第二十八話
朝食も食べ終わりマスクウェルの部屋に戻ってきた。
「マスクウェル殿下。今日のご予定は?」
「まずは厩舎に向かうとするか。乗らなくても世話は大切だからな」
「わかりました」
アンリはマスクウェルと共に厩舎にやってきた。
アンリは自分の愛馬となった子の元に向かう。
「アンリ。これをあげるといい」
そう言ってマスクウェルがニンジンを渡してくる。
アンリが愛馬にニンジンを差し出すとむしゃむしゃと食べ始めた。
「こうやってみると可愛いですね」
「愛情を持って接すれば馬は応えてくれる。時間ができたら会いにくるといい」
「はい!」
「では、戻るとするか」
アンリはマスクウェルと共に来た道を戻る。
1人でも来れるように道をしっかりと覚えるべきだろう。
マスクウェルの部屋に戻ると文官が待機していた。
「王太子殿下。失礼とはわかっていましたが勝手に入らせていただきました」
「お前なら構わん」
「王太子殿下はこれから政務ですか?」
「その予定だ。アンリは自由に過ごしてくれて構わないぞ」
「では、王太子殿下にお願いがあります」
「なんだ?」
「本を貸していただけないでしょうか?」
「構わないが、もう文字を覚えたのか?」
「簡単なものだけですけど」
「なるほど・・・。なら少し待っていてくれ」
マスクウェルはそう言うと本を数冊持って戻ってくる。
「これなら読めるだろうという本を持ってきた」
「ありがとうございます」
「ソファーは自由に使ってくれて構わない」
「お言葉に甘えさせていただきますね」
アンリはマスクウェルから本を受け取ると応接セットのテーブルに本を置かせてもらう。
「何かあれば声をかけてくれ」
「はい」
アンリはマスクウェルの選んでくれた本を読みはじめる。
たまに解釈に困る部分があるものの文字を覚えたてのアンリでも問題なく読み進めることができた。
本を読んでいるとあっという間に時間が過ぎていく。
喉の渇きを覚えて一度読むのを止める。
「王太子殿下。お茶の準備をしますね」
「あぁ。気を使わせてすまない」
「いえ。これがお仕事ですから。自分の分も淹れていいですか?」
「もちろんだ。この部屋の物は許可を取らなくても自由に使ってくれて構わないぞ」
「ありがとうございます」
アンリは備え付けのセットで紅茶を淹れる。
自分の分も用意してマスクウェルと文官にまず給仕する。
「どうぞ」
「ありがとう」
マスクウェルと文官が飲み始めたのを確認してアンリも紅茶に口をつけた。
転生してからはじめて口にした紅茶だが確かにこの紅茶は今まで飲んだどんな紅茶より美味しかった。




