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27.シルバーウルフ現る。

「そっちはどうだー?!」


「こちらにはいないようです!」


「もう少し注意深く探して見ろ!」


「隊長、逃げてるの本当にフローラ王女なんですか?」


「後から来た騎士が言うにはアイロス様は確信しているようだ」


「でもどうしてフローラ王女を探すんでしょうか---- 身分を隠していたならあまり騒いで欲しくないんじゃ」


「そんな事俺にも分からん。アイロス様が探せと言うんだから俺達は探すしかないんだ」


 騎士が森へ集まりだし、かなり広範囲で俺達をさがしているようだ。隊長らしき渋い男の話からフローラだと確信しているらしく、息子の顔を思い出し溜息がつい漏れる。


「どうしたらいいでしょうか。このままここにいる訳にはいかないでしょうし----」


 俺達がいるのは木の上。スピードを上げて張り出したものの騎士の1人が振り切れず咄嗟に木の上にジャンプし身を隠している。


 流石に上にいると思っていないのか、俺達の下を通り過ぎて行った騎士の姿にホッとしたのも束の間、あっという間に沢山の騎士がウロウロとし始めた。


「もう少しだけ様子を見よう」


 隊長の動きに注意しながら息を潜めて静かに待つ。それにしても隊長なだけあるよなあ、俺のスピードについてきたし。隊長以外なら簡単に巻けそうなんだけどな----


「た、隊長! 先程の2人組に似た者達がこっちに向かって来ています!」


「何?! 後方だと?」


 隊長が慌てたように街の方へ戻っていった。


「レーリアかしら?」


「ミィ〜」


 フローラの声が聞こえて思い出す。


 俺、完全に忘れてたわ---- 目を瞑り集中して分身の視界を覗く。


 レーリアと共に森の中へ入って来たようだ。騎士を巻いて走った後、俺達と同じ様に木の上へジャンプし身を隠した。先程ここから去っていった隊長が見え俺達の近くにいる事が分る。


「フローラ、2人も近くにいるようだ。今のうちに逃げるぞ」


「レーリアは大丈夫--」


「レーリアに頼まれてるんだ、それにレーリアは貴族の娘だろ? 万が一捕まっても大丈夫だろうし、息子もフローラじゃなきゃ興味ないんだから直ぐ解放されると思う」


「分かりましたわ。でもレーリアに何かあれば私1人でも助けに行きます」


「分かったよ、取り敢えずここから降りて行こう。シロ、上から見張ってくれ」


「ミィ〜〜!!」


 フローラを再び肩に乗せ木から飛び降りた後、そのまま勢いよく前へ走り出す。途中、木のない場所や小さな川を飛び越えて更に森の奥へ進んでいく。かなり長く走ったせいか、久しぶりに息が上がり始め疲れて来た。


 もう暗くなってきたし、ちょっと休むか----


 前方に微かに見える建物で休めないかと期待しながら足を動かす。フローラが重い訳じゃないけど、肩も痛くなってきて久しぶりに辛い。


 建物の近くへどうにか辿り着き、どんな建物か目を凝らして見てみれば、何となく見た事があるような歴史感じる光景が広がっていた。


 ---- どこの国だったっけ。あー、駄目だ全然思い出せない。何か遺跡みたいだな。


「夕間様、ここ待ち合わせ場所の遺跡かと----」


「やっぱ遺跡か。中に入れるのかな」


 建物に近づき探してみるものの入り口が見つからない。そのまま壁に沿って歩いて行くと、どうやら今見てた場所は裏側のよいだ。


「シロ! もう良いぞー戻ってこい!」


「ミィ〜〜」


 パタパタと降りて来たシロは当たり前のように俺の肩へとまる。見張ってくれたお礼に感謝の気持ちを込めてシロの頭や顎を優しく撫でた。


 正面側へ周るとくずれかけた入り口があったので、隠れられるか確認する為フローラを連れて中へ入る。中に灯りなんてなく真っ暗過ぎて全く何も見えない。


「フローラ、光の玉を出してくれないか?」


 フローラの光によって灯りがついた廊下はまるでエジプトのピラミッド。壁にはよく分からない絵まで描かれていて、教科書に載っていた写真のまんまだ。


 奥にある3つの部屋を覗いてみても、ピラミッドと大差ない作りに驚く。最後に除いた部屋は通路のようで上と下へいく階段が目に映った。


 ちょっと楽しそうだな---- 皆来てから後で行けるだろうか?


「夕間様、レーリアは無事でしょうか?」


「ああ、どうやら逃げ切れたようだ。近くまで来ている。この中だと逃げ場がないから一度表に出てレーリアを待とう」


 正面入り口の階段に2人で腰を下ろし、フローラはシロを膝にのせ頭を撫で始める。俺は痛くなった肩を回しながら分身の視界を確認した。


 暗くなった森を視界が悪い中スピードを落とさず走り続けている。先程通り過ぎた小さな川が見えもうすぐだと思い口を開いたらフローラが急に話し始めた。


「夕間様、アイロス様のことレーリアから聞いてますよね? 私のせいですみません。謝罪致します」


「あー、気にしなくて良いけど、何かごめん」


「いえ、夕間様が謝る事ではありません。街へ入る前にお話しすれば良かったです」


「---- 事情があんだろ? 結構面倒くさそうな奴だったしな」


「アイロス様のお父様であるバリスター卿は、貴族達への影響力が非常に高いお方なのです。王家に忠誠を誓って下さっていますが、油断は出来ません。ですのでアイロス様に対しても、慎重にならざるを得えないのです」


「貴族との関係は良く分からないけど、色々あんだなー。王女も大変だな」


「私よりも王であるお祖父様の方が大変ですわ。お祖父様がいるからこそ争いもなく平和でいれるのです」


「へえ、ラズロって凄いんだ」


「お父様がいつも言っております。お祖父様が退任された後が不安だと----」


「若い時のラズロもそんな事言ってたな。確か---- 偉大な父の後を継げるだろうか? だったかな?」


「お祖父様がですか?」


「オズと酒飲んでた時に言ってたぞ? 他に---」


「フローラ様! 夕間殿!」


 レーリアはゼイゼイと息を切らしながら俺達の前で地面に膝をつけた。それを見たフローラは立ち上がり、レーリアと俺に向けてヒールを唱える。


「ごめんなさいレーリア。迷惑をかけてしまいました。無事で良かったですわ」


「フローラ様こそ無事で何よりです。夕間殿、有難う御座います」


「よく撒いてこれたな。大変だったろ」


「木の上で身を隠した時、アイロス様が森へいらっしゃったんです。散らばっていた騎士がアイロス様へ集まっていったので、直ぐに動く事が出来ました」


「そう---- 森にまで----」


「おかげで騎士に見つからずに済みましたので、ご安心下さい。それにしても遺跡の場所、よく分かりましたね?」


「たまたまだよ。遺跡に向かった訳ではないんだ」


「そうでしたか。取り敢えずサバンナとミンハが来るのを待つとしましょう。もしかしたら時間がかか---」


 ザッザッザ----


 複数の足音が耳に届き慌てて立ち上がる。暗い森の中で急に松明へ火がつき一気に明るくなった。


「愛しのフローラ王女。レーリアを流したかいがありました。やっとお会い出来ましたね!」


 正に白馬の王子様が姿を現し、決め顔で話続ける。レーリアは息子の言葉にムカついたのか、隣からギリっと奥歯を噛み締めたような音が聞こえてきた。


「フローラ王女は相変わらず追いかけっこがお好きなようだ。楽しませて貰いましたよ」


 ------ 凄え。逃げてるのに追いかけっこって、ポジティブすぎるだろ---- 


「アイロス様----」


「さあ、フローラ王女。私と一緒に我が城へ行きましょう。おもてなしさせて頂きます。もちろんそこにいる勇者と騎士団長も是非お連れ下さい」


「---- アイロス様、お気持ちだけ頂きますわ。有難う御座います」


「そんな謙遜はいりませんよ。私とフローラ王女の仲ではありませんか。ゆっくりお体を休まれて下さい」


「私達、先を急いでいますの。謙遜ではありませんわ」


「フローラ王女は心根までお美しい。ご安心下さい、父もお会いするのを楽しみにしています。それに---- 何ておいたわしい姿か。王女が野営などおやめ下さい」


「------」


 フローラと息子のやり取りに呆れてしまいつい溜息が漏れる。フローラの揺れる瞳と、体を震わすレーリアを見て、自然と足が動いてしまった。2人の前に立ち、白い馬に優雅に跨る息子と対峙する。


「俺達は魔王を討伐しにきたんだ。もてなしとかいらないし、してもらう必要もない」


「これはこれは勇者。男でありながらフローラ王女に野営させるなんてどういうおつもりか?」


「フローラが良いって言ってるんだからいいだろ」 


「呼び捨てだと?! ふっ、これだから庶民は---- フローラ王女が良いと言ってるのは優しさからだ。貴族じゃない奴はこれだから困る」


「アイロス様! 夕間様は悪くありません。私が望んで野営をしているのです」


「ああ、勇者を庇うだなんて---- 嫌なら嫌と言って良いんですよ? 魔王討伐も本当は嫌でしょうに---- 私が新しい治癒師をご用意致しましょう」


 ---- 凄えムカついてきた。人の話を聞かな過ぎだろ。


「おい! お前が誰とかよく知らないけど、フローラ嫌がってるだろ。いい加減気付けよ!」


「お前---- 誰に向かって口を開いてるんだ! 俺はバリスター侯爵家の嫡男だぞ!」


 喚き散らすように息子が沢山の言葉を投げかけてくる。勢いは止まる事をしらないのか、声を張り上げたまま喋り続けた。


 煩い奴だな--- 苛つくけどある意味凄い奴だ。よくこんな喋れるな。


「煩い。我の睡眠を妨げる輩はお前か?」


 表現出来ない程低い声が聞こえ振り向くと、遺跡の中から銀の瞳を持ったデカい狼が姿を現す。


 全身シルバーの狼は普通のモンスターと違い、ただデカいだけでなく毛並みや色合いがとても美しい。俺はシルバー色の狼から目を離せず、足から尻尾そして頭まで全身をじっくりと見てしまった。



読んで頂き感謝です!


時間が遅れてしまいすみません。



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