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後輩はヤンデレだった


 休み時間が終わるチャイムが聞こえる、職員室に呼びだされたのだ、もしかしたら授業をサボっているのがばれてしまったと思ったのだが先生に連行されたのは風紀委員室であったのだ、風紀委員室に入る前に先生はさっと去っていき、風紀委員室の扉をノックする、どうぞと言う声に聞き覚えがあると考え扉を開けると予想通り、音花が席に座っていたのだ。


「すみませんね先輩呼び出したりなんかして」


「まさか音花が俺を呼び出したのか」


「はい、先輩が授業に出てないと報告があったので、先生に命令して呼び出してもらいました」


「そんなことしなくても、次の授業には出るつもりだったさ」


「まさか風紀委員長の私の前でどうどうとサボっていた事を公言するとは」


 音花は立ち上がり、俺の方に近寄ってくる。


「先輩、さっき屋上で話していた女子生徒は何者ですか」


 音花が急に体に触れてくる、屋上にいたことを知りあの女子生徒の存在も知っている音花に寒気がしてくる。


「どうして音花がそれを知ってる」


「どうして先輩のことならなんでも知ってますよ」


 突然体に激痛が走る、音花が持っている物に気づくと同時に気絶してしまう。


「先輩、起きてください先輩」


 声が聞こえる、意識ははっきりとしない。


「やっと意識が戻った、そんなに威力が高いスタンガンなんて買ったつもりはないのに先輩ったら数時間気絶するもんだから、私心配したんですよ」


 だんだんとはっきりしてくる意識の中思い出した、体にスタンガンを当てられ気絶したのだ、周りを確認しようと立ち上がろうとするが、がちゃんと音がして、体が引き戻される、手首に手錠が嵌められていた。


「ここはどこだ音花」


 目の前に座る音花に質問する。


「そんな目で見ないでください」


「真剣に聞いているんだ、ここは一体どこだ」


 気絶する前までいた風紀委員室とは全然違う真っ暗な部屋辛うじて人の姿は視認できるぐらいの空間に拘束されていた。


「ここのことは私しか知らない、だから先輩逃げるなんて真似はしないでくださいね」


「どこかも分からず、手錠まで嵌められてるのに逃げるなんてできないだろ」


「それもそうですね」


 音花が近寄ってくる、突然キスされた、拒もうと顔を背けるが顔を掴まれ強制的にキスされる、数分続きやっとキスを止めた音花、正直これ以上続いていたら息が持たずまた気絶するところだった、お互い荒い息を整える。


「先輩の口の中甘かったですよ」


 音花は恍惚とした表情で答える、正直な感想は悪くはなかった女子と初めてのキスだがとても気持ちよかった。


「先輩、またキスしたいですか」


 その質問には答えない、今の俺ならしたいと答えそうになってしまいそうだったから。


「まあ時間はまだまだありますからね」


 音花は目の前に座ると見覚えのある弁当箱を差し出してきた。


「これ先輩のお弁当です、朝から何も食べてないですよね、本当は捨てて私の手作りでも披露しよかなって思ってはいたんですが、今の私の料理じゃ先輩に警戒されて多分食べてくれないでしょうからね」


 音花の言う通りおなかは空いていた、差し出された弁当箱を取ろうとしても手首の手錠のせいで取れなかった。


「この手錠を外してくれないと、食べれない」


「そんな簡単に食べさせるなんて考えてないですよ」


 音花は弁当箱の箱を開け、箸を取り出すと弁当箱の中身であるおかずを自らの口の中に入れ、近寄ってくる、またキスされたがそれはさっきのキスと違い弁当箱のおかずの一つ卵焼きを口移しで食べさせてきたのだ、卵焼きの味はしょっぱい、卵焼きを口の中に含み、音花の口は離れる。


「ぷはっ 先輩と口移ししちゃいました」


 音花はさっきと同様恍惚とした表情のままだ。


「先輩は私がこんな事をする理由が気になりますか」


 突然の質問それは当然気になるに決まっている。


「それはもちろん気になるに決まってるだろ」


 音花は何も答えず、数分か数十分か経った頃に遂に口を開き話始めた。


「先輩は私と初めて会った時の事を覚えてますか」


「中学の風紀委員の学年集いだった時だよな、後輩のお前が困ってたから話かけたのを覚えてる」


「先輩にとってはそれが私と初めて会った記憶なんですね、でも違います、それよりも前に私と先輩は会ってるんです」


「それよりも前」


 音花と初めて会ったのは風紀委員の集いの時だがそれよりも前に初めて会ってたなんて全然記憶にはなかった、だが音花が嘘を吐いているようには見えない。


「私が先輩と初めて会ったのは中学校の入学式が終わった頃です校舎で迷ってた上に他の先輩方に詰め寄られていた所を先輩に助けてもらいました」


 そう伝えられて思い出した、中学校の入学式が終わった頃に、他の同級生達が女子生徒に詰めよっていたので、柄にもなく助けたのだ。


「私は先輩に助けられたあの日からずっと先輩の事を知りたくてずっと調べてました、先輩が風紀委員に選ばれたのを知り私も風紀委員になったら会話できると思って風紀委員に立候補したり、先輩に頼んで勉強を見てもらってたのも、先輩と一緒に勉強したかったからです」


「落ち着け音花」


 詰め寄ってくる音花に落ち着けと伝えるが、音花は全然落ち着かない。


「先輩これだけ言っても分かってくれないんですか、私は先輩の事が好きって言いたいんです」


 言われなくても分かってはいた、こんな拘束なんてされたりキスや口移しなど嫌いな相手にはまずしないだが。


「すまん音花俺には他に好きな女性がいるからお前の気持ちには応えられない」


 音花に伝える、さっきまで詰め寄ってきた音花は急に後ろに下がり出す。


「先輩に好きな女性がいたなんて初めて聞きます」


「誰にも言ってないからな」


「でもその女性が先輩を好きじゃない可能性だってありますよね、付き合っても浮気だってするかもしれないです、私なら先輩と付き合っても浮気なんて絶対しないですし、先輩との将来も考えてます、だから私じゃ駄目なんですか先輩」


 音花は涙を流し近寄って抱きついてくる、俺の事をこれだけ好きな女子はそういないだろう、だが俺には音花の気持ちには絶対に応えられない。


「ごめんな音花お前の好きって気持ちは伝わってくるけど、俺はそれに応えられない」


「なら一つだけ、先輩の好きな女性は一体誰なんですか、それだけ教えてください」


「音花も知ってるはずだ神坂陸羽だよ、中学校にいただろ」


「神坂陸羽、覚えてます、先輩の同級生でありながら先輩に馴れ馴れしくしてた女、その女性が先輩の好きな女性なんですか」


「俺の片想いかな、小学生の頃からずっと告白できなくて結局高校も別になって今じゃ遠い存在になったからな」


「私にとっては羨ましいです、先輩に好かれていながら、その気持ちに気づかないなんて」


 音花は言葉にする。


「先輩すみません、少し用事を思い出したので出ていきますね、一応出ていくのを見られる訳にはいかないので目隠しをさせてもらいます」


 よく飛行機などで使われているアイマスクを目に覆われる、どこかで開く音が聞こえる。


「先輩、次に戻ってきた時には先輩の好きな気持ちが少しでも私に向くよう願ってます」


 閉じる音が聞こえる、一応声をかけるが答えてこないとなると出ていったらしい、手錠と目隠しをされたままなので音花が戻ってくるまで待つしかなかった。

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