋さんが私の接客態度を見ている。


​「ありがとうございましたー」

​ 

 多分私に非がなかったから、自分よりも仕事が出来るかもと高橋さんが怒ったのだろうと想像出来た。


「​普通!!」​

「よくわからないけどごめん!」

「​―――​っていうか初日から何でそんなに出来るわけ!?」​

 

 彼女はやはりやっかんでいる部分があるのかもしれない。でも私は高橋さんとあつれきを残したくないのでやんわりと話す。


「​え? えっと……」

​ 

 私は少し間を置いてから話した。


​「なんていうか……高橋さんのお陰かなぁ」

​「アタシの?」

​ 

 私は本音が言えそうな雰囲気だと思って全てを語る。


「​あんなに混乱している高橋さんを見たら逆に落ち着いちゃって…」

​ 

 さすがに彼女から口より先に手が飛んできた。


「​どういたしまして!!」​

「あ​りがとうございます!?」​



​「どうやら二人ともだいぶ打ち解けてきたみたいだね」

 

 ​馬山さんが落ち込みから回復したのか戻ってきてくれる。


「​馬山さん、もう大丈夫なんですか?」

​ 

 少し前から回復していたのか、私達の勤務態度や気付いたことを先輩が話し出した。


「​二人を見て分かった気がするよ。どんな人間でも助け合えば困難を乗り越えられる……と」


​ いちいちポーズを変えて改めて先輩が気兼ねなく質問などしやすい職場にしていこうと提案する。


「​これからはお互いに……わからないことがあったら教え合おう!」

​ 

 私は先輩の提案に引っかかる部分があったが黙っておくことにした。


(​『どんな人間でも』って少し失礼な気もするけどややこしくなりそうだからツッコまないでおこう)


 コンビニの商品を配達してきたトラックから宅配ドライバーが荷車で倉庫の方へ運んでいった。ドライバーにお礼を言って今日入荷分の食料品を馬山先輩が持ってくる。

 ​このお店で、というかコンビニ経験五年以上の実力からかどこに何を置くといいかシュミレーションしながらも、体が自然と素早く動いているという経験に裏打ちされた技術を見せた。


​ 値札があるという事実はあるかもしれないが、おにぎりはおにぎりの段・お弁当はお弁当の段・麺類は麺類の段といったようにぴしっとキレイに並べ終える。


(​われながら美しい……)

​ 

 馬山先輩が満足げにしている。


「​おお―――​っ」

 ​

 私と高橋さんは感嘆の声を上げて拍手していた。


​「今​日も仕事が早いね、馬山君」

 

 ​店長が戻ってきて、馬山先輩に声をかける。


「​店長!!」​

 

 いつもならまだ戻ってくる時間ではないので先輩が思ったままを聞く。


​「予定より早い起床ですね……どうしました?」

​「いや 別に」

 

 ​店長が思いついたことを口に出した。


「​仮眠グアウト!!」​



​「お疲れ様でしたー」

​ 

 バイト終了時間より微妙に長くなったが、仕事をさせてもらった感謝もこめてレジで接客をしている店長に挨拶する。


「​お疲れ様」

 

 ​従業員専用部屋から高橋さんが飛び出してきて、外に出たところ、大声を出してきたので私はビクッと体を震わせた。


​「ちょっと!! 何、先に帰ろうとしてんの!?」​

 

 高橋さんがケータイをカバンから出して言う。

「​ケータイの番号教えなさいよ!!」​

「そうだねゴメン高橋さん」

 ​

 私は赤外線通信機能で高橋さんのケータイに電話番号・メールを送った。


「​連絡用よ!! 他意はないわ!!」​

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小説家になろう 勝手にランキング ありがとうございましたー
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