破壊
「やめてくれええええ!」
心からの叫びを須藤は気にしなかった。
須藤は国を滅ぼす兵器を起動させたのだ。
「あ、ああ」
絶望した。
「このおおお!!」
俺は近くに落ちていた鉄の棒を拾い、須藤に向かって走る。
須藤は立っていた。細身で白衣を着て、眼鏡をかけた男。
「はははは!!」
須藤は笑っていた。
鉄の棒はまっすぐ須藤の脳天を捉えようとして。
そのまま貫通した。
「は?」
そこに何もないかのようだった。
確かに鉄の棒は須藤の脳天を貫通し、体をすり抜けた。
感触は何もない。
すり抜けてしまう。
「もう抵抗するのはやめろ! どうせこの平和も束の間なんだ! また侵略され破壊される。なら先に破壊してしまった方がいいと思わないのか!?」
そう言い残すと光の粒を残してあいつの姿はかき消えてしまう。
「くそ。須藤、お前。ふざけたことを」
ホログラムだったのか?
俺たちの技術を知り尽くしてた須藤なら、そのくらいできてもおかしくない。
そこまで考えるが、もう須藤は消えてしまった。
大きなガラス張りの壁から、外が見える。
目の前には街の景色が見える。
どこにでもある街。茶色のマンション、色の薄い住宅達、赤く大きな看板をつけたスーパー。
破壊の光が空から迫ってくる。
それがこの街を滅ぼすのだ。
仲間と共に命を懸けて守ってきた街。宇宙からの侵略者と戦い、ようやく持ち直してきた街なのに。
その街は須藤一人の手によって無残にも消滅しようとしている。
光は街の全てを覆い、俺の視界も消え。
最後に轟音と衝撃を受け、そのまま意識が途絶えた。
***
「ん……」
目を開く。
俺は倒れていたようだ。
地面に手をついて立ち上がる。
そして周囲にあったのは、俺の見慣れた街でなかった。
全てが破壊の嵐に流されてしまった街の成れの果てだった。
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