ブレーカーが落ちて家に侵入者が現れる
カレーを食べ終わり、リビングのソファーで休んでいると突然リビングの明かりが消える。
「もしかして姉上の仕業ですか」
火陰は洗い物をしていてすぐに水を止める音が聞こえてきた、風音姉さんを呼ぶ火陰だが返事はない、するとリビングの明かりが点いた、リビングの外から物音がして、リビングの扉が開かれるがそこに立っていたのは風音姉さんだった。
「誓って言うけど、さっきのは私の仕業じゃないわよ急に明かりが消えたからブレーカーを見に行ったわけそしたら何者かがブレーカーに細工してたみたいよ」
風音姉さんが机に何かを置いて見てみると、机には八時を指す置時計に糸を巻き付けた重りが置かれていた。
「姉上の仕業でないなら、何者かが家に侵入して、ブレーカーに細工をしてこの時間に明かりが消えるようにしていたということですね」
「その通り、でもどうやって家に侵入したのか痕跡を残してるかなって思って調べたら、その痕跡すら見つからなかったんだよね」
風音姉さんと火陰は唸っていた。
「誰の仕業にしろ、この家に侵入したのは許せません、まず防犯カメラを家の周りに設置しましょう」
「まあまあ落ち着いて火陰ちゃんそれよりもまずしなきゃいけないのわ、この家に盗聴器を仕掛けられてないか調べる必要があるのよ」
今不穏な風音姉さんは不穏な言葉を口にした。
「さっき玄関の方から音がしたから、多分侵入者はこのブレーカーが落ちている間に家の中に侵入して何かを仕掛けたに違いないわ、リビングには弟君と火陰ちゃんがいたから心配なさそうだけど、私達の部屋は無人だからね、だから侵入者が何かを仕掛けたならブレーカーを落としているこの間にしてる可能性が高いのよ」
「でも姉上、わざわざブレーカに細工するために家に侵入したはずなのに、もう一度家に侵入する理由の検討がつきません」
「私の勘だと一度家には侵入したけど仕掛ける時間がなくて、そんな時に思いついたのがこの時間にブレーカーを落とす事だったのよ、侵入者はブレーカーが落ちている間に私達の誰かの部屋に何かを仕掛けていま逃げ出そうとしてるわけ」
「そんな事まで分かるんですか姉上」
「だって今まさに庭に不審者がいるんだから」
風音姉さんは庭を指差す、庭には全身黒ずくめの男か女かも分からない人間が、今まさに逃げ出そうという所だった火陰は何も言わずベランダの窓を開け追いかけた、俺と風音姉さんも火陰の後を追うが、ベランダの窓を開けた時に全身黒ずくめの人間に気づかれてしまい、全速力で逃げられてしまった。
「こんな簡単に逃げられてしまうなんて」
「まあそんな落ち込む事ないって火陰ちゃん、ほらお姉ちゃんがハグしてあげる」
嫌々嫌がる火陰を風音姉さんは抱き着いていた、二人のそんな事には目もくれずに、あの黒ずくめの人間の事を考えていた。
「あの走り方は」
全身黒ずくめの人間が全速力で逃げる時、見たことがある走り方をしていた、それは小学校、中学校の友人である神坂陸羽だ、彼女とは別の高校になってしまい、高校に通い出してから連絡していなかったが、あの走り方は彼女の走り方に違いなかった。