表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/16

図書委員の仕事

 一日の授業が全て終わり、放課後になった、急ぎ図書館に向かおうとするのではなく、まず教室を出て隣の教室に友達から借りた本を返す予定だ。


「ようす」


 と思ったらあいつ自ら出迎えにきた。


「ほらこれ返すよ」


「感想は」


「内容はまあまあ面白いだが題材が悪かったな」


「そうか、これもお前には合わなかったか」


 鞄に隠し持っていた、漫画を手渡したが落ち込んでいる様子だ。


「まあでも続きは気になってるから、今度自分でも買ってみるよ」


「まだそんなに巻数も出てないし集めるのは簡単だぞ、俺の予想ならアニメではなくドラマや映画の方を期待してるがな」


「俺も内容的に映画なら合っていると思う」


「それじゃあまた今度オススメする漫画を持ってくるから、その時も貸してやるよ」


「まあ楽しみにしとくよ、それよりいいのかそろそろクラブの時間だろ」


「そうだった、じゃあまたな」


「ああ」


 挨拶を交える、あいつとは中学からの同級生でたまに漫画を貸してくれるのだ、そして返す時に少し感想を言っていた、腕時計を確認してそろそろ図書館に向かっていかなければいけない時間だった、慌てずに図書館に向かい、図書館に着くと、数人の生徒が勉強していた、借りる素振りもない為、返却された本達を元の本棚に戻し、受付で今日借りた本を読み始めた、たまにくる本を借りに来た生徒の相手をして、今日の図書委員の仕事が終わりを迎える、帰り支度をして図書館に誰もいないことを確認して鍵を閉める。


 一応図書館は朝から放課後までは自由に行き来できるようにしている、受験生の三年生が自習するためだと図書委員担当の先生に聞かされた、なので借りる事ができるのは受付がいる昼と放課後の時間だけだ、その代わり放課後を過ぎれば図書館の鍵をしめないといけないので、それは図書委員の俺の役目だった。


 図書委員と言っても俺と今日昼に受付をしていた女子生徒しかいないのだ、その理由は他の図書委員だった生徒を皆彼女が辞めさせたのだ、おかげで毎日昼は彼女が放課後が俺の専門として受付を決めたのだ、図書委員担当の先生も二人いれば十分だと言っていて、了承済みだ、委員会も放課後に受付をしている俺は出れないので、彼女に全て任せていた。


「お疲れ様です図書館の鍵を返しにきました」


「じゃあいつもの所にかけといて」


 職員室の扉を開け先生達に図書館の鍵を返しにきたことを報告する、いつもの所に図書館の鍵をかけて、失礼しますと言って、職員室から退室する、すると生徒会室の扉が急に開き、火陰が出てくる、今日は生徒会の用事があると言っていたが、どうやら今終わったらしい、火陰の後からぞろぞろと数人の女子生徒が出てくる、そこには見覚えのある少女もいた。


「では会長お疲れさまでした」


「はいはい、お疲れ、あれ兄上どうしてここに」


 火陰に気づかれると声をかけられた。


「いやちょうど、図書館の鍵を返しにきた所で火陰は生徒会の用事が今終わった所みたいだな」


「はい、こちらも会議や他にもやることを終わらせたのでちょうど帰る所でした」


「なら一緒に帰るか」


「はい、ご一緒させてもらいます、皆さんお疲れ様です」


「お疲れさまでした会長」


 生徒会役員が全員火陰に頭を下げていた、見覚えのある少女に手を振るが少女は振り返す事はなかった、火陰と一緒に校舎から出て会話する。


「あの子達が生徒会役員なのか」


「はい、私が厳選して選び抜きました」


「それにしても全員火陰と同学年ってことは後輩だよな、普通は上級生とかの方が学校にも詳しいだろ」


「兄上、上級生とか後輩とかは今の時代関係ありませんよ、それに彼女達も成績優秀なので問題ありませんよ、学校の職員にも認められる程の秀才ですから」


「まあ俺は口出ししないけどさ、それよりも今日の昼休み生徒会室前に男子生徒が並んでいるのが見えて驚いたぞ」


「ちょっと待ってください、何故兄上が今日の昼休みの事を知っているのですか」


「なぜって、今日は音花に誘われて風紀委員室で昼を食べたからな」


「あの暴君風紀委員長に」


「別にいいだろ、俺が誰と食べようと」


「そうですね、別に兄上が悪いわけではないのに、すみません取り乱してしまって」


「謝らくてもいいだろ、そろそろ帰って晩飯にしようぜ、風音姉さんも帰ってる頃だろ」


「もうそんな時間でしたか、では急いで帰りましょう」


 火陰は俺を置いていき住宅街の家の屋根から屋根に飛び乗ってすたすたと走って去ってしまった、俺にはあんな事ができないので走って家まで帰るしかない、俺が家に着いた頃には火陰の靴と風音姉さんの靴が並べられていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ