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第50話神殿と歌姫と大喧嘩

 何とか攻撃をかいくぐり、神殿と思わしき場所へたどり着いた俺は、息を整えながらシャイニーの到着を待っていた。


(どうしてこんな事に……)


 やはり闇と何か関係しているのだろうか? そうだとしたら一刻も早く助けてあげなければならない。歌姫だからとか、そんなの関係なく一人の人間として。


「はぁ、はぁ。私の方がこの地を知っているのに、どうして咲田君の方が到着するの早いんですか」


 そんな事を考えている間に、シャイニーが到着。


「何かそれらしきものを目指してたら、いつの間にか到着していたんだよ。まさかお前より早いとは思っていなかったけど」


「本当に死んだ身なんですか、あなたは」


 俺達がやって来たのはまさに神殿と呼ぶべき大きさの建物。何か不思議な力にでも守られているのか、その神殿だけは傷一つなかった。その為俺も迷わず来れたというところだ。


「それで咲田君、さっき言いかけた事ってなんですか?」


「ああ、それなんだけどさ、中に入ってから説明する。実際に見てもらった方が早いから」


「中に何かあるんですか?」


「俺の考えている通りの事が起きているならな」


 でもそれは本来あって欲しくはないこと。もしそれが本当に起きているなら、グリアラ達にも同じようなこと起きている可能性が高い。果たしてグリアラは戦えるのだろうか? 自分の友である彼女と。


「とりあえず入るぞ」


「はい」


 更なる不安を抱えながら、俺とシャイニーは神殿へと足を踏み入れたのだった。


 ◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 神殿の中は何か異常があるような雰囲気はなく、先程みたいな攻撃もないので順調に進むことができた。


「本当にこの先に何かがあるんですか?」


「歌姫がいるのは恐らく間違いない。ただ、ちょっと手間がかかるかもな」


「手間? どういう事ですか?」


「いいか」


 ここでようやくシャイニーに俺が考えていることを説明する。あり得ない話なのかもしれないが、一番可能性が高い話だ。


「そんなことって……」


「でもこの国にいる人間は限られている。そこから導き出される答えは、お前だって分かるだろ?」


「それは……分かりますけど……」


 信じたくはない。けど、それは現実。だから助けなければならない。それが今の俺達にやるべき事なのだから。


 そして神殿を歩いて進むこと更に十分後。突然神殿の光が全部消えてしまった。


「な、何だ」


 何も見えなくなり動揺する俺とシャイニー。目が暗闇に慣れるまで、とりあえず待っていると、かなり奥の火が灯っていることに気がつく。


「シャイニー、あそこ見えるか?」


「はい」


「辺りは暗いけど、道は真っ直ぐのはずだから、あそこを目指すぞ」


「はい」


 壁をつたって、一歩一歩確実に歩いて行く。だがもう少しで灯りに到着しようとした時に、声が聞こえた。


『光の姫巫女、よくものうのうと帰ってきましたね』


「この声は」


「隣にいる方は存じませんが、もうお一方は我々の敵、光の姫巫女ですね」


 彼女の声とともに辺りの灯りが再び灯る。そして俺たちの目の前に彼女はいた。豪勢なドレスを着ている闇のオーラを纏った女性がそこに。


「どうして私が敵なんですか?!」


「あなたは何も分かっておられない。私達は光、闇であるあなたは敵です」


「私が闇なわけ……」



「落ち着けシャイニー! さっきも言っただろ? 歌姫は闇に囚われている可能性があるって」


「でもこんな事って……」


「呑気に喋っている場合じゃないですよ!」


 狭い道の中で、あの一撃が放たれる。何とか交わしたはえものの、次何か起きたら直撃は免れなれない。


「くそ、話し合気なしか」


「何とかならないのですか?」


「彼女から闇を取り除くしかない」


「でもどうやって」


「次はもう逃げられないですよ」


 俺の頭上にあの一撃が降りかかる。気づいた時には、何故か俺は突き飛ばされていた。


「え?」


 背後から誰かに……。


「シャイニー!」


 吹き飛ばされた先で、慌てて後ろを振り返ると、何とか避けることができたシャイニーの姿がそこにはあった。ただ、足に怪我を負ってしまったようだ。


「今のは運がよかったですね。ただ、もう次の一撃で終わりです」


「させるかよ!」


 全力で歌姫に駆け寄り、そのまま歌姫を押し倒した。


「あ」


 これってどこぞのラブコメ演出?


「きゃー! へ、変態です!」


 何を血迷ったのか、歌姫は自分の頭上にあれを落としてしまう。俺は彼女と共にそれを食らってしまうのであった。


「そ、咲田君!」



 一方その頃、グリアラとクスハの喧嘩は、人どころか土地を巻き込む大喧嘩へと発展してしまっていた。


「この馬鹿姫巫女、いい加減倒れなさいよ!」


「はぁ、はぁ、そっちこそよクスハ。あなたより私の方が圧倒的に強いんだから、そっちが先に倒れるのよ」


「お主達、それはもはや小学生レベルの喧嘩じゃよ。そろそろやめにせぬか?」


『できないわよ!』


「二人ともなんでその時だけ息が合うんじゃよ……」


 もう闇とか何にも関係ない小学生レベルの喧嘩を繰り広げる二人。ムウナはというと、その喧嘩をなんとか避け続けることしか出来なかった。


「この年齢詐欺女!」


「オンチ女!」


「もう妾は、ツッコムのは嫌じゃよ」


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