第十六話
夕食も終わりマスクウェルを部屋に送り届けてから自室に戻ってきた。
しばらくして来客がやってくる。
「アンリ様。失礼します」
そう言って複数のメイドさんが部屋に入ってくる。
それぞれ荷物を抱えていた。
「それは・・・?」
「王太子殿下の指示で読み書きの道具をお持ちしました」
そういえば、教材を手配すると言っていたなと思い出す。
「わざわざありがとうございます」
「いえいえ。私達にお手伝いできることはありますか?」
「お言葉に甘えてもいいんでしょうか?」
「はい。なんなりとお申し付けください」
「では、ご迷惑でなければ読み書きの勉強を見てほしいです」
「アンリ様。やる気があることはいいことです」
「そうですね。王太子殿下への愛を感じます」
「愛って・・・。そんなんじゃ・・・」
「そうですか?」
「そうですよ」
マスクウェルの役にはたちたいが愛とは違う気がする。
「そういうことにしておきましょう」
メイドさん達はそう言って笑っていた。
「では、まずは簡単な文字を覚えていきましょう」
メイドさん達はそう言って簡単な文字から教えてくれる。
アンリは1つ1つ覚えていく。
「アンリ様は呑み込みがいいですね」
「そうですか?」
「そうですよ。今日のところはここまでにしておきましょう」
あまり夜更かしをしていては明日の仕事に影響がでてしまう。
「今日はありがとうございました」
「いえ。では、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
アンリはベッドに横になるとすぐに意識を手放した。
アンリは早朝に目を冷ます。
「ふぁ。眠い・・・。でも、そろそろ支度をしないと」
アンリは眠気を覚えつつも身支度を整える。
それが終わったら鏡の前で問題がないかチェックする。
「よし。問題なし」
アンリはそう言ってマスクウェルの部屋を目指した。
ノックをするが反応がない。
入っていいのか迷ったがアンリはマスクウェルの部屋に入る。
手前の部屋には誰もいない。
奥の寝室に繋がる部屋に入る。
ベッドを確認するとマスクウェルはまだ眠っていた。
眠っている顔を見ると普段とのギャップを感じる。
アンリは少しの間、じっとマスクウェルの寝姿を眺めていた。
自分は何をしているのだろうか?
そろそろマスクウェルを起こさなければ。
アンリはマスクウェルの肩をゆさゆさと揺する。
「んっんっ〜」
肩を揺らされマスクウェルはすぐに目を覚ました。
「アンリ。おはよう」
「マスクウェル殿下。おはようございます」
朝の挨拶を交わして今日も1日がはじまった。




