第9話 怪鳥ダンジェローン
「助けてえぇぇぇぇぇぇ!!!!」
僕は怪鳥ダンジェローンに追い掛け回されている。
全長5mほどだが、体に似つかわしくない大きな黒い羽と強靭な脚を備えている。
こいつは飛ばずに走り回って追いかけてくるのだ。
「い、今行きます!」
チルチンはそう言ってくれるが、全然来ない。
ダンジェローンの巣は高所にあるため、卵は飛行魔法を使えるハルカが捕獲にする作戦になった。
しかし、問題なのはそこに居座り続けるダンジェローン。
「援護してくれる約束じゃああぁぁぁぁぁぁんんん!!!」
ダンジェローンを挑発し、巣から離し時間を稼ぐのが僕らの役目だ。
「こっちも卵が想像よりも大きくて大変なのよ! ……これ焼いたらおいしい目玉焼きになるんじゃないかしら」
そうハルカの声がかすかに聞こえる。
その返事を返す余裕がないくらい僕は草原を走り回る。
本来タンク役であるチルチンが攻撃を防ぎ、僕が少し手負いをさせる作戦だった。
なのに、そのチルチンは……。
「こ、こっちにきてくださぁぁぁぁぁい! そうすれば攻撃受けれますぅぅぅぅ」
盾が重すぎて、僕の元まで来れないのだ。
そもそも受けるクエスト間違えたんじゃない??
まだサーベルクロコダイルの方が分かりやすかったと思い始めた。
僕は攻撃をよけながらなんとか走り続ける。
普段なら体力がないながらももう少し走れるはずだが、おっぱいのせいで反動が付いて走りずらい。
「少し休んでてください!」
僕は滑り込みでチルチンの後ろに滑り込む。
ガチィィィィィィィンンンンンンンッッッッ!!!!!!
ダンジェローンのくちばしが盾に当たると、ダンジェローンは大きくノックバックした。
それがどれほどの勢いかを物語っている。
その攻撃を受けた本人はなんと、びくともしていなかった。
ダンジェローンは混乱状態になり、ふらふらして攻撃をしてくる素振りはない。
「助かったよ! チルチ……ン……?」
僕は立ち上がり、チルチンにお礼を言おうと近づくと違和感を覚える。
「はぁ……はぁ……♡」
何やら息を切らしている。
身体もビクつかせ、顔を赤らめている。
それだけなら力を使った為と思えるが、そうではない。
「こ、こんなの初めて……♡」
目がトローンとしているし、なんかよだれも出ている。
あ、これはヤバイ人かもしれない。
「こっちはもう大丈夫よーーー!!!!」
ハルカはすでに5つの大きな卵を浮かせ、確保していた。
クエストは1つでいいはずなのにとても欲張りだ。
それだから援護してもらえなかったのか。
すぐさま混乱中のダンジェローンを動けないように縄をうまく使い縛る。
意外にも作戦は成功したのかもしれない。
✚
「結局食べちゃったね」
ダンジェローンは結局殺し、卵2つと一緒に僕らは焼いて食べていた。
「空腹には勝てないもの。それに魔物は討伐してもいいからね。その分お金ももらえるし」
ハルカは両手にお肉を持ち、頬張りつくす。
最初の討伐しない配慮は何だったのだろうか。
日も沈み、暖を取るための火でダンジェローンの肉をどんどん焼いていく。
「噛み応えあって意外とおいしいね」
「あれだけ快速で走ってたら筋肉質な脚になるのも納得よ」
僕らは空腹を満たしながら今日のクエストを振り返っている。
「ぐぅぅぅぅぅぅぅ」
こんな焼き鳥を楽しんでいる最中、音が聞こえる。
それは空腹の音だ。
「本当に食べなくていいの?」
「は、はい……この我慢してる感覚がたまらない……です……♡」
よだれを出しながらそう言っている。
火に当てられているからかまた顔が赤くなる。
「エルフってあまり肉を好まないっていうもんね」
「だからすらっとしてる人が多いのか……」
肉を食べないということは野菜などヘルシーな食生活をしていることになる。
食べ物が体を作るんだから、そりゃすらっとした体系が多いわけだ。
それでもがっちりした人はいるし、結局は好みの問題なのかもしれない。
「また自分の体を当てつけたわね」
ハルカがジト目で見てくる。
「そ、そう言うわけじゃないよ! チルチンも違うからね!?」
僕は弁解をする。
「あ、あの……」
会話の流れを無視するような真剣な表情のチンチル。
「私はこのパーティに入れてもらえますか……?」
「「!!!」」
そう言えばそうだった。
すっかり忘れていたが、そういう名目だった。
ちらっとハルカを見る。
何か言いなさい。
そう口を動かしている。
「今日は相手がすばしっこかったからあまりタンク役と言うわけにはいかなかったかもしれないけど、最後のあれはすごかったよ!!」
びくともしないあの防ぎよう。ドワーフでも同じようにできる人は何人もいないと思う。
最初は見た目で不安を抱いていたが、これだけの実力があったら不採用にする理由もない。
「僕としてはこれからも一緒にできたらなって思うよ」
ハルカももぐもぐしながら頷き、便乗している。
「ほんとでs……」
「でも、言っておかないといけないことがあるんだ」
喜ぼうとしているチルチンを遮るよう僕は続ける。
「僕たちはとある事情で大魔王の討伐を目標にしてる。だから、最終的にはそれだけ過酷なものになr……」
「大歓迎です!!!!」
チルチンは立ち上がる。
「大魔王と言うことはその前に大魔王の四天王や幹部。それに似合った強い敵とたくさんやり合えるということですもんね! これ以上の喜びありませんよ!!!」
初めのシャイだったチルチンとは全く違い、鼻息を荒くし話す姿に呆気を取られる。
「な、ならこれからもよろしく……」
「こちらこそです!!!!」
と言うわけで、無事タンク役の仲間が加わった。
【作者からのお願い】
「面白い」
「続きが読みたい」
「チ〇チンの今後が気になる!」
と少しでも思って頂けた方は、ブクマ登録と、↓の★★★★★を押して応援して下さると励みになります。
これからも更新していきますのでよろしくお願いします。




