不可逆生
久々です。のんびりやってくつもりです。転生系もいいなぁと思いましたが、私には上手く書けないようなので箸休めに適当に書きました。
「さようなら。」
それが彼女の言った最後の言葉だった。
私の前から消えて、どこか私の知らない霧の中へ消えていった彼女。
私がきっと、裏切ってしまったのだろう彼女の背中を前に、私は追いかけることなど考えることすらできなかった。
人生で初めて経験する最も苦しい後悔と、まるで親を殺されたかのようなの嫌悪感と、私の体に死を想わせるほど大きくのしかかる罪悪感。
もう、あの頃には戻れない、
彼女は戻って来ない。
何故だろう、"涙が溢れてくる"。きっと、悲しい訳ではない。元々、関係は上手くいっていなかったし、彼女に対し嫌になるところがあった。清々したくらいだ、、
元気が良くて、思ったことをそのまま言ってしまうような典型的なおバカ。
私は近くにいるとなぜか不思議と楽しくなってしまう、、そんな関係。
何年も前から一緒にいて、最初はそんなつもりじゃなかったのにいつの間にか彼女のことを考える時間が多くなった。
私にとってその気持ちというのは初めてのもので、理解しがたく、認められなく、やってはいけないようなことをした気持ちになった。
私だけこんな気持ちを持ってしまって、叶えられもしない気持ちを持て余して、神はなぜ私をこんなにも不完全に産んだのだろうと呪いたくなる。
彼女はカメラで写真を撮ることが好きだった。
何かを写真で撮ることで自分の思い出が永遠にあるように感じることができるらしいからとのこと。結果としては私もカメラが好きということになったが、やはり、私にはその気持ちは分からなかった。
───どうせ、終わるのに。
根本的に私と彼女は合っていない。
考え方、体格、産まれ方まで全て違うんだ。
悩む、それもまた私にとって初めてのことだった。
悩んでも悩んでも、答えは出ない。
答えを出せるような公式を現状の私には持っていないのだ。
──時間だけが過ぎていく。
彼女のことを考えているくせに、今の彼女のことを考えない。
「大好き。」
彼女はそう言った。
「、、、」
私は言葉を返さない。
「あなたがいつも私を支えてくれた、ありがとう、今まで。」
、、、
その時が来たのだ。
私は彼女が居なくなるのだと悟る。
私はそのぶきっちょな真顔のまま、彼女を見続ける。
──彼女は泣いた。
それでも尚、私は何も言わない。
言えるはずがないのだ。
ねぇ、私は君とは住んでいる世界が違うんだって....
、、、、私は"ただの人形"なんだから。
震えながら、ドアに手をかける。
、、、
「さようなら。」
霧の中に彼女は消えていく。
それでも、私は、何も言わない。
言えないのだ。




