第三十一話
夕食も食べ終わりお風呂に入ったアンリは自分の部屋へと戻ってきた。
「アンリ様。お待ちしていました」
「お待たせしてすみません」
「いえいえ。それよりも剣術指南役のガスパー様に会ったそうですね?」
「会いましたけど・・・」
「アンリ様。ガスパー様の指導は厳しいと評判なんです。正騎士の方々も逃げ出すほど訓練は過酷だとか・・・」
「そうなんですか?でも、渡りに船だと思っています」
「渡りに船ですか?」
「私は元々騎士になりたかったんです。ガスパー様のような方から剣術を学べるのは貴重な経験になるはずです」
「そうですか・・・。アンリ様。怪我だけはなさいませんように」
「それ、王太子殿下からも言われました」
「ふふ。王太子殿下は本当にアンリ様を大切に思っておられるのですね。それでは、今日の勉強をはじめましょうか」
「はい」
アンリは公文書を読みつつわからない箇所をメイドさんに聞く。
そんなことをしているとあっという間に時間は過ぎていった。
「今日はこれぐらいにしましょう」
「ありがとうございました」
「それでは失礼します」
メイドさんはそう言って部屋を出て行った。
アンリは明日に備えてもう寝ることにした。
「ちゅんちゅん」と鳥のさえずりで目が覚める。
「ふぁ。朝か。今日も1日頑張らないと」
アンリは服を着替えマスクウェルの部屋に向かう。
今日もまだマスクウェルは寝ているようで寝室に向かう。
ベットを除けば無防備なマスクウェルの寝顔があった。
少しだけその寝顔を見て満足したアンリはマスクウェルを起こしにかかる。
「マスクウェル殿下。朝ですよ」
「んっんっ・・・。アンリか。おはよう」
「おはようございます」
アンリはいつものように服を取りに向かう。
だが、ここでいつもの違うことが起きた。
マスクウェルがアンリのことを後ろから抱きかかえてくる。
「マスクウェル殿下・・・?」
「アンリ・・・」
「マスクウェル殿下。困ります・・・・」
「私はアンリが心配で心配でたまらないのだ」
「私なら大丈夫ですから」
「そう言って何人ガスパーの指導で失ったことか・・・」
「約束します。私はマスクウェル殿下の元に必ず戻ってきます」
「本当に本当だな?約束を破ったら無理やりにでも連れ戻すからな」
「はい」
ここまで心配されるとガスパーの指導がどんなものなのか気になってくる。
だが、楽しみにしている自分がいるのも確かだ。
「マスクウェル殿下。まずは着替えをすませてしまいましょう」
「そうだったな・・・」
マスクウェルはバツの悪そうな顔をしていた。




