第五話
部屋の確認を終えたアンリは部屋の外に出る。
これから王太子殿下への顔通しをすることになっていた。
部屋の外に出るとセイルが待っていた。
「うむ。これなら王太子殿下にばれることもないだろう」
「そうですかね?ですが、セイル様。何故ここに・・・?」
「王太子殿下は女嫌いだといっただろう?メイドなども近寄るだけで不機嫌になられるのだ」
「なるほど・・・」
どうやら王太子殿下の女嫌いはかなりのものらしい。
これで自分が女だとばれたらどうなるのだろうか。
考えるだけで恐ろしい。
「では、行くぞ」
「はい」
セイルはどんどん歩いていく。
アンリは慌ててその後を追いかける。
だが、かなりそのペースは速く追いかけるのが大変だった。
「ここが王太子殿下の部屋だ」
そう言って立ち止まった部屋の扉には綺麗な装飾が施されていた。
「はぁはぁ・・・」
アンリはその綺麗な装飾に目を奪われながら息を整える。
「あぁ・・・。すまない。君が……だというのを忘れていた」
小声で聞こえなかったがその部分には女性と入るのだろう。
「すみません。ご迷惑をおかけして」
「いや。こちらの落ち度だ。だが、王太子殿下と過ごすなら体力はいるだろう。今後の課題だな」
「はい・・・」
「では、そろそろ入るとしよう」
セイルはノックをしてから入室する。
「王太子殿下。失礼いたします」
アンリもその後に続く。
「失礼いたします」
「何だ?セイルではないか。こんな時間に珍しいな」
そう軽く声をかけてきたのは銀髪のイケメンだった。
ソファーに座り紅茶を飲みつつ読書を楽しんでいたようだ。
その姿はまるで一枚の絵画を切り出してきたようだ。
「本日は新たな傍付きを連れてまいりました」
「そういえばそういう話だったな」
王太子殿下はそう言って本を閉じる。
「そこの者がそうなのか?」
「はい。そうです」
「お前。名は?」
「アンリ・ユーステッドと申します」
「ユーステッド・・・。ユーステッド・・・。そうか騎士爵家にそんな家があったな」
アンリはそこで驚く。
まさか自分の家のことを知っているとは思わなかった。
上級貴族家ならいざ知らす。
下級貴族家はかなりの数が存在している。
「王太子殿下。失礼ですが全ての貴族家を覚えていらっしゃるのですか?」
「それがそんなに不思議なことか?臣下を覚えるのは王族の責務だ」
どうやら王太子殿下は本気でいっているらしい。
どうやら頭はかなり良いらしい。
油断すれば何がきっかけで女だとばれるかわからない。
アンリは緊張の為に唾を飲み込んだ。




