表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/100

第44話絶望へ加速する未来

 前回は扉の前まで連れて来られ、中に入ることはできなかっでこの部屋に入るのは初めてだった。


「なんだよここ……」


 部屋の中は目立った機械は一つもあらず、真ん中に巨大なロケット型の機械が一つ。そしてそれを眺めているのは、


「やはり止めにきたわね。元水の姫巫女さん」


 マリアーナ。


「当たり前だろ。あんたがやろうとしていることは間違っている。何で一度それを経験しているお前が、気づかないんだ」


「あれはあくまで失敗しただけなの。今度こそ成功させるの」


「そんな確信もない事をしようとするな!」


「いいえ、成功するわ。あなたが邪魔さえしなければね!」


 来る!


 そう思った時には既に遅かった。俺が入って来る前に準備していたのか、俺の背中を水の龍が襲いかかる。


「卑怯な!」


「咲田様、これを」


 セリーナは何かを俺に渡してきた。これは剣?


「水の龍は私達が止めます。咲田様はその間にマリアーナを」


「でも二人で何とできるのか?」


「姫を舐めないでほしいわ。ねえセリーナさん」


「はい。思い出すだけで体が震えそうです」


 過去に一体何があったんだこの二人。でもセリーナが保障できるなら、任せてみるか。どちらにせよ、俺がケリをつけなきゃいけない気がするし。


「分かった。二人を信じる。ただし、無茶だけはしないでくれ」


「任せてください」


「あなたが最近まで巫女だったとは思えないくらい、しっかりしているわね。でもあなたにこの世界を託すから、しっかりと頼むわね」


「はい。そちらも頑張ってください!」


 俺はそう言って、全速力でマリアーナの元へと走り出した。そうだ、これは世界の運命もかかっているんだ。負けられない。


「行くぞマリアーナ!」


 ◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 まずは一撃と言わんばかりにマリアーナに剣を振りかざすが、見えない何かに弾かれてしまう。


(これはあの時の)


「覚えてる? あなたを私の力で助けた時のこと」


「ああ。覚えているさ。突然あんたが俺を守った時は、本気でこの世界を守ろうとしているんだなって信じた」


「これに誰も触れてほしくなかったの。いずれ自分が使うものを先に使われるなんて、気に食わないじゃない」


 剣を弾かれた俺は、一歩下がる。駄目だあれがある限り、あいつには手出しできない。どうすれば……。


「先に教えてあげるわ。今のあなたはただの人間。水の姫巫女の力がある私には、指一本触れられない」


「分かっている。だからと言って諦められない」


「その根性は立派ね。けど、それだけじゃあどうにもならないことだってあるのよ」


 そう言うと、マリアーナは突然妙な動きを始めた。あれは、


「確か蒼双龍牙突撃だったわね。まさかこんな技があるなんてね」


 そうあれはラファエルとの戦いで使用した技。ただでさえ、一頭の龍がを呼び出しているというのに、更に二頭呼び出そうとしているのか彼女は。


(いや、俺だから難しかっただけで、不可能ではないのかもしれないな)


 それに今のあいつの力ならやれる。だから俺はピンチを迎えた。あれと同じ技をやろうとしているなら、俺は避ける事も出来やしない。


「蒼双龍牙突撃!」


 そしてマリアーナから放たれる。二頭の龍は、俺に襲いかかってくる。ぶっつけ本番でやったが為に、回避方法すら分かっていないので、避けることができず、見事に二つの龍は俺を噛み砕く……。


「あれ?」


 と思った直後、何故か二頭の龍は砕け散ってしまっていた。何事かと思った時、背後の方から声が聞こえてきた。


「あれ? じゃないわよ全く。ピンチの時は必ず助けにくるって言ったでしょ。もしかして元の体に戻ったから、助けに来ないと思った?」


 それは聞き慣れた声。


「この人があのミスティアさんですか……。思っていたよりも」


 何度も助けてもらった声。


「イケメンじゃな」


 そして大切な仲間の声。


「皆! どうしてここに?」


「何かあった時の為に、私が呼んでおいたの。あなたにとって頼もしい仲間を」


「と、というかシャイニー、お前無事だったのか。よかった……」


「おかげさまで。それより本当に元ミスティアさんの方ですよね?」


「ああ。今は訳あって元の体に戻っているけど、俺はミスティアだよ」


「で、ミスティアの身体が今あそこにあるのね」


 皆が視線を一箇所に向ける。そこには既に次の攻撃へと移っているマリアーナがいた。


「あれが目標でいいのかしら?」


「ああ。ただあいつは強い」


「そんなの百も承知なのじゃ。じゃが、妾の手にかかればあんなのちょちょいのちょいなのじゃ」


「私だって戦いますからね。光の姫巫女ですから」


「よし、行くぞ!」


 再び態勢を整え、マリアーナへと今度は一人ではなく四人で向かう。


 ゴゴゴゴ


 だが、それすらも許さないほどの大きな地震が発生する。


「どうやらあなた達を相手する前に、私の勝ちは決まったようね」


「何?!」


『システムの起動を確認、発射まで五分』


「まさか、起動したのか?」


 マリアーナの背後、先程まで何の変哲もないミサイルが大きな煙を上げる。機械の音声によると残り五分。それまでにあれを何とかするしかない。


 できるのか? 俺に。


「五分、充分の時間じゃない」


「そうじゃ。妾達の力があれば、お茶の子さいさいじゃ」


「頑張りましょうミスティアさん」


「そっか、そうだよな」


 できるのかじゃない。


 やるしかない、俺達で。


「それにこれが終わっても、まだ仕事があるからな」


 闇から世界を取り戻す仕事が。


「諦めが悪いのもいい加減飽きたわ。さあ、かかってきなさい!」


「よし、行くぞ!」


『了解!』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ