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第2幕 『くるみ割り人形』のヒロインの場合 ⑫ 完

 フリッツはその頃、城の招待客としてマスクをつけてパーティーに参加していた。次々と女性客にダンスを申し込まれたが、クララしか愛する事が出来ないフリッツはどの女性とも踊るつもりは無かった。ただ、招待状を貰っている以上は参加せざるを得なかった。適当に料理を食べて頃合を見て帰るつもりだったのだが、突如騒ぎが起こった。

何事かと思って振り向けば、そこには仮面をつけた美しい女性を伴った男性が現れたのだ。それはこの国の王子である事はすぐに分かった。


「ふん、ようやく主催者の登場か・・・それにしても隣に立っている女性は誰だろう。とても美しい・・・。私のクララによく似ている。」


しかし、その時フリッツはわが目を疑った。その女性はくるみ割り人形を小脇に抱えていたのである。その人形には見覚えがあった。


「あ!あのくるみ割り人形は・・・クララのだっ!間違いない・・・あの醜い人形は見覚えがある。それにしてもクララめ・・・何所へ消えたかと思えばまさかこの城に逃げ込んでいたとは。それにしても・・・。」


フリッツは嫉妬にまみれた顔でフリッツ王子を睨み付けた。


「私のクララを伴っているとは・・・許せぬ。例えこの国の王子だろうと・・クララは絶対に渡さぬ・・!」


そしてフリッツは2人の後をつけた。フリッツ王子とクララは仲良さげに噴水のある園庭へと歩いていく。そこをフリッツは剣を握りしめ近づいていく。


「クララ・・星がとてもきれいな夜ですね。」


「はい、フリッツ様。」


仲良く見つめう2人に我慢が出来ず、フリッツはゆっくり王子に近づき、背後からいきなり突き刺そうとした時、茂みから護衛の騎士達が現れ、あっという間に取り押さえられてしまった。


「くそっ!離せっ!」


ロープで縛り上げられたフリッツは憎々し気に王子を睨み付けた。すると王子は言った。


「お前がこのパーティーに参加していたことは知っていた。だからわざとお前をここにおびき寄せたのだ。お前を王族を殺そうとした罪で牢獄に入れる。10年は出てこれないと思えっ!」


「くそっ・・・!だましたな・・・・っ!」


フリッツは悔しそうに言うとクララを見た。


「クララ・・お前は俺の大切な妹だ。兄を・・どうか助けて遅れ・・。」


しかしクララは首を振った。


「いいえ、貴方は私と無理やり結婚しようとしました。兄妹では結婚できません。なので貴方は全くの赤の他人です。そして私は今夜この方と・・・王子様と結婚します。」


そしてクララはフリッツ王太子に寄り添った。


「クララ・・・。」


そんなクララをフリッツ王太子は抱きしめた。


「くそっ!離せっ!」


暴れながらフリッツは兵士たちに連行されて行った。その様子を見届けた2人はパーティー会場へ戻り、クリスマスをお祝いした。


やがて夜は更け、招待客は帰って行った。

今クララとフリッツ王太子は2人きりでクララの客室にいる。

フリッツはクララを抱き寄せると言った。


「クララ・・・今宵、どうか私の物になって下さい。」


「はい・・・フリッツ様・・・。」


フリッツは優しく笑い、クララを抱き上げるとベッドへ横た、口付けをした。


そしてクリスマスの夜、2人は結ばれた。




 こうしてクララは優しいフリッツ王子と結ばれ、子供を沢山設けて幸せに暮らしましたとさ。



めでたしめでたし

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