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垣間見える終末

またダーク展開でごまかす気ですよこの子


  「なあ、おかしいとは思わないのか」

 「思わない」

 即答だ

 「なあ、瀬戸。おまえは何でこんな実習が行われていると思う?」

 無視だ

 「まあ聞け。そう構えるな。何も言わずに殴ってくるな。蹴るな。やめろ。手を伸ばすな。やめろっつってんだろおがあああ!!!」

 仕方ない

 俺はしぶしぶ距離をとった。

 「はあ、はあ…相変わらずだな貴様は…いいから聞け」

 「断る」

 「理由がない」

 「断る」

 「倫理的にしゃべれ」

 「断る」

 「…俺と戦え」

 「結構だ」

 「てんめええええ! 確信犯じゃねえかっ、待て、とまれ。今のは言葉のあやだ。首を狙うな、下がれえええええええええ」

 「断る」

 「…」

 「なあ、有明」

 「…」

 「なんも考えずに戦いてえんだ俺は」

 有明の腹に蹴りが入る。

 おお、ナイスヒット

 「ちなみに、とまれねえほど切れてるしな」

 「…馬鹿が」

 「ああ?」

 パチン

 須賀の真似か?

 ヒョコッ。

 「あれえ、さっきのお兄ちゃんじゃない? 元気い?」

 寒気万歳


  待て待て

 え…鵜那?

 「なんか吉瀬りん死んでるし。ばあかね。で、ご主人様? この人殺すの?」

 「ごしゅ…え?」

 「ああ、殺せ。遠慮なくな」

 待てこら有明

 俺との勝負は放棄か、拗ねるぞ

 「あーん、この人弱いんだよお? つまんない」

 「いいからやれ」

 「でも…」

 「後でクイズ付き合うから」

 「やったねん。じゃあ、殺ろっか」

 「ことわ…」

 「駄目」

 この野…このアマ

 「鵜那と戦いながらなら私の話も聞けるだろう?」

 「いやっ、無理だ有明」

 「この実習はな」

 「無理です、有明先輩」

 「実はな」

 「聞きたくないってばあ、有明サマア!」

 「うるせえっつってんだよ! 貴様よりむかつく性格になりおって…くっ、だからな」

 「わあああああああ、わああああ」

 「鵜那、口閉じさせろ」

 「はあい」

 ゴッ

 鈍い音がした。

 あれ? おかしいな

 口が、開かねえ

 「お休みん」

 顎を殴られた俺は、力なく倒れた。


  目をあけると、待機していた場所に戻っていた。

 「先輩、先輩、瀬戸先輩?」

 「須賀?」

 「なにぼうっとしてんですか」

 「いや、あれ?」

 「ほら早くこの本読んで」

 「え? なんだこの汚い本」

 「何いってんすか。それ読まなきゃ次に進めないんすよ? 頭大丈夫ですか」

 「煩い。えーっと、何ページだっけ」

 「2987604912頁です」

 「ああ、そうだったな」

 俺は褪せた茶色の本を開いた。

 「なんて書いてあります? 先輩」

 「かわいそうな棺。誰も入れられることのない小さな棺。生きているのは誰? この中に横たわっておくれ。お願いするよ。いつか誰かが死ぬ日まで。なんだっけこれ」

 「先輩、やだなあ、忘れたんですか? ほら、あの棺」

 須賀が指さした先には…

  


  「…なのか、貴様は!」

 「だってえ、命令したのそっちなのに」

 「私はな、口を塞げと言ったんだよ。誰が気を失わせろと言った」

 「面倒だなあ、もう。穴に帰っていい?」

 「駄目だ、クイズしなくていいのか」

 「いいもーん、吉瀬リンでも誘…」

 「なんだ?」

 「…馬鹿。私のお友達まで殺すことないじゃん」

 「死んでねえよ、誰一人」

 「どっかで聞いたセリフだな、瀬戸」

 ああ、ジャンプかなんかの

 「聞いてやるよ」

 「やっとか」

 「だって、これで拒否ったらまたなんか来るだろ。疲れるんだよ」

 「そんな理由で聞かせたくはないが、まあいい。この実習はだな、選抜なんだよ」

 つまんねえ答え

 「真実なんてそんなものだ」

 あれ、聞こえた?

 「選抜は五人」

 ほう

 「この中の誰かが死ななきゃならん」 

 死、ぬ?

 「馬鹿かおまえ。そんなん『はいそーですか』って信じるやつがいたら狂人か愛人だ」

 棺、棺、かわいそうな棺

 「あと一人なんだよ、わかるだろう?」

 誰も入ってくれない

 誰も入ってくれない

 じゃあいいよもう

 振り向いた先には…6つの棺が並んでいた。

 みんなみんな、専用を用意してあげる


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