便箋を手渡される
神坂家の前には彼女の学校の友人と思われる女生徒が数人涙を流しながら、神坂陸羽の両親と話をしていたので電柱に隠れる。
女生徒達がいなくなるのを待つこと数分、女生徒達が電柱の横を通り過ぎた。
電柱から顔を出し、神坂陸羽の両親は家に戻った事を確認して、神坂家の玄関前にたどり着く、インターホンを押そうとするが、手が震えてインターホンを押すことができない。
「じゃあ、あなたちょっと夕飯の買い物に行ってくるわね」
すると玄関の扉が開けられ、神坂陸羽の母親が扉から出てきた、俺は横の壁に咄嗟に隠れた。
「おいおい夢君がきたらどうするんだ、俺一人じゃ不安だからお前もいてくれよ」
その後に続くように父親も、出てくる。
「冷蔵庫の中を見たら私とあなたの分しか夕飯を作れないの、多分夢君もお腹空かせると思うから、それにあなただって夢君の事心配でしょ、なら一緒に夕飯を食べながら話をしましょう」
「たしかに夢君の事は心配だな、だったらデリバリーで寿司でも頼もうあいつが好きだったからな」
壁を越えて神坂両親の優しさに包まれる、俺は一歩を踏み出す、神坂陸羽の両親と目が合った。
「「夢君」」
二人は同時に気づき俺の名を呼ぶ。
「あの話があるって姉から聞いて」
「ここじゃなんだから中に入って話しましょう」
「そうだな、よく来てくれたな夢君」
玄関から手招きをされ、家の中に通される。
「ああ、そうだ寿司を四人前で」
父親は電話で寿司を注文してくれていた、母親にお茶を出されたので、そのお茶を飲む。
「それにしても夢君みない間に大人になったな」
父親は注文が終わったのか、前の椅子に腰掛ける。
「当たり前よ、高校生になってからそんなに会わなくなっちゃったんだから」
母親は父親の隣の椅子に腰掛ける。
「どうだい高校は楽しいかい」
何気ない質問を父親からされたが、俺は頭が真っ白になり質問を聞いていなかった。
「夢君?」
名前を呼ばれ俺の体はビクッと震えた。
「はい、なんでしょう」
「高校は楽しいかって聞いてみたんだが」
「ええ、楽しいです」
「あなた」
「もう話すのか、もう少し夢君と話した方が」
「もう夢君だって高校生になったんだから、受け止めるわよ」
「そうだな、一体どこから話した方がいいのか、夢君は陸羽と仲がよかったよな」
「はい、最近会って話もしました」
「それは妻から聞いている、それで夢君には悲しい話になるんだがな、陸羽が殺されてしまった」
「あなたもっと言い方ってものがあるでしょ」
「お前が夢君は高校生だからって言うから、俺はもっと雑談をしてから切り出すつもりだったのに」
「あの落ち着いてください、俺の事は心配しなくても、状況は分かりましたから」
急に夫婦喧嘩のように父親と母親は怒鳴り声を上げた。
「すまないね、夢君に心配をさせてしまうとは、俺と妻も突然の事でいまだに信じられていないんだ、あの子が陸羽が殺されたなんて」
父親は声を抑えて泣き始めてしまう。
「三日前の夜にね、あの子突然急用ができたって言って家を出て行ったの、それっきり連絡もないまま、今日の朝に警察から突然連絡がきて、最初はもしかしたら警察の方で保護した連絡かと思ったの、でも警察の言葉は娘さんの死体が見つかりましたそれだけだった」
父親の方が話せないと分かると母親が代わりに話に始める。
「すぐに遺体を確認して娘だって分かった、さっきも学校の友達が心配して来てくれたの、私達は娘の事を話したわ、それで夢君にも娘の事を黙っているなんてできないから、家に電話したの」
母親の方も、少し泣き声になりながら話をしてくれた。
「夢君、実はね預かってる物があってね、これは娘からの手紙」
すると母親は便箋を手渡してきた。
「娘が出ていく前に夢君に渡してくれって言っていたの、読んでないから安心して」
受け取り、内容を読み始めた。
遂に主人公の名前が




