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私に告白した彼は、さっきから顔を赤くしてモジモジしている。傍からみたらイケメンのモジモジしている姿なんて、残念でしょうがないのだろう。

だけど、私にはストライクだ。そんな姿が可愛く見えて仕方がない。


イヤね、分かっていたけどさ。最初からあの目を可愛いと思った時点で、私も一目惚れしていたってことはね。

さっきのピュアな目線にたじろいだけど、私も言ってもいいかな?


期待を込めてじっと見つめてくるその目に、私は微笑んだ。


「あーあ。先に言われちゃった」

「はい?」


目を瞬く彼に私は笑みを深くして言った。


「私が言うつもりだったのに。上野さん、私とつき合ってください」

「はい。ぜひ」


彼は私の言葉にニッコリと笑いながら、即答した。私も彼に微笑みながら言ったのよ。


「私も。一目惚れです。よろしくお願いします」


と、微笑んだら彼が眩しい物でも見るように見つめたと思ったら、また真っ赤になったのだった。


この後、彼は自分の部屋に戻った。私も今週の残業続きで、溜まった衣服を洗濯したり、部屋の掃除をした。彼も自分の部屋の片づけをしているはずだ。


時計を見たら12時を過ぎていた。出掛ける支度をして部屋を出ると、丁度彼も出てきたところだった。


「それでは行きましょうか」

「はい」


私が声を掛けると彼は頷いた。これからお昼を食べがてら、近所のスーパーやドラッグストアに案内するの。歩道を歩いていると、すれ違う女性が彼に注目した。やっぱりイケメンには目がいくのね。


「そう云えば間宮さんは眼鏡を掛けなくて大丈夫なんですね」

「ええ。あの眼鏡はパソコン用なのよ」


そうなのよ。私は普段眼鏡を掛けているけど、実は視力は悪くない。地味に見えるように眼鏡を掛けてカモフラージュしているのだ。

私はこう言っては何だけど、目はぱっちり二重で細面の美人顔。小学校の時はよかったのだけど、中学に上がったら派手な顔立ちに遊んでいると噂され、ろくな男が寄ってこなかった。

高校、大学と進学するにつれ、酷くなっていった。特に大学デビューのためにお化粧をしっかりやったら、もうね、笑っちゃうくらいの噂を立てられたの。それに嫌気が差したから眼鏡をかけるようにして、Tシャツ、ジーパンで過ごして、合コンにも参加しなかったら、いつの間にか忘れ去られたようだ。


会社でもおとなしめな服装を心がけていたら、会社の人から対象外で過ごしていた。まあ、いいんだけどね。一応彼氏はいたし。でもその彼とは、高校入学と同時につき合い始めたけど、大学も就職先も離れてしまい、10年の節目で遠恋を解消したのだった。


あの彼もちょっとしたことで赤くなっていたよなと思い出していたら、上野さんが話しかけてきたのよね。


「コンタクトを使っているのではないのですか」

「使ってないわよ」


というか、なぜに丁寧語なの?


「あの~、普通に話してくれませんか」


そう言ったら、また彼は頬を染めた。それをすれ違いざま目撃した女性が、立ち止まってこちらを見ていた。・・・これは1人で外に出しちゃ危ないのではと思ったのは内緒だ。


「すみません。その、緊張してしまっていて。・・・今まであまり女性とつき合ったことがないので、どうしていいのかわからないです」


恥ずかしそうに眼を伏せた彼が、カワイイ。どうしよう、庇護欲がムクムクと湧いてくるんだけど。


というか、うかつな会話が出来ない。こんな可愛い姿を他の女に見せるなんてもったいない。


お店に着いて、なるべく奥の席に案内してもらった。本当はそこまで心配するようなお店ではなかったのだけどね。定食自慢の和食屋さんだもの。若い女の子が好むとは思えない。


でもこの可愛い人を守れるのは私だけなのだと、この時は思ったのだった。


彼はこのお店の佇まいに喜んでいた。彼はアジフライ定食を、私はカキフライ定食を頼んだ。ここのアジフライは食べやすいように開きではなくて三枚に下ろしたものを揚げている。それも少し小ぶりのものだ。だから二匹分の四枚がお皿に載っていた。私のカキも小ぶりなので六個載っていた。

彼は目の前に置かれたアジの形状に驚いていたけど、美味しそうに食べたのだった。


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