第十二話
朝食も食べ終わりマスクウェルの部屋に戻ってくる。
「殿下。今日のご予定は?」
「そうだな・・・。よし。街に行こう」
「街にですか?」
「そうだ。私よりアンリの方が詳しいかもしれないが・・・」
「いえ。私は街にはほとんど行ったことがないんです」
「そうなのか?」
「はい。街に出れば何かしらで出費がかさみますから・・・」
「なるほどな。ならば、今日は楽しむといい」
「楽しんでいいのでしょうか?」
「私はその方が嬉しい。だから、楽しめばいい」
「はい!」
マスクウェルに連れられアンリは王城を出る。
流石に護衛の騎士が一緒だが、マスクウェルと一緒に街を見れるのは嬉しい。
内心ではとても楽しみにしていた。
貴族街を抜け商業地区に出る。
商業地区はとても賑わっていた。
「わぁ・・・。人が多いですね」
マスクウェルは無言で手を差し出してくる。
「殿下?この手は・・・?」
「迷子になられては困るからな」
「いえいえ。そこまで子供では・・・」
「いいから」
マスクウェルはそう言って手を差し出したままだ。
どうやら手を取るまで諦めそうにない。
「では、失礼します」
アンリが手を取るとマスクウェルは嬉しそうな顔をする。
「では、行くぞ」
マスクウェルは歩きだし、アンリは少し遅れてその後に続く。
マスクウェルは1つの屋台の前で足を止める。
「店主。串焼きを2本頼む」
「はい。串焼きを2つですね」
そう言って店主は手際よく串焼きを焼いていく。
肉の焼けるいい匂いが周囲に漂い朝食を食べた後だというのに食欲を刺激してくる。
「王太子殿下。今日は逢引ですか?」
そう気安く声をかけてくる。
店主の気安さを見るにマスクウェルはこの屋台をよく利用するようだ。
「私は男です」
アンリはそう主張する。
「そうだったのか。そいつは悪かったな。1本おまけするから許してくれ」
そう言って3本の串焼きを渡してくる。
「あっ・・・。お金・・・」
ここでアンリは自分がお金を持っていないことに気がついた。
マスクウェルは気にした様子もなく代金を店主に渡す。
そして串焼きを受け取る。
「ほら。アンリの分だ」
そうして串焼きを2本渡してくる。
「ありがとうございます」
アンリは慌てて串焼きを受け取る。
「食べないのか・・・?」
「ええっと・・・。殿下。申し訳ありません。本来は私が払うべきなのに」
「何だ?そんなことを気にしていたのか。お金のことは心配するな」
そう言ってマスクウェルは自分の分の串焼きに口をつける。
「ほら。アンリも食べろ。ここの串焼きは天下一品だぞ」
「はい。では、失礼して・・・」
アンリはそう言って串焼きに口をつける。
マスクウェルが通うだけあって串焼きは今まで食べたどの肉よりも美味しかった。




