第八話
アンリはマスクウェルが体を洗っている間にお風呂の中に逃げ込んだ。
「どうだ?アンリ。湯加減は」
「はい。最高です」
「そうかそうか。ならば私も入るとしよう」
マスクウェルはそう言ってお風呂に入ろうとする。
当然のことながら色々見えている。
前世で散々自分の物を見ていたのだから見慣れているはずなのに恥ずかしくなってくるのは何故だろうか?
アンリは見ないように視線を逸らした。
「どうしたアンリ?」
「いえ。マスクウェル殿下の裸体を見るのは恐れ多いといいますか・・・」
「おかしな奴だな?だが、確かに今日の湯加減はちょうどいい」
そう言ってマスクウェルはリラックスした顔をしていた。
広さは十分なはずなのになぜかマスクウェルはアンリの近くで寛いでいる。
「マスクウェル殿下。お先に失礼します」
そう言ってアンリは体を隠しつつ離脱する。
無理無理無理。
あんなイケメンと一緒に風呂を堪能するとか。
私には無理だから。
それに問題もある。
長いこと一緒にお風呂に入っていれば女だとばれる可能性もある。
それを考えたらゆっくりなどしていられなかった。
アンリはマスクウェルが出てくる前に体を拭きさらしを自分でして急いで服を着た。
そこからはマスクウェルがいつ出てきてもいいように待機する。
マスクウェルはそう時間もかからず風呂から出てきた。
「アンリ。すまないが体を拭いてくれ」
「わかりました」
アンリはマスクウェルの体を丁寧に拭く。
触ってみてわかったが自分とは別の生き物のようにがっしりした体つきをしていた。
「どうしたぼーっとして」
「いえ。マスクウェル殿下が羨ましいなと思って」
「そうか?アンリも十分魅力的に映るのだがな」
マスクウェルにそう言われて顔が赤くなる。
「何言ってるんですか?私は男ですよ?」
「わかっている。だが、そう思うこと自体は悪くあるまい?」
「はいはい。わかりましたから体を拭きますよ」
アンリはそう言ってマスクウェルの体を拭くのを再開する。
「こっちも頼む」
そう言ってマスクウェルは前を向く。
アンリは胸から拭きはじめる。
何故かどきどきと胸が高鳴る。
自分は男。
自分は男。
アンリは心の中で呪文のようにそう唱える。
「マスクウェル殿下ここも拭きますよ?」
そう言ってからアンリはマスクウェルの下も拭く。
まさか自分以外の物を拭くことになるとは思ってもみなかった。
「なんだ?アンリ。顔が赤いぞ?湯あたりでもしたか?」
「いえ。なんでもないです・・・」
アンリは一仕事し終えた。
そんな心境だった。




