変化
「さっすが〜"選ばれた人間"はちがうね!」
女の人がニコニコしながら、褒めてくれた。
「いや、正直ビビって目も閉じてて、ただ刀を縦に振っただけなんだけどな」
「それでも、殺してるからすごいよ!」
スーパーの駐車場から、パトカーや救急車のサイレンが聞こえてくる。
「今日は、もう帰るよ!じゃあね!優時君。この後連絡するからねーー」
女の人は、手を振って屋根から屋根に、飛び移りながらどこかへいった。
(いや、連絡するって言っても、連絡先知らねーだろ)
「はぁー、戻るか、お母さんも心配だしな」
スーパーに入ると、ほとんどの人が起きていた。
「優時!大丈夫だったの?」
「大丈夫、隠れとったけん。お母さんも、怪我してない?」
「大丈夫、気絶してただけで、無傷だから」
(良かった。あれ、ちょっと待てよ。たしか、服装が変わってたような…戻ってる!なんでた!?それに刀!腰に下げてるんだけど!)
母親は、刀の方に気づいていなかった。
(刀が見えてないのか?)
そして、警察になにがあったのか質問されたりした。
この事件での、死亡者は1人もいなかった。
「じゃあ、帰ろうか」
母親は、疲れていた。
家に着くと、父親と兄が帰って来ていた。
「大丈夫だったんねー」
お父さんが心配そうに言ってきた
「俺は大丈夫だったけど、お母さんは気絶したんばい」
「本当に!?いやー生きとって良かったよ」
お母さんは疲れきっていた。
「ほんと、怖かったよーもう死んだかと思ったもん」
(本当に、母親が生きてて良かった)
「あれ?優時なんか痩せてない?」
「は?気のせいだろ」
風呂に入る前に、鏡で自分の顔を見てみると
(たしかに、痩せていた)
部活が終わってから、運動をしてなかった俺は少し太っていた。
上着を脱いで体も見てみると
(こんなに俺の体、筋肉ついてたか!?)
風呂から上って、体重計に乗ってみると5kg痩せていた
(まじかよ…部活やってた時とあんま変わらねえじゃん)
自分の部屋に戻ると、携帯が鳴った
(知らない電話番号だ…)
いつもなら、知らない電話にはでないけど
(まさかな…)
電話にでてみると、あの女の声が聞こえてきた。
「もしもーし!優時君だよね!?スーパーで会った私だよぉー!!」
「いやなんで、連絡先知ってんだよ!?」
「どうでもいいじゃん!そんなことより、明日学校終わったら駅まですぐに来てね!絶対だよ!」
「え、あちょっとまて!」
「なにー?なんか聞きたい事でもあるの?」
「聞きたいことは、いっぱいあるわ!その前に、明日学校が終わっても、親が帰って来るのちょっと遅いからすぐには来れないんだよ」
「別に走って来ればいいじゃん」
(は?・・・何言ってんだこの人)
「俺の家から駅まで結構遠いんだぞ!橋も渡らないと行けないのに、走って行けるわけないだろ!」
「いけるよ!君も気づいてるでしょ?何か変わった事あったでしょ?」
「変わったことって、たしかに痩せてて筋肉がついてた事ぐらいだろ」
「ほんとに、それだけと思ってるの?わかった。明日説明して上げるから、学校終わったら電話かけてね。君の家まで行って上げるから」
「わかった」
そう言って、電話を切った。
(ほんと、なんの説明もしてくれない人だな…)
翌日
学校から帰って、電話をかけた
「あ、もう帰って来たの!?」
「もう家に着いてるよ」
「すぐ行くよ」
ピンポーン
そして、すぐに女の人が来た。
「来たよー!早速だけともう行こうか」
「行くって、どこに?」
「私の家にだけど」
「は?なんで」
「もーいいから!行こ!刀持ってね!」
「わかった!行くから!その前に説明してくれ!色々と!」
「色々な説明は、私の家でするから!とにかく刀持って!」
(はぁー、仕方なく刀を持った…昨日初めて持った時より明らかに軽くなっている)
「刀持ったね!で、昨日みたいに服装を変えるには、まぁー、気合いね!気合い!」
「気合いって…」
(刀を握って、全身に力を入れるようにしてみた。)
サァーーー
「よし!変わったね!ちなみに、その服装は"武装"て言うからね!」
「"武装"か」
「で、その腰にスイッチ見たいのあると思うんだけど、それを押してね」
「これか…」
(特に変化はないが…)
「このスイッチは、なんの意味があるんだ?」
「それは、まぁ簡単に言ったら"人間"から見えなくなるっていうかぁー、透明になるっていったらいいのかな?」
「"人間"から見えなくなるって、俺はもう人間じゃないのか!?あと、俺らは2人ともその、透明になるの使ったら、どっちも見えてるのか?…今、見えてるか」
「君は立派な"人間"だよ!もちろん私もね!まぁ他の事は、後で説明するから!もう行こ!」
「わかったよ」
「もう君は、"人間"以上の身体能力がある!あそこまで飛べるから!私が最初に行くからね!」
そう言うと、女の人は少し走って一気に30メートルくらい先の電柱の上に着地した。
「まじかよ」
「君も、来れるよー!!」
(よし、行ってやるよ)
俺は、少し助走をつけて思いっきり飛んでみた。
(まじか、俺浮いてる!!!)
「すげぇぇ!俺飛んでる!」
女の人の近くまで、飛んで着地した
「よっっと」
(あんなに飛んだのに、全然足に痛みがない…すげぇ)
「すごいでしょ!これで、わかったでしょ?君の身体能力は、"人間"以上なんだよ」
「あぁ、本当に信じらんねぇよ…」
「じゃあどんどん行くよー!あ、そうだ私の名前教えてなかったね。私は椎奈望嘉!」