第二十六話
マスクウェルとの相乗りで馬に慣れた頃、兵士と思われる人物が白い馬を1匹連れて入ってくる。
「ようやっときたか」
マスクウェルはそう言うと馬を止めアンリを馬から降ろすと自分も愛馬から降りた。
「王太子殿下。馬を連れてまいりました」
「ご苦労」
「王太子殿下この子は・・・?」
「アンリの愛馬になる子だ。手配させていたんだ」
「そうなんですね・・・。触ってみても?」
「あぁ。だが、慎重にな」
アンリは恐る恐る白馬に触れてみる。
人懐っこい性格なのか頭をすりすりしてくる。
「可愛い・・」
「この様子なら相性の方も問題なさそうだな。アンリ。早速乗ってみるか?」
「私がですか?」
「アンリの馬なのだからアンリが乗るに決まっているじゃないか」
「そうなんですけど・・・」
「ちゃんとサポートするから安心してくれ」
「はい・・・」
アンリはマスクウェルの助けを借りて乗馬する。
「うわっ・・・。さっきと全然違う」
アンリは何とか馬の上で体勢を整える。
「もっと足に力を入れて。そうだ。それでいい」
マスクウェルの助言通りにすると少しだけだが安定する。
「では、軽く歩いてみようか」
マスクウェルはそう言って手綱を手に取り馬を歩かせはじめた。
姿勢を維持するだけで精一杯で景色を楽しむ余裕はなかった。
マスクウェルは馬場を1周させて馬を止める。
「実際に乗ってみてどうだった?」
「そうですね・・・。思ったより大変だということがわかりました」
「慣れればそうでもないのだがな。最初のうちはそんなものだ」
確かにマスクウェルは軽々と馬を操っていた。
自分もそんな風に慣れるだろうか?
「時間はまだあるしぎりぎりまで付き合おう」
「王太子殿下のお時間を取らせてすみません」
「気にするな。好きでやっていることだからな」
そう言ってマスクウェルは時間ぎりぎりまでアンリの乗馬に付き合ってくれた。
厩舎に馬を戻し教えられた通りに世話をする。
水や餌をやり最後にブラッシングする。
愛馬となった子は気持ちよさそうに身を委ねてくれた。
「今日はありがとう。またくるからね」
アンリはそう言って厩舎を後にした。
マスクウェルもその隣を歩く。
「今日は疲れただろ?風呂の準備ができているはずだからゆっくりと入るといい」
「はい。そうさせてもらいます」
全身の筋肉が悲鳴をあげている。
この状態でお風呂に入ったら気持ちよいのだろうなと想像できた。
「私はマスクウェル殿下の後に入らせていただきますね」
「そうか・・・。無理強いしてもな」
マスクウェルはそう言うと先にお風呂に向かった。




