学校の屋上でサボる
風音姉さんは火陰によってガムテープで体をグルグル巻きにされ、部屋に置き去りにされた。
「本当にあのままでいいのか火陰」
「逆にまだ足りないぐらいです、前は手足に手錠を嵌めて縄で体を縛っていたにも関わらず簡単に破ってしまわれましたからね」
少し想像する、そんな恰好の風音姉さんを見てみたい気もしてきた。
「何を想像しているのですか兄上」
「いや、別に何も想像してないぞ」
火陰に訝しげに質問されるが何も想像してないと嘘を吐く。
「それよりも兄上、そろそろでないと学校に遅刻してしまいますよ」
腕時計の時間を確認すると今から家をでないと確実に遅刻する時間になろうとしていた。
「火陰の言う通りだな、でも風音姉さんはどうするんだ」
「姉上なら大丈夫でしょう」
火陰が言うと風音姉さんの部屋から物音がする。
「ささ兄上学校に行きましょう、私も生徒会長な手前遅刻する訳にいきませんから」
火陰に背中を押されながら家を出る。
「おはようございます先輩」
家を出て少し歩くと、音花と会った、音花の家は学校裏付近の住宅街にあるはずだがなぜここにいるんだ。
「おはよう音花、でもなんでここに」
「先輩が来るのを待ってました、学校に行くならこの道しかありませんから」
「でも音花の家ってこっちじゃないはずだよな」
「あの家は引っ越しました、今はあそこのマンションで一人暮らしをしています」
音花が言うマンションは一年程前に建った新築のマンションであった。
「引っ越して一人暮らししてたのか、それは初耳だな」
「はい、先週引っ越したのでまだ家具もなにも準備できてないのですが、先輩今度の週末ショッピングモールに一緒に行って家具選びを手伝ってくれませんか」
「週末なら何も予定とかなかったから、別にいいぞ」
「やった、それじゃあ今日の夜に時間とか決めて連絡しますね」
音花は嬉しそうにピョンピョンと跳ねると火陰を押しのけ腕を組んでくる。
「ちょっと私の事は無視ですか」
「あれ生徒会長さんじゃないですか、学校に急がなくていいのですかもう少しで授業始まっちゃいますよ」
「それはあなたも一緒でしょ、さっさと兄上の腕から離れなさい」
「先輩が嫌なら離れますけど、どうですか先輩」
「別にいいんじゃないか、火陰もそんな怒るなよ」
火陰を落ち着かせようとする、火陰はそのまま先に行ってしまう。
「おい、待てよ火陰」
火陰を追うように歩くが、火陰はどんどん先に行ってしまい、学校に着く頃には火陰は既に校舎の中だった。
「じゃあ先輩、また」
「またな」
校舎の中に入り、音花と別れる、結局の所数分遅刻してしまい、授業は既に始まっていた、教室に入りにくなり、教室には向かわず、屋上でサボろうと屋上に向かう、屋上の扉を開ける、風が気持ちよく吹いていて、屋上のベンチで寝るには十分だった、ベンチで横になると、他の生徒がいたことに気づく。