真っ裸の妹
リビングに入るといい匂いがリビング中に広がっていた、台所では風音姉さんが晩飯の準備をしている真っ最中だった、だがどこを見渡しても火陰の姿はなかったのだ。
「風音姉さん、火陰は、もう靴が並べられてるって事は帰っているはずなんだけど」
「火陰なら、先にお風呂に入るって言ってたからお風呂場のはずよ」
「それなら風音姉さん、聞きたい事があるんだけど」
「何あらたまって」
「俺の暗殺を依頼したのって一体誰なんだ」
「それを聞いて何か弟君に徳があるの」
「いや別に何にもないとは思うけどさ、少し気になってね、俺の暗殺を依頼したのがどんな人間か」
「組織の規則によって教える事はできないのよ、教えてしまったら弟君を殺す前に、私が組織から殺されるわ」
「そうだったんだ、悪かったね」
「それよりも上手くできたか分からないから味見してくれないかしら」
風音姉さんは、作り終わったカレーを器に注ぎ、手渡してきた、いつもなら火陰がいて毒味をしてくれるのだが、肝心の火陰は、お風呂に入っていたのだ、風音姉さんは微笑んでいて、これは口の中に入れてもいいのか、それともダメなのか、考えていた時、お風呂場からドタドタと足音が聞こえてきた、リビングの扉が急に開き、そこにはバスタオルも何も巻いてない真っ裸の火陰がリビングに現れる。
「兄上、無事ですか」
「火陰それよりも服、服着てこい」
手で目を塞ぐ、火陰にも服を着るように言うが、火陰はリビングから出ていかずに風音姉さんと対峙する。
「よくもやってくれましたね姉上」
「んーなんの話かな火陰ちゃん」
風音姉さんに詰め寄る火陰、一体何が起こっているのか目を塞いでいた俺は不思議に思っていた。
「私に催眠ガスを嗅がせて眠らせましたよね、起きたら身ぐるみを剝がされていたので脱出に手間取ってしまいました」
だから火陰は真っ裸だったのか、真相を知るが、火陰はリビングから出ていく気配がない。
「姉上にはしてやられましたね」
「もう少し脱出には手間取ると思ったんだけどね、ロープで体を縛っていた方が良かったかな」
風音姉さんは火陰にしたことを白状したみたいだ。
「火陰ちゃん、そろそろ服着てきた方がいいよ、そんな恰好じゃ弟君もずっと目を塞いでおかないといけないし、風邪を引いちゃうよ」
「では兄上に付いてきてもらいましょう、姉上と二人きりじゃ危険ですからね」
「いや俺はここに残るからさ、火陰は急いで着替えてきてくれよ」
「兄上、どうしました私の裸なんて見飽きているでしょ」
「いや、それはそうなんだけどさ」
見飽きているといっても中学一年までの話だ、最近の火陰の体は成長していて、前とは比べるまでもなく大人の体に成長していた。
「火陰が前よりも大人ぽくなってるから、ずっと目を塞いでるんだよ、だから早く服を着てくれ」
そんな叫び声がリビング中に響くと、一瞬の間があり、リビングの扉が開いたようだ、おそるおそる塞いでいた目を開くと、リビングから火陰がいなくなっていた。
「今すぐに着替えてくるので、姉上、兄上に手を出さないでくださいね」
火陰はそれだけ言い残し、階段を駆け上がる音が聞こえてきた、残された風音姉さんと二人きりになったのだが、風音姉さんは一言も話さずに、台所に戻り、作り終わったカレーを人数分机に並べた、火陰が着替え終わって戻ってくると、火陰は俺の隣に座るが、いつもよりも少し距離を離し座ったのだ
「それじゃあいただきましょうか」
風音姉さんが手を合わせると、俺と火陰も手を合わせ、火陰も俺も風音姉さんが食べるのを見て毒は入ってないと分かったので、風音姉さんが作ったカレーを食べ始めた。