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第1章「異世界の婚約者」

第一話「運命の召喚」


リリア・エルフォードは、人生最大の屈辱を味わっていた。


「リリア・エルフォード。貴様との婚約は破棄する!」


王城の舞踏会の最中、王太子アルベルトの冷酷な宣言が広間に響き渡った。彼の腕には、美しい金髪の令嬢が寄り添っている。彼女は侯爵家の娘であり、かねてよりリリアの婚約者であるアルベルト殿下に取り入ろうとしていた女だった。


「な、なぜ……」


リリアは呆然としながらも声を振り絞る。アルベルトは鼻で笑うと、周囲の貴族たちを見渡した。


「貴様のような傲慢な女とは到底結婚などできぬ。私が愛するのはエレナだけだ!」


(傲慢? 何を言っているの……?)


リリアは人一倍礼儀を重んじ、決して人を見下すようなことはしなかった。それどころか、王太子妃となるための教育を受け、誰よりも努力を重ねてきたはずだった。


だが、それも無駄だったのだ。リリアは婚約破棄を受け入れるしかなかった。


侮蔑の視線を浴びながら、彼女は城を後にする。そして、屋敷に戻ったその夜——。


「来い、私のつがいよ」


低く響く男の声が耳元で囁いたかと思うと、次の瞬間、リリアの身体は白い光に包まれた。


「きゃあっ!」


まばゆい光の後、リリアが目を開けると、そこは見たこともない場所だった。石造りの広間、黒曜石の柱、そして燭台の灯りが揺れる荘厳な空間。


「ここは……どこ?」


震える声で問いかけると、彼女の前に立っていたのは、一人の男性だった。


長い漆黒の髪、鋭い金の瞳、端正な顔立ちを持つ男——そして彼の背には、大きな黒い翼が広がっていた。


「ようやく会えたな、私の運命のつがいよ」


その男はリリアを見つめながら、ゆっくりと微笑んだ。


「私は魔王ディアス。お前を迎えに来た」


リリアの新たな運命の幕が、今、開かれた——。



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