決意
「はぁーつまんねぇ」
中学3年生になって、部活の最後の夏の大会も終わった。
毎日毎日同じ時間に登校して、同じ時間に帰る。
俺はその日々が、退屈だった。
「おーい、起きろ授業中だぞー」
授業なんか、受ける気にもならなかった。
他の奴らは、大体が自分の進路を決めていて、受験勉強を頑張っていた。
俺は、仲のいい友達は少なく行きたい高校も特に考えていなかった。
「起立、気をつけ、礼」
「さようならー」
今日の学校も、退屈なまま終わった。
家に帰ったら、すぐに自分の部屋に行き、ゲームをしていた。
「ただいまー」
母親が帰ってきた。
「今から買い物行くけど、いっしょに行くね?」
「どこに行くと?」
「そこのスーパーにいくばい」
ちょうど買いたい物もあるし、付いていくか。
「じゃあ、いく」
車にのってスーパーに移動する。
「朝もニュースでみたんだけどさ、最近増えてない?」
「怪物のこと?」
「そうそう。こっちで出ないか心配でさー」
「大丈夫だろ。ここ田舎やし」
怪物は、5年前くらいから日本で突如現れ、時間が経つと消える謎の生物のこと。
最近は、怪物が出て来る回数も全国で多くなり、1ヶ月に1〜2回はニュースで報道されていた。被害も大きくなっていて、死亡者も出ている。特に、街中で出て来ることが多く、人が少ない田舎には出て来ていることは、少なかった。怪物はいろいろな姿をしていて、大きいもので20メートル以上は出ている。
「よし着いたよ」
スーパーに着いた。
「優時シャンプー切れてたから取ってきて」
「わかったー」
洗髪剤が並んでいる所に、シャンプーを取りに行き
「あったあった」
シャンプーを見つけて、手に取ろうとした瞬間
ゾッッ…
なんか今、寒気がしたような…
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ」
スーパーの奥から、大勢の悲鳴がきこえる。
急いで、通路のに出て奥を見てみると
「グォォォォォォォォ」
そこには、禍々しい姿をした四足歩行で5メートルはある怪物が頭に響くほどの雄叫びを上げていた。耳を塞いでも、頭に響いてくるほどの大きな声だ。
(早くこのスーパーから出ないと…)
俺は、とっさに逃げようとしたが、奥に母親がいることに気がついた。でも、奥にいる人達は、みんな倒れている。
そして、化物は静かになったが、俺の方を見て目が合った瞬間にこっちに向かって来る。
「まじかよ…」
全速力で、出口に走り、出た瞬間後ろを向くと、怪物が目の前にいて、前足を上げていた。
(あ、死んだ)
と思った瞬間。俺の体は宙に浮いた。
横に女の人がいた。そして、スーパーの裏に着地したら
「ハァハァ、君が伊藤優時君だよね?」
「え、あっはい」
急に知らない女の人が、自分の名前を知っていて、宙にも浮いて助けられて、頭が混乱して言葉が出なかった。
髪型はポニーテールにしていて、綺麗で俺と同じくらいの歳の女の人で、腰に刀を下げていた。
(どこから、この人は出て来たんだ?出口に走っていたのは、俺一人だったし他に人はいなかったと思うが)
「はぁーー良かった〜間に合って」
「なんで、俺の名前を知っているんですか?」
ドォン、ドォン
「それは、後から教えるね」
怪物がこちらに、突進して来ている!
「ちょっとあっちに行きなさい!」
ボォン
刀の鞘を抜かずに、バットみたいに持って怪物を飛ばした。でも、まだ怪物は生きている。
「優時君、君は"選ばれた人間"なんだよ」
「"選ばれた人間"?」
「グォォォォォォォ」
ドォン、ドォン
怪物が起き上がり、また突進をして来ている!
「あーもう!早いって!とにかく!今は説明してる、暇はないから!君にあの"憎塊"を殺して欲しいの!」
(憎塊?あの怪物のことか?)
「無理だろ!どうやって、あんな怪物を殺すんだよ!俺はあんたみたいに刀も、持ってないんだぞ!」
「君の刀も用意してあるから!はい、これ!」
女の人は、もう一本背負っていた刀を俺に渡して来た。
その刀は、女の人の刀みたいに、模様が入ってなく色も付いていない刀だった。
「いや…はい、これ!って言われても、無理だろ…」
「いいから!ここで君がやらないと、みんな死んじゃうよ」
怪物は、すぐそこまで来ている。
(お前がやればいいだろ…)
「わかったよ!やればいいんだろ!」
俺は刀を手に取って!怪物の方を向くと、怪物は、もう近くまで来ていた。
刀は、ずっしりとした重みがあった。
(やべぇ…やっぱ怖ぇぇ…でも、俺がやるしかない!この女の人は、本当にやってくれなさそうだからな)
刀の鞘を抜いた瞬間、自分の服装が変わり刀にも模様が付いた。
(なんだこれ!?変身したの?)
怪物が目の前にきている。俺は目を閉じて前進しながら、刀を縦に振った。
目を開けると前に怪物がいない。後ろを振り向くと怪物が真っ二つに斬れていた。そして、怪物は煙のように消えた。
「まじかよ、俺がやったのか」