朝から争う姉と妹
「今時仕込みナイフなんて流行らないですよ姉上」
「まさか弟君と添い寝してたなんて、これは想定外」
「まあ兄上のボディーガードとしては当然です、いつ如何なる時でも油断してはいけない、それが師匠に教わった言葉の一つですから」
姉と妹が争ってる中普通に寝てられる俺は間違っているのだろうか、朝からそんな事を考えてしまう。
「毎朝の朝食に感謝を込めていただきます」
「いただきます」
「いただきます」
家族全員で手を合わせ、用意された朝食を食べ始める、今日朝食を準備したのは姉さんである風音姉さんなので、妹で火陰がまず毒味をし、安全である事が分かり朝食を食べ始める。
「もう別に朝食に毒なんて盛らないって」
「いいえ姉上は最近一度猛毒を盛り兄上を死に至らせる直前までした経験がございますので油断は禁物でございます」
「だからもうしないって言ってるじゃん、何度言えばいいの私も別に弟君の命を取りたくはないけど仕事だから仕方なくやってるのに」
風音姉さんはほっぺをぷくーと膨らませる、実は風音姉さんは母の仕事である殺し屋の組織で働いており組織から俺の暗殺が決定し、その仕事を風音姉さんが受けて今の状況にある、かといってそんな簡単には殺されたくもないので、父の仕事を手伝っている妹の火陰をボディーガードとして雇い、風音姉さんの暗殺を食い止めてもらっている。
「今日は私他の暗殺があるから、また帰ってきたらよろしくね弟君」
風音姉さんは投げっキッスのような動作をしながらナイフを投げてくる、火陰が朝食で食べていた箸を投げナイフの軌道を変え、ナイフは天井に突き刺さる、風音姉さんは食器を片付けリビングからでていく。
「兄上私も今日は学校やら生徒会の用事で少し帰りが遅くなりますゆえ、もし姉上が先に帰ってきたらすぐに連絡を」
「了解、どうする先に向かってても文句はないけど」
「いえ、一緒に向かいましょう、もしや姉上がどこかに隠れ兄上の命を狙って来るかもしれません」
「急いで食べるから玄関で待っててくれ」
火陰がリビングから出ていくのを見送り、朝食を食べ終えると、身支度を済ませ火陰が待っている玄関に急ぐ。
「何してるんだ火陰」
「兄上ここは気を付けて下され、姉上が目に見えないワイヤーを仕掛けております」
本当にワイヤーが仕掛けられているのか、分からないが火陰が言うならまず間違いない、飛び越え、火陰がドアを開けると、さっき火陰が言っていた場所から大きな物音がして振り返ると、ワイヤーが吊るされていた。
「どうやら、私が兄上と一緒に学校に向かうと知り、私が先に扉を開け兄上がワイヤーに引っ掛かりそのまま首を斬ろうと考えていたんでしょうね」
「全く恐ろしい事を考えるな風音姉さんも」
火陰がワイヤーを切り、一緒に外に出る。