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お互いの家族のことも話をした。彼は上に兄と姉、下に妹がいるそうだ。彼以外はもうみんな結婚しているとか。私は年の離れた兄が一人いることを話したのだった。


残った料理はラップをして冷蔵庫にしまった。洗い物は彼も手伝ってくれた。彼が洗って泡を流した食器を私が拭いて食器棚にしまっていく。


片付けが終わるとお茶を入れた。湯呑をもってテーブルで向かい合う。それともお酒の方がよかったのかしら。


落ち着かなくて湯呑ばかり見てしまう。


「あの、間宮さん。まだ知りあったばかりでこんなことを頼むのは何なのですが・・・」


そこまで言って、彼は黙ってしまった。そこで言葉を止められると気になって仕方がないのだけど。


「私に出来ることなら手伝ってもいいけど?」


それでも躊躇している彼をじっと見つめた。私に見られて居心地が悪くなったのか、彼は席を立った。


「あの、やはりいいです」


その言い方が何か引っ掛かる。部屋に戻ろうとしているのかテーブルから一歩離れた。その彼に私は言った。


「そんなに大変な事なの?お願いって」

「い、いえ、そんなことはないのですが・・・」


何故か頬を赤らめて目線を合わさないように逸らしている。私も席を立ち彼のそばに行った。


「ねえ、言ってくれないかしら」


そっと彼の左腕を掴んで見上げるように見つめた。彼も私のことを見つめてきた。


「あの、無理強いをするつもりはありません」

「うん」

「駄目だと思ったら断ってください」

「ええ」


何をそんなに念押しするのかな?


「それで・・・」

「それで?」

「私と・・・」

「あなたと?」

「一緒に・・・」

「一緒に?」


・・・なんでまた顔を赤くしているの?

そんなに言いにくいお願いってなんなのかしら?


「寝てください!」

「寝て・・・えっ?」


寝るって・・・その、一緒の布団で寝るということよね。・・・ということはあの行為をすると言うことで・・・。


「寝る、ということは、致すのね」


小声でボソッと言ったら、彼が慌てたように言った。


「ああ、違います。言い間違いました。一緒に眠って欲しいんです」


はあ~?眠る?寝るのではなくて?

・・・意味がわからない。


「ねえ、寝るのと眠るの違いって何?」


彼は私と視線を合わさないように上を向いている。相変わらず顔は真っ赤だ。その彼の頬を両手で挟んで私の方に向けた。


「一緒に眠ると言い直したのは、あの行為をするつもりはないって事よね。ということは私に抱き枕になれということ?」


目を合わさないようにあっちこっちにいっていた視線が、観念したように合った。


「はい・・・そうです」


恥ずかしそうに伏し目がちにしながらいうけど・・・こんな時なのに・・・チクショウ―、かわいいじゃないか。どうしてくれるのよ、私の方が襲いたくなったら。


「あ、あの・・・手・・・」


ん?手?


「手を放してくれませんか。あなたの香りで・・・」


トロンとした目を私に向けているけど・・・なんだろう。情欲というものは感じないんだけど?それに香り?昨日も匂いのことを言っていたよね。


意味がわからなくて首を傾げたら、彼が私に抱きついてきた。


「眠気が誘発されます・・・」


そう、耳元に囁くように言ってそのまま、体重を私に預けてきたのだった。

突然のことに支え切れずに、私も座り込んでしまった。

彼の様子を伺ったら寝息が聞こえてきた。


「嘘っ。なんで寝ているの?」


しばらく彼の身体を抱きしめるようにしていたけど、この体勢でずっといるのはつらい。それに、何か体に掛けた方がいいだろう。さすがに成人男子をベッドに運ぶ力は私にはないし。


なので、そっと彼を横たえると彼から離れて、まずはクッションを持ってきて頭の下に置いた。それから部屋に行って予備の毛布を持ってきて彼の身体に掛けた。


それから、キッチンに行ってコーヒーを淹れた。といってもコーヒーメーカーなんてないから、カップに装着するタイプのドリップコーヒーなのだけどね。


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